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ギルバートと仲間たち 16 ゴブリン退治

 ギルバートたちは全員がレベル60も超えたので、5級検定のミノタウロスを相手にしてみたがあっさりと倒す事が出来た。

そこで今度は4級に備えてゴブリンロードを討伐に行ってみる事にした。


「じゃあ、いよいよゴブリンロードを狩りに行ってみるか?」

「俺たちはもう全員がレベル60を超えているんだし、大丈夫だろう?」

「全員5級のミノタウロスを倒せるようになったしね!」

「うむ・・・しかしやはり不安だな」

「そうだなあ・・・キャプテンやチーフは相手にした事があるが、ロードは別物らしいしな」

「うん、油断は禁物だし、確かに誰かに指南して欲しい処だな」

「ボロネッソ先生に聞いてみるか」

「ああ、それがいいだろう」


一行が魔法訓練所へ行ってボロネッソに尋ねると彼女も考え込む。


「そうねぇ・・・私達中堅の魔道士ならばロード位ならジャベック2・3体と自分一人でも大丈夫だけど、その方法はあまり参考にならないわねぇ」

「そうですね」


正規の魔道士であるボロネッソと、たかだか一人が一つの魔法しか使えないギルバートたちでは魔法の力量に天地の差がある。

そのボロネッソの方法を聞いても、ギルバートたちには実行不可能なのは容易に想像がつく。


「今、あなたたちのレベルと魔力量はどれくらいなのかしら?」

「はい、レベル65で魔力量は2万ほどです」


そのウォルターのレベルと魔力量を聞いてボロネッソが驚く。


「えっ?そんなに?

確か魔法を習い始めた時はレベル18位で魔力量も500も無かったわよね?

それがここ2ヶ月くらいで?

そんなレベルになるのなんて、普通だったら5~6年はかかるわよ?」

「はい、色々とあって」

「凄いわね?それならレベルと魔力量だけなら卒業したての平均的な正規の魔道士より上だし多いわよ?」

「え?そうなんですか?」

「ええ、だって卒業してから10年以上経っている私だって、まだレベルは73で魔力量は35000程度よ?

このまま行ったらウォルターさんたちに追い越されちゃうのは時間の問題ね?」

「ははっ、先生を追い越すなんてありえませんよ」

「そうかしら?

ところでウォルターさんは今どれくらいタロスを出す事が出来るのかしら?」

「え~と、魔力量が20000なので、150体くらいは出せますが?」

「それを全部いっぺんに出す事は?」

「え?そんな事はできませんよ?

150体どころか、私は1体ずつ出す事しかできません」

「ふ~ん・・・じゃあちょっとそれを教えておきましょうか?」

「え?いいんですか?」

「大丈夫よ、これはタロス魔法の一環だし、あなたは初級のタロス魔法を覚えるためにここへ来たんですからね。

流石にいっぺんに150体は無理かも知れないけど、20体や30体は出せるようになった方がいいですからね」

「ありがとうございます!」


このボロネッソの追加教育によって、ウォルターはそれまで1体ずつだしていたタロスをいっぺんに20体ほど出せるようになった。


「ふう、まあ、こんな所かしら?

後は自分で訓練してね?

これも訓練すればするほど数が多く出す事が出来るようになるから。

凄い人だと何千体、何万体と出せる人もいるのよ」

「そんなに?」

「ええ、だからあなたも頑張ってね?

