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ポリーナ・パーシモン 22 肉まん

 ポリーナが部屋で寛いでいると、しばらくしてマーガレットが迎えに来る。


「晩餐の御用意ができましたので、御案内させていただきます」

「はい、ありがとうございます」


ヴェルダたちジャベックは部屋に残してポリーナはマーガレットについていく。

晩餐にはポリーナが見た事もない料理が並べられて驚く。

いや、見た事のある料理もあった。

それは「鳥のから揚げ」だった。

アースフィアには蒸し物同様、まだ油で「揚げる」という調理法は無かったために、ポリーナはシノブの家で初めて食べたのだった。


「これは・・・」


ポリーナの視線に気づいてレオニーが嬉しそうに話しかける。


「あ、わかる?ポリーナさんもシノブさんの所で食べたかしら?」

「はい、これ、おいしいですよね?」

「ああ、そうだ。俺たちも気に入ったんでな。

ここでも作る事にしたんだ」


レオンの話を聞いてポリーナも嬉しそうに話す。


「私もシノブさんから料理を習って来ているんです!」

「へえ?どんなのを?」

「とてもおいしい料理で「肉まん」って、いうんです!」

「ニクマン?それは食べた事がないな」

「ええ、私も・・・」

「はい、最近シノブさんが開発された食べ物なんです!

それがとてもおいしいので、私がそれを作れるようになりたいと言ったら、シノブさんが丁寧に教えてくださって」

「へえ?それはちょっと食べてみたいな」

「そうね」

「はい、シノブさんが必ずメディシナーへ行ったら、レオニーさんとレオンハルトさんに食べさせて欲しいと言っていました」

「へえ?シノブが?」

「それは興味深いわね?」

「はい、それとエレノア先生が、是非パラケルスさんという方にも食べさせて欲しいとおっしゃっていました」

「へえ?曾爺さんにも?」

「エレノア先生がそこまでおっしゃるとは・・・」

「ポリーナちゃんはそれを作れるのかい?」

「はい、材料さえあれば、今すぐにでも!」

「へえ?じゃあ明日の昼にでも作ってもらおうかな?」

「そうね、それまでに曾御爺様も御呼びしましょう」

「そうだな」


翌日になるとポリーナは厨房を借りると、肉まんを作り始めた。

レオンが作り方を覚えさせたいと言うので、屋敷の料理長と、マーガレット・パターソンも一緒に見ている。

ポリーナが自分のマギアサッコから出した器具の説明をしながら肉まんを作る。


「これが蒸篭せいろと言って、この料理に必要な調理器具なんです」

「へえ・・・蒸篭せいろねえ・・・」

「私も初めて見ます」


料理長とマーガレットが初めて見る蒸し器を前に感心して眺める。


「はい、これは蒸し器と言って、こんな具合に蒸し鍋と組み合わせて使うのです」

「なるほど」

「これは「蒸す」と言う調理法で、シノブさんが御自分で開発された調理法です」

「へえ・・・「蒸す」ねえ」

「さすがシノブ様ですわ!

このような斬新な調理法をまたもや考え出すとは・・・」


マーガレットはシノブの料理知識に改めて感心する。

彼女はかつてシノブの屋敷で家政婦長のキンバリーから料理を教わっていたが、それが全てシノブの考案した料理と聞いて驚いていた。

もっともシノブは全て自分の故郷にある料理で、自分はたまたまそれを覚えていただけだと言っていた。

そして時間が空いた時はシノブ自身にも少々料理を教わって、その広く深い知識に驚いていた。


「ええ、シノブさんとエレノア先生はこの製法をしばらくは秘密にしておきたいと言って、マーガレットさん以外には、レオンさんとレオニーさんが許可した人以外には教えてはならないと私におっしゃいました」

「まあ、私一人を名指しで?

お二人はそこまで私を信用していただいたのですか?」

「ええ、そうです」


ポリーナの返事にマーガレットが嬉しそうに答える。


「では早速教えてください。

ポリーナさん」

「はい、わかりました」


ポリーナは慣れた手つきで生地と肉餡をつくり、形を整えると蒸篭で蒸し始める。


「これでしばらく蒸せば出来上がりです」


蒸し終えて出来上がった肉まんをポリーナは皿に盛って食堂へ持っていく。

一部は厨房に残し、メディシナー家の料理人たちにも食べてもらう。


「さあ、皆さん、召し上がってください。

最初は熱いから注意してくださいね」

「どれどれ・・・おわっ!熱っ!ずいぶんと熱いな!」

「まあ、本当、とても熱いわ!

・・でも凄く柔らかい・・・」


肉まんを食べ始めたレオンが絶賛する。


「これはうまい!

うまいよ!ポリーナちゃん!」

「ええ、本当に・・・いかがです?曾御爺様?」

「うむ・・・なるほど、さすがグリーンリーフ先生が薦めるだけの事はあるのう・・・

これはうまい!しかも老人のわしにも柔らかくて食べ易いわい」

「ええ、この肉まんはロナバールでも老若男女、誰にでもとても大人気なんです!」

「そりゃそうだろ!」

「ええ、それはわかりますわ」


一緒に食べていたドロシーやマーガレット、オーベルも絶賛する。


「これはおいしいです!」

「ええ、これは私も、もっとポリーナさんに詳しい作り方を教わらなくては・・・」

「いやはや、僕がいなくなった後でこんな物を作り出すとはね?

相変わらず、シノブ君はとんでもないねぇ」

「はい、ロナバールではこの肉まんのお店を作って、そこが毎日大繁盛なんです!」

「それはわかるな~」

「これはメディシナーでも是非流行らせたいわね」


レオニーがそう言うと、レオンハルトがうなずいて話す。


「それならポリーナちゃんに手伝ってもらって、ここでも店を出せばいいんじゃないの?」

「そうね!ポリーナさん!手伝っていただけるかしら!」


しかしそのレオニーの言葉にポリーナの表情が暗くなる。



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