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トム・サテナ 16 ジェリーたちの特訓

 俺たちは一気に20階層まで昇降機で降りると、26階層を目指す。

そして無事にダークキマイラを倒して26階駐在所へと辿り着いた。

受付を通り、ジェリーが不思議そうに、その駐在所の中を見回す。


「ここが26階層の駐在所・・・」

「ああ、駐在所の外を見てごらん、ビックリするよ」

「ええ」


俺に言われて駐在所の外へ出たジェリーはその光景を見て驚く。


「これは・・・話に聞いた通り!

見渡す限りの草原じゃない!

本当にここが迷宮の中なのかしら?」

「ああ、ホラ、地平線を見てごらん。

凄く近くて違和感があるだろう」

「ええ、確かに」

「それはここが直径100カルメルの小さな球体だからなんだ。

アースフィアだと地平線までは大体4カルメル半位だけど、ここでは地平線まで400メル位しかないからね。

だから見た目も変に見えるのさ。

ま、これもホウジョウ先生の受け売りだけどね」

「ええ、こんな変な風景は初めてみました。

それにしてもここの駐在所は想像以上に設備が良いですね?

私、迷宮の中の駐在所と聞いて、正直もっと狭くて質素な物を想像していましたわ。

お風呂や食堂も広いですし」

「ああ、昔はそうだったらしいよ。

でもホウジョウ先生が色々と改造して今の状態になったらしい」

「ここでもホウジョウ子爵が・・・

本当に凄い方でいらっしゃいますのね?」

「ああ、3年間驚かされた身としては心からそう思うよ。

実際、会った初日から俺はあの人に驚かされっぱなしさ!

何しろ最初に会った時には俺はあの人の事を詐欺師か、誇大妄想狂かと思っていたんだぜ?

ところが実際には謙虚な天才だったのさ!」


俺がそう言うとジェリーはクスクスと笑った。


「そう思ってしまうのも無理はないと思いますわ。

でも私、念願の領域迷宮へ来れて満足ですわ。

キャロルさんたちもわざわざ私たちに付き合っていただいてありがとうございました」

「いいえ、どういたしまして。

ではついでです。

ここでも多少訓練して帰りましょう」

「私でも大丈夫ですか?」

「ええ、この駐在所近辺程度ならば大丈夫です」


そしてジョミー、クラウス、アネットも一緒になって賛同する。


「そうですよ!

こんな滅多に来れない所へ来たんですから!」

「そうです!」

「私も賛成です」


そんな3人にジェリーも笑って答える。


「ではお願いします」


そして俺たちは訓練の総仕上げとして、26階層の領域迷宮で多少の訓練をした。

魔物のレベルも高いだけに、ここでの訓練でジェリーはレベル145にまでなった。

こうしてジェリーの訓練は終わり、俺たちは一旦村へと帰った。

師匠は驚くほどレベルが上がったジェリーを見て感心したようだ。


 次は師匠と3人組の訓練だ。

俺は師匠に訓練状況を聞いた。


「どうですか?師匠、こいつらは多少魔法を覚えましたか?」

「ふむ、まあ、回復呪文は全員が覚えたが、航空魔法の方はアオキンが多少空中に浮遊出来るようになったという所かな?

まあ、2週間ではその程度じゃろう。

使役物体魔法の方は全然じゃ」

「ははっ、今はそれでいいですよ。

こいつらも迷宮で訓練してレベルが上がればもう少し良くなるでしょう」

「そうじゃな」


 そして俺たちは今度はジェリーとヘルパー二人を留守番にして、俺と師匠と3人組、それからマイクとナンシー、サーバント二人を連れてマジェストンへ向かった。

師匠と3人組はマジェストンで多少生活をした事もあるらしいので、特に町を見る事も無く、いきなり訓練を開始した。


「さあ、それじゃ訓練をするぞ!