それでゴブリンロードの事だけど、やはり私よりも組合で聞いた方が良いと思うわ。

アレクシアさん辺りに誰かを紹介してもらえば良いのではないかしら?」

「そうですね、色々とありがとうございました」

「いいえ、どういたしまして」


ギルバートたちはボロネッソに言われた通り、組合に行って受付長のアレクシアに聞いてみた。


「こんにちはアレクシアさん、実はゴブリンロードの事で伺いたいのですが、誰かゴブリンに詳しい人がいれば教えていただきたいのですが?」

「ゴブリンですか・・・以前はゴブリンキラーさんという人がいて助かったのですがねぇ」

「その人はどうしたのですか?」

「残念ながら1年ほど前に亡くなってしまったのよ。

ずいぶんな御年でしたからね」

「そうですか、それは残念です。

他には誰かそのような方はいらっしゃらないのでしょうか?」

「そうね、その方の唯一の弟子は今ここにはいないし・・・」

「その方に弟子がいたのですか?」

「ええ、弟子と言っても身内で玄孫の方ですけどね」


それは是非ギルバートたちも会ってみたかったが、ここにいないのでは仕方がない。


「なるほど、他にはどなたかいないですか?

話を聞けるだけでも良いのですが?」

「ああ、話だけならロメロさんがいるわね。

何しろあの人、そのゴブリンキラーさんと一緒にゴブリンキングを斃したというのが自慢の一つですから・・・

多分一杯奢ってあげれば、機嫌よく話してくれるわよ」

「え?ゴブリンキングを?

 ロメロさんって、あの組合員四級のロメロさんですか?」

「ええ、そうよ、後はサイラスさんが詳しいと思うわ」

「サイラスさん?」

「ええ、うちの一級の人で正規の魔道士なの。

確かここ最近はゴブリン退治に凝っていて、よくゴブリン関係のミッションを一人で受けているみたいよ?

うちとしても非常に助かるわ」

「そうですか?

ではその二人に話を聞いてみます。

サイラスさんというのはどういう方ですか?」

「長い銀髪の線の細い方よ。

魔道士の格好をしているし、必ずジャベックを数体連れて歩いているわ。

夕方頃になるとプロフェッショナルにいる事が多いみたいよ」

「ありがとうございます」


ギルバートたちが組合宿舎の食堂へ行くと、そこにはいつものようにロメロがいた。


「ロメロさん、お久しぶりです」

「おお、あんたたちすか?」

「はい、実はロメロさんにお聞きしたい事がございまして」

「おおっ!何でも聞いてくれっすよ!」

「ええ、実はゴブリンキラーさんとゴブリンキング討伐のお話を伺いたいのですが?」

「おおっ、それっすか?

まあ、話してもいいんですがね?」

「あ、これは酒代にどうぞ」


そう言ってギルバートが銀貨二枚を渡すと、ロメロは喜んで話始める。


「おおっ!いつも悪いっすねぇ?

こりゃとことん話させてもらうっすよ!」

「はい、お願いします」


ロメロはゴブリンキング討伐の経緯を話した。

すでに色々な組合員たちにせがまれて何回もその話はしているので、手馴れたものだった。

それを聞いたギルバートたちは感心する。


「ほう?ではそのポリーナさんと言う人がゴブリンキラーの名を継いでいるのですね?」

「ええ全く14歳、あ、いや今は16歳か17歳になったのかな?

とにかくそんな年齢の御嬢さんとは思えないほどっすよ」

「その方は今どうしているのですか?」

「ああ、今はホウジョウの兄貴たちと一緒にマジェストンへ行ってるらしいっすよ」

「え?青き薔薇ブルア・ローゾの団長のですか?」

「ええ、あの二人は仲がいいっすからね?

ポリーナさんは青き薔薇ブルア・ローゾの一員ではないですが、よく一緒にミッションとかもやっているっすよ。

確か昇降機設置の時も一緒にミッションをしていたらしいっすね?

まあ、あの人たちは全員副団長のエレノアさんの弟子らしいんで、みんな仲はいいすね」

「そうだったんですか?」

「そういう事っす」

「ありがとうございました」

「いやいや、また何か聞きたい事があればいつでもどうぞ」

「はい、よろしくおねがいします。

そう言えば、サイラスさんという方を御存じですか?」

「ああ、ジャベック愛好者のサイラスさんですか?」

「ええ、そのように伺っています」

「知ってますよ!

確かこの時間ならプロフェッショナルにいると思いますが?

