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トム・サテナ 12 ホワイトウィーゼルとの戦い

 攻めてきた盗賊どもが約120人。

なるほど、盗賊団としては驚くほどの大規模だ。

こうして各村を襲ってイナゴのように食いつくしてきたのか?

俺は盗賊共が村の近くまで来ると、土塁の内側に作った矢倉に登ってそこから叫んだ。


「止まれ!お前たちは何者だ!

この村に何をしに来た!」

「ああん?俺たちは盗賊団のホワイトウィーゼルよ!

俺はその頭目のノーロイだ!

お前こそ何者だ?」

「俺はこの村の人に防衛を頼まれてやってきた。

トリプルスターのトム・サテナという者だ!」

「トリプルスター?」


トリプルスターと聞いて盗賊どもの間に動揺が走っている。

これもホウジョウ先生に習った方法だ。

相手を名前で威嚇するのも一つの方法で、相手がそれを知っていれば、士気を下げて、戦いを有利に進める事が出来ると聞いた。

案の定、盗賊団どもは「あの悪魔集団を撃退した・・・」「帝都の防衛部隊より強いと言われている・・」「おい、まずいぞ」などと話しているのが聞こえる。

どうやら「トリプルスター」という名前は威嚇効果があったようだ。

相手は少々動揺している様子だ。

ここで俺は畳み込む。


「そうだ!お前たち!

ここで引き上げるなら見逃してやる!

だがそれ以上進んでこの村を襲うと言うならただではすまさんぞ!」


しかし相手の頭目はそんな俺の言葉を笑い飛ばす。


「ははは、ただではすまさんだと?

笑わせるわ!

おい!お前ら!こんな貧弱な柵など壊してとっととこの村に攻め込んで何もかも奪いつくせ!」

「「「「「「 おおおっ! 」」」」」」


頭目のノーロイの合図とともに盗賊たちは村に襲い掛かる!

しかし当然の事ながら木の柵や空堀に阻まれて簡単に村へ侵入する事は出来ない。


「ええい!登れ!登れ!」


柵を越えて来た盗賊たちは土塁を登ろうとするが、もちろんそう簡単には登れない。

そこですかさず俺が村人たちに命令する。


「今だ!盗賊たちに石をぶつけるんだ!」


俺に言われてそれまでは土塁の内側に潜んでいた村人たちがサッと!立ち上がり、中に持ち込んだ石を盗賊たちに向かって一斉に投げる!

いきなり石を投げつけられた盗賊たちは悲鳴を上げる!


「ぐわっ!」

「いててて!」

「こいつら!」


そしてジェリーがチルンに命令する。


「チルン、土塁を上ってくる盗賊どもを蹴散らしてきなさい!」

「はい!ジェリー様!」


そう返事をするとチルンはダッ!と飛び出して土塁を登って来ようとする盗賊どもに飛びかかる!


「うわっ!なんだ!このネズミみたいのは!」

「やめろ!」

「うわ~っ!」


チルンはその持ち前の素早さで盗賊たちの頭から頭へと飛びまわり、噛み付き引っかいて回る!

土塁を登るために両手がふさがっている盗賊どもは次々にチルンに翻弄されて下へ落ちていく。

それを見ていた敵の頭目はいらついて唸り声を上げる。


「ぬう!何だあの体たらくは!」


正面からの突破は難しいと判断したノーロイが部下たちに命じて側面から攻めようとする。


「ええい!回り込め!

側面に回り込んで村の別の場所から入り込め!」


しかしそこには考案者直伝によるポリーナ式針鋲陣を俺自らが敷いていた!

正面から左右に回り込もうとした盗賊どもはそこへ突っ込む事となった!

そんな物の存在すら知らない盗賊たちはたちまちそこにあった太い針を踏み抜く!


「あぎゃ!」

「うぎゃあ!」

「な、何だ!どうした?」

「わ、わかりません!」

「頭!ここに何か針みたいな物が埋まってます!」

「針だとぅ?」

「いえ、針だか釘だかわかりませんが、とにかく足に突き刺さる物です!」


そしてその針鋲陣の外側からは偽者3人組が盗賊たちをはやし立てる!


「オラオラ!どうした盗賊ども!」

「ここまで来て見ろよ!」

「この根性なし共が!」


そう言って盗賊団をあおりながら、それぞれが火炎魔法や凍結魔法で攻撃をする。

うん、この辺はさすがに一応全員が魔法使いだ。

そしてそこに一緒にいたテディも盗賊たちを煽る。


「さあ!かかってくるクマ~!」


そう言いながらテディも凍結魔法グラツィーオを放つ!

