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トム・サテナ 06 宴会と土産

 翌日になって村の広場で俺の魔道士合格記念宴会が開かれた。

まずは村長様が俺の事を村人たちに報告するために叫ぶ。


「皆の者!

今日は集まってくれてありがとう!

知っての通り、今日は新たに我が村に誕生した魔道士トム・サテナの宴会だ!

彼は3年の間、勉学に励み、この度、魔法協会が認める正規の魔道士となってこの村に帰って来た!

これでこの村にはロバート先生とトム、いやトム先生と二人の魔道士がいる事となった!

これから彼はこの村にとってかけがえの無い人物となるであろう!

皆の者もこれからはトム先生と敬い、彼に接するように!

しかも彼はこの村の各家庭に上等な鋼鉄製の鍬を一本ずつ土産としてくれるそうだ!

各家庭に最低でも一本、畑の働き手が3人以上いる場合は、2本土産としてくれるそうだ!

宴会から帰る時には皆、トム先生に感謝して忘れずに持って帰るように!

そして今回の宴会の酒やフェイアリンもトム先生からの提供だ!

パンも特別な店の素晴らしい味のパンだぞ!

それでは皆の者、トム・サテナ先生の魔道士合格を祝って乾杯だ!」

「「「「「「 乾杯! 」」」」」


こうして俺の魔道士合格祝いの宴会は始まった。

確かにこんな200人にも満たない村で魔道士が二人もいるなど珍しい事なので、宴会は盛り上がった。

それに田舎の寒村で、こんな祝い事自体が珍しいのも大きい。

俺もここぞとばかりに持ってかえって来た酒樽やフェイアリン、サクラ魔法食堂の特製調合粉を提供した。

その調合粉でナンシーやうちのジャベックたちにパンを焼かせる。

幸いな事に俺がもらったジャベックはホウジョウ先生が基本的な料理などは仕込んでおいたらしい。

特にナンシーはホウジョウ先生の料理専用ジャベックのマミヤとイラコからいくつかのチキュウ料理を習っているそうなので、材料と道具さえ揃えば、いつでも出来るそうだ。

これは俺の期待も大きい。

そしてパン作りは村の女性たちも手伝ってくれた。


「いやあ!とにかくめでたい!」

「俺はトムならやると思っていたよ!」

「うそつけ!お前、村長にトムからの便りがないって言われた時、マジェストンで女でも作って逃げたとか言っていただろう!」

「そ、そんな事はない!」

「だいたい、トムじゃねえ!トム先生と言えよ!」

「あ、ああ、トム先生だ」

「ところでこのパンは一体どうしたんだ?

こんな柔らかくてうまいパンは初めて食べたんだが?」

「ああ、全くだ!

これと比べたら今まで俺が食べていたパンは何だったと思うくらいだ!」

「これはトムが持って帰ってきたどこかの有名店のパンの調合粉で私たちが焼いたのさ!

サクラ何とかって言っていたかね?

私も食べてみて驚いたよ!」

「確かにこんなパンを食べたのは生まれて初めてだ!」

「それにしてもトムの振る舞い酒とはうれしいな」

「ああ、酒が10樽も飲めるとはね」

「ああ、大したもんだ!」

「さすが正規の魔道士様は違うな!」


その会話に俺は苦笑した。

酒を持って帰る事と、魔道士に合格したという事は何の関係もないんだがな・・・


 子供たちも俺に近寄ってきて、俺に魔法をせがむ。

この3年の間に知らない子も増えたようだ。


「ねえ、トム先生は魔法が使えるんでしょ?」

「ああ、そうだよ」

「じゃあ、何か魔法を見せてよ!」

「そうだな・・・じゃあ、鍋に水でも入れて持ってきてごらん」

「は~い!」


そう言うと子供たちが鍋に水を入れて持ってくる。


「はい、持って来たよ!

トム先生!」

「よし、じゃあ見ててごらん!

凍結魔法グラツィーオ!」


俺が呪文を唱えると、たちまち鍋の水は凍りつく。

それを見た子供たちは大はしゃぎだ!


「凄い!凄い!

ねえ、もっと見せて!」

「そう言えば、トム先生は魔法で空も飛べるんでしょ!

飛んで見せてよ!」

「はは・・・そうだな・・・確かに航空魔法で空も飛べるけど、こんなのもあるよ。

こっちは君たちが自分で楽しめるぞ」


そう言うと俺はマギアサッコから紙を出して紙飛行機を折ってみせる。


「これはボクが学校で友達に教わった物なんだよ」

「なに?なんなの?それ!」


子供たちは俺の折り紙に興味津々だ。

俺は折り終わった紙飛行機を子供たちに見せると、スッと飛ばして見せる。

ホウジョウ先生に教わった紙飛行機は見事に飛んで行き、子供たちは大はしゃぎだ!


「すっご~い!

紙切れが空を飛んだよ!」

「はは・・・ホラ、君たちにも紙を上げるから自分で作ってごらん。

楽しいよ」

「うん!ありがとう!トム先生!」

「折り方はこうだよ」


子供たちは俺が教えてあげた紙飛行機に夢中だ。

ま、俺も魔法学園祭でホウジョウ先生やシルビアさんに一生懸命教わって飛ばしたからね。

気持ちはわかる。


 俺は良い機会なので、ホウジョウ先生からもらったマイクとナンシーたちジャベックも村人たちに紹介しておいた。

まず師匠と村長はオリオン級とヒミコ級のジャベックの説明に激しく驚いていた!


