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トム・サテナ 05 帰郷報告

その魔道士の杖を見た師匠は驚いた。


「なっ!お前、これは・・・

さぞかし高かっただろうに・・・」


さすがに師匠は一目見て、この杖の相場がわかったようだ。

この杖は金貨5枚もしたのだ。


「はい、それなりの値段はしましたが、お世話になった御師匠様のためにと」

「そうか、こんな高い物をすまないのう?

大切に使わせてもらうからな。

で、こっちの黒い筒はなんじゃな?」

「はい、それは望遠鏡と申しまして、遠くの物が大きく近くに見えるようになる物です」

「遠くの物が近くに見える?

言っている意味がよくわからんが・・・」

「実際に御覧になればわかります。

これをこうして伸ばして外を御覧になってください。

あ、但しラディは決してみないように注意してください。

目が潰れてしまうそうです」


俺が望遠鏡の使い方を説明すると、師匠は外に向けてそれを覗く。


「目が潰れる?

それは恐ろしいな?

よく注意しなければの。

ふむふむ・・・こうか・・・

なんと!これは!

遠くの物が大きく、近く見える!

これは一体どういう魔法道具なのじゃ?」


驚く師匠に俺が説明をする。


「これは魔法道具ではなくカガク道具という物だそうです」

「カガク道具?」

「はい、何でも窮理に従って作られた道具で、透鏡レンズの光に対する性質を利用しているそうです。

これもホウジョウ子爵が作られた品物の一つです」

「何と、これもそのホウジョウ子爵様が!?」

「はい、そのホウジョウ子爵という方はとにかく様々な物を考案する天才でして、何しろその関係でメディシナー侯爵やロナバール総督閣下、果てはローレンツ殿下とも御友人でいらっしゃいまして・・・」

「何と!ロナバール総督閣下やローレンツ殿下まで!

お前!本当にそのような方と友人なのか?」

「はい、先ほどもお見せした通り、大変懇意にさせていただいて、私は「ホウジョウ先生」と呼び、ホウジョウ子爵も私の事を「トム」と呼んでいただく関係でございます」

「むむむ・・・そのような方とお前がそれほどの友誼を・・

 本当にお前は良い縁に恵まれたのう・・・」

「はい、私もそう思います。

私は早くに両親に先立たれた事は不幸と考えておりましたが、この3年間はそれを埋め合わせるほどの幸運に恵まれたと考えております。

実際、これは早くに亡くなった両親が私に不幸の埋め合わせをしてくれたのではないかと思うほどです。

事実、私と同じ中等魔法学校の者で同じような運に恵まれたのは、一人はすで魔道士の力を持っていた、師匠と同じ位の年の同級生、もう一人は帝国男爵令嬢で魔人の少女です。

何の変哲も無い私のような小僧がこんな幸運に恵まれたのは本当に僥倖としか言いようがありません」

「確かにそうかも知れんな・・・

わかった、ともかく村長様の所に行こう」

「はい」


村長様の所に行くと、俺は大歓迎された。


「いや、トムよ!

待っておったぞ!

知らせは聞いておる!

よくぞ見事に魔道士になって戻ってきてくれた!

これでこの村には正規の魔道士が二人もいる事になった!

こんな小さな村にありがたい事だ!」

「はい、これも村長様が私の学費や生活費を出していただいたおかげです!」

「何の!それはこれからこの村で働いて返してもらうぞ!

期待しておる!」

「はい、お任せください!」

「して先ほどから気になっておるのだが、そちらの二人はどちら様かな?」


村長様は俺の横にいるマイクとナンシーを見て、師匠と同じように不思議そうに尋ねる。


「はい、この二人は私がマジェストンで世話になった方から卒業祝いにと、いただいたジャベックでございます」


俺の説明に村長様は激しく驚く。


「なにぃ~!

ジャベックだと!

どうみても平人にしか見えないが?」

「はい、この二人はとても高性能で頼りになります。

マイクとナンシーと名づけました」

「むむむ・・・ジャベックと言えば、煉瓦を積んだような者や、木の人形のような者だと思っていたが、このような人間そっくりな者まであるとはな・・・」

「はい、しかもこの二人は日常会話も可能な上に、私同様魔法まで使えるので、この村の発展にはとても役に立つと思います」

「何と!話せる上に魔法まで使えるのか!

それは頼もしいのう!」

「はい、明日からでも早速村の開拓や農作業を始めたいと思います」


しかし急ぐ俺を村長様が止める。


「まあ、待て!

そう慌てなくとも良い!

せっかく村に帰って来たのだ!

2・3日はゆっくり休むが良い。

そうそう、明日にはお前の魔道士合格祝いの宴会でも開いてやろう!」

「ありがとうございます。

私からも村長様にお礼の品がございます」

「ほほう、何かな?」

「ええ、村長様のおかげで私もこうして魔道士になれましたので、いささかでも御礼にとマジェストンで土産として購入してきた物がございます」

「ほほう、それはすまないのう」


ここで俺はマギアサッコから銀の食器と燭台と蝋燭、そして望遠鏡を出して見せた。


「おう!これは・・・」

「はい、こちらは銀の食器と燭台、それに蝋燭でございます」

「ほほう・・これは中々立派な・・・しかも銀の食器など高かったろうに・・

この燭台も銀製だし、蝋燭もずいぶんと高級そうだ。

気を使わせてすまなかったな?」


そう言って村長様はズラリと並んだナイフやフォークを眺める。


「いいえ、お世話になったのですからこれ位は当然の事です。

それとこれは望遠鏡と申しまして、遠くの物を近くに見せる道具です」


しかし村長様はキョトンとして俺に聞き返す。


「・・・すまん、トムよ、意味がわからなかったのでもう一度説明してはくれないか?