何なら一緒に行ってあげましょうか?」

「そうしていただけるとありがたいです。

私たちはまだ自分たちではプロフェッショナルには入れないものですから」

「ええ、任せなさい!」


ロメロが機嫌よくギルバートたちを案内すると、ちょうど運よくプロフェッショナルにサイラスがいた。


「おおっ!サイラスさん!」

「おや?ロメロさん、どうしましたか?」

「いや、この人たちがサイラスさんに会って話がしてみたいというんでね?

ここに案内をしたんすよ!」

「おや、そうですか?

それでそちらの方々は?」


ここでギルバートが代表して挨拶をする。


「失礼いたします。

私はギルバートと申します。

実はゴブリン退治の事で聞きたい事がございまして、あなたに聞けば詳しく教えてくれると伺いましたので」

「なるほど、そういう事ですか?」

確かに私は最近ゴブリン退治に凝っていましてね?」


ここでロメロが不思議そうに尋ねる。


「へえ?そうなんすか?

なんでまた?」

「ええ、実は私はここ最近になってジャベックを作れるようになったのですが、その性能を試すためにゴブリンがちょうど良い相手なので色々と試しているのですよ。

それに知り合いにゴブリン退治に非常に詳しい人がいまして、その方に色々と教わったので、それを試してみたい部分もありましてね」

「え?ゴブリン退治に詳しい人?」


ギルバートが意外そうに尋ねると、サイラスがほほ笑みながら答える。


「ええ、ポリーナ・パーシモンという方なのですが、これがまた年が若いにも関わらず、ゴブリンキングを倒したほどの御嬢さんでしてね」


ここでロメロが納得をする。


「あ~そう言えば、サイラスさんも昇降機設置の時にポリーナさんと一緒に仕事をしていましたっけ?」

「ええ、そうです、その時にあのお嬢さんからゴブリン退治の秘訣を色々とお伺いしましてね」

「なるほどそういう事っすか?」

「ポリーナさんの事は、私たちも話には聞いております」

「そうですか?まあ高祖父のゴブリンキラーさんと共に有名な方ですからね。

それであなた方はゴブリンの何を聞きたいのですか?」


そのサイラスの質問にギルバートが答える。


「はい、実は我々はゴブリンロードに挑戦しようと考えているのですが、何しろ初めてな物でして、どなたかに多少指南をしていただければと、こうして伺った次第なのです」

「なるほど・・・では私が実際に御一緒しましょうか?」

「え?よろしいのでしょうか?」

「ええ、ゴブリンロードは初めての方には少々厳しいのでね?

経験者が一緒につく事はよくある事なのですよ」


そのサイラスの言葉にギルバート一行は喜ぶ。


「それは願ってもない事です!

 是非、お願いします」

「確か先ほど掲示板を見た時にはちょうどゴブリンロードの案件があったはずですよ。

では明日の朝、デパーチャーで待ち合わせをしましょうか?」

「はい、よろしくお願いします」


翌朝、ギルバートたちはサイラスとデパーチャーで待ち合わせをしていた。

サイラスはミッション掲示板を見てギルバートたちに話す。


「おや?ちょうどゴブリンロードの案件が二つあるようですね?

それでは2つとも受けてしまいましょう」

「よろしいのですか?」

「ええ、最初のを私が見本でやってみせますので、二つ目をあなた方だけでやってみてください」

「わかりました」


幸い両方ともロナバールから比較的近い場所だった。

最初のゴブリンロードの現場に到着すると、サイラスが説明をする。


「今回は人質がいるようなので、私がやってみましょう」

「はい、よろしくお願いします」

「まずゴブリンの巣窟を叩く時にはこちらの人数が必要になります。

そして人数が少ない時には必ずタロス使いが必要になります。

あなた方は6人ですが、ウォルターさんはタロス使いでしたよね?」

「はい、そうです」

「現在タロスの最大数はいくつまで出せますか?」

「はい、大体150体ほどです」


それを聞いたサイラスが少々驚く。


「おや、それは凄いですね?