まずは全員で迷宮へ入って、アオキンたちをレベル50まで引き上げる。

その後は俺と師匠とナンシー、マイクの組と、サーバント二人とお前たち3人の二組に分かれて2週間ほど訓練をしよう」

「うむ、それが良かろう」

「へい、頑張りやす」


俺たちは迷宮で訓練し、とりあえずは3日でアオキンたちはレベル50に達したので、4日目以降は二組に分かれる事にした。

訓練が始まって、1週間ほど経った時、師匠が俺にふと尋ねた。


「ふむ、そう言えばトムよ。

お前の日記を読ませてもらったが、確か行きつけの食堂があるのだったな。

そこへ一度行ってみたいものだな」

「ええ、案内しましょう」


俺は師匠たちを学生時代の行きつけの食堂へと案内した。

女将さんはいつも通り、俺を出迎えてくれた。


「おや!トム!久しぶりじゃないか!」

「やあ、女将さん、久しぶり!」

「今回は何の用事でマジェストンへ来たんだい?

まさか懐かしがって来るには早すぎるだろう?」


女将さんの言葉に俺は苦笑しながら答える。


「ああ、実は俺の師匠と部下というか手下みたいな奴らを迷宮で訓練をしに来たんだよ」

「そうだったのかい?」


そういう女将さんに師匠が挨拶をする。


「わしはトムの師でロバートと申す者。

トムが学生の間は世話になったようでかたじけない」

「あらあら!そんなこと無いですよ!

こちらこそ、よろしくお願いしますね。

私はここの女将でロレッタというもんですよ!

何しろトムはあのトリプルスターの一人でうちでも有名人ですからね!

ホラ!あそこにもトムの色紙が飾ってあるでしょう!」


そう言って女将さんはかつて俺が書いた色紙を指差す。

それを見た師匠やアオキンたちが感心する。


「おお!なるほど!」

「さすがは!親分!こんな所でまで!」

「さすがです!親分!」

「全くでさ!親分!」


親分、親分と連呼された俺が3人を叱る。


「だから親分は止めろって言ってるだろ?」

「へい、しかし・・・」


俺たちがもめていると、女将さんが尋ねてくる。


「おや、どうしたんだい?」

「いや、この3人を俺の部下にしたのはいいんだけど、「親分」って呼ばれるのがどうもしっくり来なくてね」

「あはは!トムらしいね!それじゃ「旦那」とでも呼ばせりゃいいじゃないか!」

「ええ?旦那?」


その女将の提案に3人がのってくる!


「それがいいでさ!旦那!」

「ええ、これからはトムの旦那と呼ばせてくだせぃ」

「あっしもです、旦那」

「う~ん・・・」


俺が悩んでいると、女将さんが笑って話す。


「あははは、それでいいじゃないかね?

トムの旦那!」

「女将さん・・・まあ、いいや、前みたいに適当に見繕ってくれよ」

「あいよ!任せな!」


俺が女将さんに注文をすると、店の今の常連らしき連中が俺に話しかけてくる。


「あんたがトムさんか!」

「女将から話は聞いているぜ!」

「こいつは運がいい!あのトリプルスターの一員に本当に会えるとはね!」

「俺に一杯奢らせてくれよ!」

「是非悪魔迎撃の話をしてくれよ!」

「ええぇ・・・」


どうやらトリプルスターの悪魔迎撃の話をしなければこの人たちは俺を離してくれそうにない。

こうして俺は師匠たちと一緒に思い出深い店で、何やら店の客たちに持ち上げられながら食事を終えたのだった。


 そして次の日からも、俺たちは二組に分かれて訓練を開始した。

2週間近くが過ぎて、俺はレベル173、師匠はレベル140となった。

仕上げにはまたキャロルたちに頼んで、領域迷宮へ行く事にした。

そしてアオキンたちにその事を話す。


「さて、では俺と師匠は領域迷宮まで行ってくるよ。

お前たちはその間はサーバントたちと普通に訓練していてくれ。

まあ、2・3日で戻ってくると思うが、以前にも話した通り、あっちは時間の流れが違うんで、多少はずれると思ってくれ」

「へい、わかりやした!」

「しかし、その時間のずれ・・・ですか?