一体どんな道具だと?」


無理も無い。

そんな道具があるなど理解できないのだろう。

俺だって最初にホウジョウ先生に見せられた時はそうだった。


「説明をするよりも実際に使ってみた方が早いです。

ここをこうしてこちらから中を覗いて外を見てください」


俺の言う通りにして望遠鏡を覗いて外の景色を見た村長様が驚きの声を上げる。


「おう!何だこれは!

外の景色が近くに見えるぞ!

納屋がこんなに大きく見えるぞ!

山も近い!」

「ええ、これはカガク道具と言って、私の友人が発明した物です」


俺がそう説明すると、師匠も笑って話す。


「ははは・・・私も先ほど同じ物をトムからもらいましたが、驚きましたよ」

「むむむ・・・確かに!

これは色々と使いでがありそうだ!

良い物をもらった!

トムよ、ありがとう!礼を言うぞ!」

「いいえ、どういたしまして!

 あ、それとこれでラディは決して見ないでください。

 目がつぶれますから」

「何と目が?

 うむ、わかった。

 しかしこの道具は興味深いな・・・

 とても気に入ったぞ!

 その礼という訳ではないが、明日の宴会は村人を集めて盛大にやろうぞ!

 村の者たちにもお前が正規の魔道士になった事を知らしめなくてはな」

「ありがとうございます。

それでしたら私からもいくつか村の皆さんにも土産があるのですが?」

「村のみんなに土産を?

ふむ、何かな?」

「各家に鍬を一本ずつと、酒とフェイアリンを少々」

「鍬だと?」

「はい、これです」


俺はそう言ってマギアサッコから鍬を一本出して見せた。

それを見た村長と御師匠様が驚く。


「お前、これは鋼鉄製の鍬ではないか!」

「しかもこんな良い鍬は近くの大きな町でも売ってないぞ?」

「これを各家にとはどういう事だ?」

「はい、これを100本ばかり購入して土産として持ち帰りましたので、村の皆さんに一家に1本か2本、土産として配ろうかと考えております」


それを聞いて二人は愕然とする。


「百本だと!」

「お前、私への土産にしろ、村長様の土産にしろ、どうしてそんなに土産を買えたのだ?

しかもこんな立派な鋼鉄製の鍬を百本などと・・これはどう安く見積もっても大銀貨1枚はするだろうに!

それを100本も買えば、それだけでも金貨10枚はしただろう!」

「はい、話せば長い事ながら、私は本当にこの3年間は良い友人と師匠に恵まれまして、そのおかげで学生であるにも関わらず、かなりの稼ぎもあったのです」

「良い友人と師匠じゃと?」


驚く村長様に師匠が説明をしてくれた。


「ええ、私も先ほど聞いて驚いたのですが、何でもトムは帝国子爵様とも友人になり、レベルも162になったとか」


それを聞いた村長様も愕然とする。


「帝国子爵様と友人になった上でレベルが162だとぉ?

なんじゃそれは!一体どういう事なのじゃ?」

「ええ、私も最初は信じられなかったのですが・・・」

「むむむ・・・これは全く驚きじゃわい。

もう少し詳しく話してもらおうか?

食事でもしながらな」

「はい」


こうしてその日は食事をしながら村長様とお師匠様にマジェストンでの生活を説明した俺は二人に何回も驚かれたのだった。


「むむむ、しかしマジェストンの迷宮を制覇したり、帝都を襲った悪魔の集団を迎撃したなど、にわかには信じられぬわ」

「うむ、それに確か帝都を襲った悪魔を迎撃した連中は「トリプルスター」とか言う者だったと聞いておるが・・・」

「そう言えばそうですな」

「はい、私がそのトリプルスターの一員でございます」

「「 なにいぃ~っ!! 」」


俺の説明に、二人が気持ち良いほどに同時に重なって叫ぶ。

興奮した村長様が俺に問いただす。


「トムよ、本当か?」

「はい、トリプルスターとは個人の名前ではなく、帝都を襲った悪魔迎撃のために、臨時に結成された60人ほどの魔道士の集団の名称でございます。

私もその一員で、これがその証でございます」


そう言って俺はトリプルスターの隊員メダルと団員証明書、悪魔討伐参戦章の3つを二人に見せる。


「ほ、本当だ!

メダルにトムの名前が彫ってあって、ホウジョウ子爵様の名前と紋章まで刻み込まれておる!」

「ええ、まことに!」

「知らぬうちにわが村出身の者が帝都防衛の英雄にまでなっていたとは・・・」

「私も驚きです!」

「全くこれでトムは我が村の自慢の人材になったのう」

「そうですな」

「トムよ。

今夜は我が家に泊まって行け。

まだまだ色々と話を聞きたいのでな」

「はい」


俺はその日、食事が終わった後も、色々な話を村長様と師匠に話したのだった。



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