それなら正規の魔道士に匹敵しますよ」

「はい、それは師匠であるボロネッソ先生にも言われました」

「おや、あなた方の師匠はボロネッソさんだったのですか?」

「はい、丁寧に教えていただき、我々全員感謝しております!」

「それならば安心ですね?

ゴブリン退治はまず、ゴブリンの巣窟を調べて逃げ道を塞ぐ事から始めるのですよ」

「なるほど」


サイラスはギルバートたちに事細かにゴブリン退治の基本を教え、実際にそれをやってみせた。


「このように人質を助け、ゴブリンを殲滅し、ミッションを完了させるのです」

「ありがとうございました!」

「では次の場所へ行きましょう。

場所も近いですし、今日中に終わらせる事も出来るでしょう」

「はい、ありがとうございます!」


ギルバートたちはもう一つのゴブリンの巣窟へ行き、サイラスの教えた通りに動いて、無事にゴブリンロードを倒す事が出来た。


「どうやら無事に終わる事が出来たようですね?」

「はい、これもサイラスさんのおかげです!

本当にありがとうございました!」

「ええ、この方法はゴブリンに限らずオークやコボルトなどにも通じる手段ですからね。

是非覚えておいてください」

「はい」

「これで四級昇格資格の「ゴブリンの短剣」も二本手に入った事ですし、あと四本は頑張ってくださいね?」

「はい、しかし本当に我々が二本ともいただいてしまってよろしいのでしょうか?」

「はい、私にはもう必要のない物ですし、私も今回の事でかなり自分のジャベックの勉強になりましたからね?

むしろお誘いいただいて、こちらが感謝しているほどですよ」

「ではせめて今日の夕飯位は御馳走させてください」

「ええ、では遠慮なく御馳走していただきます」


 こうしてギルバートたちは無事に四級資格である「ゴブリンの短剣」を着実に入手していったのだった。

無事にゴブリンロードを倒せるようになったギルバートたちは次の事を考えていた。

ウォルターが皆に提案をする。


「さて、どうする?

これで四級まで等級を上げてみるか?」


しかしその提案をギルバートは深く考えて答える。


「いや、今までの色々な人からの話を聞いて思ったんだが、やはり四級以上になるには相当魔法を使えないときつそうだ。

ここで俺たちも四級になる前に魔法学校へ行ってみないか?」

「つまり魔法士になる訳か?」

「ああ、そうだ。

四級になってしまったら恐らく義務ミッションや何やらで色々と忙しくなってしまって、稼ぎは良くなるかもしれないが、魔法学校へ行く余裕など無くなってしまうかも知れない。

それだったら今の我々はレベルに余裕があるのだから、等級を上げる前に魔法学校へ行って、先に魔法士になっておくべきなんじゃないか?」


そのギルバートの説明にウォルターもうなずいて答える。


「そうだなぁ・・・何しろあの青き薔薇ブルア・ローゾの人たちでさえ、三年間も組合を休んで魔法の勉強に専念している位だからなあ・・・」

「ああ、俺たちにはあの人たちと違って三年間も仕事を休む余裕などないが、仕事をして稼ぎながらでも魔法学校へは通っておいた方が良いと思う」

「そうだな」

「賛成だよ!」

「私も~」


こうしてギルバートたち六人は、それからしばらくの間は仕事に励み、盗賊を捕まえた賞金などもあって、貯金もかなり出来たので、魔法学校に入る事にした。

ギルバートたちは様々なミッションをやって金を稼ぎながら、その合間に魔法学校へと通った。

しかしながらレベルにはかなり余裕があったので、稼ぐのは思ったよりも厳しい状況ではなかった。



そんな時、六人は迷宮である人物に出会った。

その人物はギルバートたちを見るなり嬉しそうに話しかけてきた。


「あ、あなたたちは!」

「お前は・・・!」


それは何とあのキャサリンだった!


少々時系列がおかしかったので修正してみました。


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