あっしにはまったく意味がわかりやせんな?」

「はは、実は俺もさ」


俺はそう言ってアオキンたちと分かれると、師匠やマイクたちと一緒にキャロルたちと落ち合う。


「すまないね、同じ事を二度も頼んで」

「いいえ、こちらもいつも週末は迷宮で訓練していますし、領域迷宮を目指すのは丁度良い訓練になりますから問題ないですよ。

それに弟たちも、やる気満々ですし」

「ありがとう」


キャロルたちを紹介すると師匠も感心した。


「ほほう?これは皆さんお若いですな?

トムもそうですが、これほどお若い方々が全員レベル130以上とは驚きですな?」


驚く師匠にキャロルが答える。


「ええ、自分たちでもそう思いますわ。

これも全てグリーンリーフ先生とホウジョウ先輩、そしてアンジュ御姉様のおかげですわ。

あの方たちに出会わなければ、私たちは全員間違いなく、まだロバートさんよりもレベルは下だったでしょうね?

私たちはとても運が良かったと思います」

「なるほど、確かにトムからも散々聞かされておりますが、御二人とも驚くべき御方のようですな?」

「ええ、私個人の感想としては、おそらく今ロバートさんが思ってらっしゃる以上に驚く方々だと思いますわ。

何しろもう私もあの方たちと知り合ってから3年にもなりますのに、いまだに驚かせられる事があるのですから」

「さもありなん」


師匠もジェリーと同じく、領域迷宮へ行くと色々と感心していた。


「ふむ、なるほど、これがお前の言っていた、ホウジョウ子爵が作ってしまう、迷宮の屋敷か?

確かに見事な物じゃな?」

「あ、これは元々あった建物を改造した程度ですが、27階層や29階層の休憩小屋は一から作った物ですよ」

「うむ、お前の日記にもそれは書いてあったが、そのような場所にまで休憩小屋をのう・・・

全く凄いお人じゃな」

「ええ、本当にそう思います」


するとキャロルが意見を申し出る。


「では流石に29階層は無理ですが、今回はせめて27階層まで見学に行ってみますか?」

「大丈夫かな?」

「ええ、人数も多いですし、私たちのレベルもだいぶ上がったから大丈夫だと思いますわ。

もちろん油断はせず、念のために護衛タロスを多めに出して行きましょう」

「わかった!では、今回は27階層を目指してみるか!」


そして俺とキャロルの話を聞いていたジョミー君たちも興奮して賛同する!


「ええ、賛成です!

ボクもまだ27階層へ行った事はないので」

「ボクもです!」

「私も!」

「はは・・・ではみんなで27階層まで行ってみるか?」

「そうじゃな、わしも年甲斐もなくわくわくするわい」


目標を27階層へ決めた我々は26階層駐在所から出て準備をする。

まずはキャロルが基本となる護衛タロスを出す。


「では・・・アニーミ・ミル・エスト!」


キャロルが呪文を唱えると俺たちの周囲にザアァッ!と1000体もの護衛タロスが現れる!

俺たちの周囲は、見渡す限りタロスだらけだ!

しかも全てレベルは100のタロス護衛群だ!

それを見て、3人の後輩たちは驚く!


「うおっ!流石キャロル先輩!」

「やっぱり姉様は凄いな?」

「流石です!」


さらに俺たちもそれぞれ護衛タロスを出し、その数は2000体以上にもなった。

俺たちは総勢2千数百体もの護衛タロス群に囲まれて27階層を目指した。

もちろん飛べば早いが、訓練を兼ねているので、徒歩で魔物と戦いながらだ。

俺がその様子を見て苦笑して言った。


「これは少々大げさ過ぎたんじゃないかな?」

「いいえ、領域迷宮では油断は禁物と、グリーンリーフ先生やホウジョウ先輩もよく仰ってましたわ。

それに私たちの中にはまだレベル300を超えている者は一人もいないのですから、これくらいの用心は当然ですわ」

「それもそうか」


俺もキャロルの話に納得をした。

確かに今回は俺たちだけで、頼りになるグリーンリーフ先生もホウジョウ先生もいないのだ。

用心に越した事はない。

そして俺たちは徒歩で27階層へ進み、悪魔や強力な魔物と戦う事になる。

その過程で護衛タロスたちもどんどんと削られていく!