「なにっ!するとこのマイクと言う黄色い髪のジャベックと、ナンシーと言う黄緑色の髪のジャベックは、お前と同じく魔道士級の魔法を使えるという事なのか?!」

「はい、その通りです」

「ではこの村にはお前とロバート殿を含めて魔道士が4人いるようなものではないか!」

「そうなりますね。

但しジャベックに仕事を指示するのには少々特殊な言い方が必要なので、実際に使うのは私かロバート師匠しか出来ないでしょうが」

「それでも大助かりではないか!」

「そうですな」


村長様の言葉に師匠もうなずく。

そして確認のためか俺に質問をする。


「しかし魔道士級という事は、タロスも出せるという事か?」

「ええ、もちろんです。

マイク、ここで戦闘タロスを10体出してみろ」

「かしこまりました。トム様。

アニーミ・デク・エスト」


俺に命令をされたオリオン級ジャベックのマイクが呪文を唱えると、そこには10体のオレンジ色の甲冑姿のタロスが現れる。


「おお!本当だ!」

「これは凄い!」


俺はさらにホウジョウ先生からもらった試作開墾ジャベック「クルティボ」の説明をする。


「そしてこの開墾ジャベックのクルティボも開墾のためのタロスを出せますよ。

それで岩を砕いたり、木を切り倒す事も可能です」

「むむむ・・・確かにこのジャベックがあればこの村の開墾を思う存分できそうじゃ。

でかしたぞ!トム!」

「いいえ、これも全て魔法学校へ行って良縁に恵まれたおかげです」

「うむ、これほどトムを鍛えてくれて、このような物を頂くとは、そのホウジョウ子爵様とグリーンリーフ先生には村ごと感謝せねばならないのう、ロバート先生」

「全くその通りです」


そしてボーイことファーマー1号、2号と、メイドことデプティ1号、2号も紹介する。

ファーマーは主に開墾と農作業を、デプティには家の事や俺の身の回りの世話をさせるつもりだ。

俺のジャベックを見た村長様が感心したように俺に話す。


「うむ、正規の魔道士となり、これだけのジャベックを部下にするのであれば、トムもそろそろ独立させてやらねばな。

のう、ロバート先生?」

「そうですな」


村長様の言葉に師匠もうなずく。


「元々魔道士となって帰って来たら、この村のどこかに土地をやって家を建ててやるつもりであったが・・・」

「ええ、それが良いと思います。

どうかな?トムよ」

「はい、それは大変ありがたい話です」

「どこか希望する場所はあるか?」


そう村長様に言われて俺は考えて答えた。


「そうですね、それでしたらこれからは開墾に力を入れたいので、それにふさわしい場所をお願いしたいです。

荒れ地の近くで川のそばが良いですね」

「うむ、それでは好きな場所を選ぶが良い。

そこに村人総出で家を作ってやろう」


しかしその村長様の申し出を俺は制止する。


「あ、いえ、場所をいただいて、村の林の木や石を好きにさせていただければ、後は自分で家を作りますので」


その俺の言葉にまたしても二人は驚く。


「何、自分で家を?」

「お前、そんな事が出来るのか?」

「ええ、その友人のホウジョウ子爵様にそういった事も学んでおりますので、自分で家を建てようかと考えております。

それも最新式の家を」

「ほほう?そのような事まで?

うむ、では任せよう。

好きにして良いぞ。

それと家を作るならば色々と物入りになるであろう。

これを使うが良い」


そう言って村長様は俺に金貨を10枚渡してくれた。


「ありがとうございます。

それでは明日からにでも早速そうしたいと思います」


 村長様の許可をいただいたので、俺は翌日から自分の家作りを始めた。

うちの村から一番近く大きな町、アジャスタにマイクやナンシーと一緒に行って、様々な大工道具や材料を買い込んできた。

村長様のおかげで随分と色々と買う事が出来た。


「さてと、じゃあ道具や材料も揃ったから始めるか!」


 俺はまずは近くの川から水を引き、ホウジョウ先生に教わった濾過槽のついた貯水槽を作り、いつでも家で水が使えるようにした。

そして師匠の助言に従い、家はかなり大きい物にした。

俺は自分とジャベックたちが暮らせればそれで良いと思っていたのだが、師匠が将来の事も考えて家族数人で暮らせるようにしておいた方が良いと言われたからだ。

それに客も呼んだり、開墾の事で会議をしたりする事もあるだろうと言われて応接室や客室、それに会議室を作ったりもしたので、予定よりも数倍大きな家になってしまった。

これではちょっとした御屋敷だ。

俺はその家を作りながら師匠の言葉を思い出していた。


「いずれお前も結婚して子供も出来るじゃろうからな」


そう言って師匠は笑ったが、俺の結婚なんぞ、一体いつになる事やら・・・

この村には俺と年齢が釣り合いそうな女性はいないので、おそらく嫁をもらうとすれば村の外から探して来なければならないだろう。

果たしてこんな田舎の寒村に来てくれるような嫁がいるだろうか?

そんな事を考えながら俺はジャベックやタロスたちを指揮して自分の家を作っていた。


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