4人に煽られた盗賊たちが我を忘れて次々と足を踏み出して針鋲陣に引っかかって行く。


「こいつら!あぎゃ~!」

「舐めるな!うぎゃ~」

「なんだ!このクマのぬいぐるみは!おげぇ!」

「ぬぬぬ・・」


これによってかなりの盗賊共が歩行不能となった。

俺が設置したポリーナ直伝の針鋲陣は大成功のようだ!

さらに動きの止まった盗賊どもを狙って、ここぞとばかりに土塁の内側から村人たちが石やら弓矢で攻撃をする。


「うぎゃあ!」

「こいつら!」


次々とやられて行く部下たちを目にして、焦った頭目のノーロイが叫ぶ。


「ぬう!貴様ら!おい!今なら許してやる!

門を開いて俺たちを中へ入れろ!」


そんな盗賊の頭目の言葉に俺はせせら笑って答える。


「何を馬鹿な事を言っている!

それはこっちのセリフだ!

今降伏するなら魔法協会へ突き出しても弁護してやるぞ!

さあ!どうする!」

「ぬう!たかがこんな田舎村の風情で生意気な!

ええい!お前ら!何としてでもあの土塁を乗り越えて村の中へ入りこめ!」


しかしいくらノーロイが部下に命令をしようとも、そんな事ができるはずもない。

村からの石と弓矢の攻撃で盗賊側の怪我人は増える一方だ!

すでに盗賊どもで怪我をしていない者は半分にも満たない。

そろそろ頃合いだ。

村人たちの訓練にも十分になった。

いよいよ総攻撃の開始だ!


「よし、マイク、ナンシー!左右から挟撃だ!」


俺の命令により、外に隠れていたマイクとナンシーが、たちまち左右から戦闘タロスを300体ずつ生成して、盗賊たちに襲い掛かる!


「なっ!これは!」


合計600体にも及ぶレベル100の戦闘タロス集団に襲われては怪我人を含む100人程度の盗賊団ではひとたまりも無い。

本来ならばこの戦闘タロス集団の力押しだけでも相手を殲滅可能だったのだが、今後のために村人たちに防衛方法を教えるために今までは控えていたのだ。

その総攻撃がいよいよ始まる!

慌てふためく盗賊団にここぞとばかりに俺たちは全力で攻撃を仕掛ける!


「今だ!全員攻撃開始!」

「うむ!」

「任せて!」


俺の合図により、師匠やジェリー、サーバント、ヘルパーの魔法使い組は火炎や雷撃の魔法で攻撃し、村人たちは今まで以上に槍や石を投げて総攻撃だ!

さしもの100人を超える盗賊団もこの総攻撃にはたまらず、次々と倒れていく!


「うぎゃ!」

「助けてくれ!」

「もうだめだ!」

「降参だ!」


盗賊たちは次々と投降するが、頭目はそれでも降参をしない!


「お前ら!情けないぞ!

俺に続け!」


そう言って自らが正面から挑んでくる!

さすがは近隣の村々に恐れられている大盗賊団の首領だ!

俺は鑑定魔法でこの頭目を調べてみると、レベルは何と125だ!

とても盗賊とは思えない驚きの数値だ!

これでは今まで誰もこの男に勝てなかったのも無理は無い!

何しろ組合員で言えばこいつは1級の実力なのだ!

道理で今までこの盗賊団が討伐できなかった訳だ!

そう考えた俺は全員に指示を出す。


「全員!あの盗賊頭に集中攻撃だ!」

「「「「 了解! 」」」」


俺の指示で師匠や村人たちは頭目であるノーロイに集中攻撃をする。

それでもノーロイは剣と盾でその攻撃をしのぎ前へ進む!


「はっ!この程度で俺様をやれると思うなよ!」


さすがはレベル125という所か!

俺はそんなノーロイにある特殊な呪文を放つ!


「デュアル・フルモバート・アニーミ・エスト!」


俺の呪文で出現した鳥型のタロスが敵の攻撃を避けながら飛んで行き、頭目であるノーロイの背後に回ると、そこから相手の無防備な部分であるうなじを目掛けてその嘴を突き立てる!

途端にその鳥型タロスに仕込んであった中位雷撃が発動し、相手の全身に放たれる!


「うぎゃ~っ!!!」


集中攻撃を散々受けた後での俺の雷撃呪文で、さしものノーロイもバッタリと倒れる!

そこへ他の呪文や弓矢と石が集中し、そのままノーロイは動かなくなる。

すかさず俺はラボロたちを繰り出し、動かなくなったノーロイを縄で雁字搦めに縛りつけた!

俺たちの勝利だ!


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