師匠もそれには驚いたようだ。


「しかし凄い数の悪魔じゃのう・・・

あれほどいた護衛タロスも、早くも半分ほどじゃ」

「ええ、キャロルの言う通り、大量の護衛タロスを出して正解でしたね」

「まったくじゃな」


途中、俺たちはかつてホウジョウ先生たちと作った安全地帯で一晩を明かし、次の日も27階層を目指して進む。

そして27階層のヒンデンブルグ休憩小屋へ着いた師匠が驚く!

そこでは人間がいなくとも、アメシスを筆頭に、サーバントやヘルパー、ラボロなどがそこの運営をしていた。


「これは凄い!

これを1からホウジョウ子爵が?」

「ええ、そうです。

ここも以前は森林だったのです。

それをホウジョウ先生が森林を伐採して、この休憩所を作り上げたのです。

凄いでしょう?」

「ううむ、全くじゃ!

こんな場所にこのような立派な休憩所を作るとはのう。

・・・いや、もうこれは普通に旅館じゃろう?」

「そうですね、私もそう思います」


俺も笑ってそう言った。

そんな俺たちにキャロルが話す。


「さて、それではここでも多少訓練をしますか?

幸いな事に、ここなら1週間滞在しても、地上では1日にもならないですからね?

せっかく滅多に来ない場所に来たのですから有効活用しましょう。

こんな事もあろうかと、食料も多少多めに持ってきてありますしね?」

「そうだな」


その俺たちの会話に師匠が不思議そうに話す。


「ふ~む、しかし頭ではわかっておっても、ここで1週間月居ても、地上では1日にしかならないというのもまったく信じがたいのう・・・」

「ははは、それは私だってそうですよ、師匠」

「確かこの27階層では地上の9倍の時間速度だったかな?」

「ええ、その通りです。

26階層では3倍で、この27階層では9倍です」

「まったく不思議な事だのう・・・」


俺たちはそこでも二週間ほどキャロルたちと訓練をして、俺はレベル191、ロバート師匠は175にまでなった。

師匠はその感想をもらした。


「いやはや・・・トムが村に戻ってきた時に信じられないレベルになっておって驚いたが、こういう事をしておった訳か?」

「そうですね、ですから私がマジェストンにいたのは実際には3年と数か月になりますね。

かなりの時間を領域迷宮で過ごしましたから」

「なるほどのう・・・」


俺たちがそんな会話をしていると、キャロルが地上への帰還を促す。


「ではそろそろ地上へ戻りますか?」

「そうだな。

いや、今回は本当に助かったよ!キャロル」

「どういたしまして!

こんな事でよろしければいつでもどうぞ。

ま、マジェストンの学生でいる間だけですけどね?」

「ははは、そうだな、エイジュたちもありがとう」

「いえ、私たちの訓練にもなりましたので」


俺たちは地上へ戻り、別行動でサーバントたちと訓練していた3人組も、レベル70から80ほどになって訓練を終了し、俺たちは村へと戻った。

大幅にレベルが上がって師匠たちも満足のようだ。


「うむ、わしもこの年になって、これほどレベルが上がるとは思いもしなかったわ」

「あっしらもでさあ!」

「ああ、やはりトムの旦那について来て正解だったな!」

「まったくだぜ!

ロバート師匠に魔法も教えてもらえるし、ここで俺は人生をやり直しますぜ!」

「これからもよろしくお願いしやす!トムの旦那!」


どうも三人組の俺の呼び方は結局「旦那」になったらしい。

まあ、親分とか言われるよりはマシなので、これで良いか?

これからいよいよ村の防衛強化だ!



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