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ギルバートと仲間たち 12 タロスによる再訓練

 カベーロスの話を聞いたギルバートたちは、改めて自分たちを鍛え直すことにした。

その計画を組合宿舎で相談をしていた。


「まずはあの緑色のグラーノを使って訓練をしよう。

あの人も実際に使った感じを教えて欲しいと言っていたし、今度会った時にその感想を話すためにも、2個くらいは使ってみた方が良いだろう」

「賛成だ、しかし残り2個、最低でも1個は次に会った時のためにとっておこう。

あの人は俺たちの事など忘れているかも知れないからな。

しかしあのマギアグラーノを見れば思いだしてくれるだろう」

「ああ、そうだな」

「しかしその前に、もう少し装備を整えよう。

少しでも深い階層に行ってレベルを上げるために防御力を上げておこう」

「賛成だ、贅沢は今後いつでもできる。

今は少しでもレベルを上げて装備を整えた方がいい」

「等級もしばらくは今のままでいいんじゃないか?

7級から5級まではそれほど変わらないんだし、上がるたびに昇級代は取られるんだ。

それだったらしばらくの間は等級を上げるよりもレベルを上げて、装備を充実させた方が良い」

「確かにそうだな?

しばらく七級のままでいいだろう」

「ああ、だがいつでも等級は上げられるように昇級アイテムは人数分取っておいた方が良いな?」

「六級は魔法結晶2つだったよな?」

「そうだ、フラーモスライムとグラツィーオスライムを倒した火炎魔法結晶と氷結魔法結晶だ」

「ではそれをそれぞれ4個、いやあいつらの分も合わせて6個取っておくか?」

「そうだな?そう言えば、いつあいつ等を迎えに行く?」

「そうだなぁ・・・こっちについて落ち着いたらすぐに迎えに行くような事を言っておいたから待っているだろうしな・・・

一応、半年から1年を目安にしておけとは言ってあるが・・・」

「まだ3ヶ月も経ってないぞ?」

「予定以上に順調ではあるな」

「ああ、全て「あの人」のおかげだ」

「しかしちゃんとした装備がなければ、ここに来ても意味がない。

それは俺たちがこの身で嫌というほどによくわかった。

あいつらを呼ぶからには、最低でも二人分の登録料と冒険者揃え位は俺たちが用意してやらなければならないだろう?」

「ああ、最初にあれがあるとないとでは、大きく違うからな!」

「そうだな・・・すると差し当たって、大銀貨4枚は稼がなくてはな」

「いや、あいつらはウォルターの妹なんだ。

それだったら魔法の才能がある可能性もある。

それならこっちへ来たらすぐに魔法も覚えさせた方が良い。

そうすれば6人全員が魔法を使えるようになるんだぜ?」

「そうか!そうなったら確かに凄いな?」

「ではまずは大銀貨6枚、いや、迎えに行く費用と予備を考えて金貨1枚だ!

それだけ貯金出来たらあいつらを迎えに行こう」

「賛成だ!」

「ああ、そうしよう!」


あいつらと言うのはウォルターの双子の妹たち、アンナとハンナの事だった。

本来ギルバートたちはその二人を合わせた6人でロナバールへ来るつもりだったのだが、双子の妹たちはまだ少々幼かったし、まずは4人でちゃんと生活が出来るかどうか確認をしてから村まで迎えに行く手はずになっていた。


「ではあのグラーノを使った具体的な俺たちの訓練の方法だが、一体どうすれば一番効率的かな?」

「うん、何しろ今度のは三日間も持つらしいからなあ・・」

「効率と言えば、やはり寝ている間の事を何とかしたいな?

寝ている間はタロスは無駄になる訳だからなぁ?」

「そうだな・・・」


しばらく考えるとウォルターが提案をする。


「こういうのはどうだろう?

俺たちを二班に分けるんだ。

そして12時間交代でタロスと迷宮を探索するんだ。

一方の班が迷宮にいる間はもう一つの班はロナバールの宿舎で休む。

それを三日間やれば、相当俺たちのレベルは上がるぞ!」


その言葉にヨハンが即座に反応する。


「え?12時間迷宮に?それは無理だよ!」

「いや、もちろん12時間迷宮にいると言っても、別に連続で戦う訳じゃない。

この間と同じで疲れたら迷宮の安全地帯かどこかで休むのさ。

それなら出来るだろう?」


そのウォルターの説明にヨハンも納得する。


「そうか・・・それなら確かに・・」

「ああ、人数が少なければその分、経験値も上がって、レベルの上りも早くなるはずだからな」


ウォルターの説明にデボラとギルバートも納得する。


「なるほど!タロスもずっと迷宮にいるままで無駄にならず、一石二鳥という訳だ」

「うむ、しかし安全を考えて迷宮へ行く前に高レベルのタロスを魔法協会で買って行こう。

少々高いが命には代えられない」

「そうだな、その方が良いだろう」


こうしてギルバートたちは迷宮へ行く準備をして、いよいよその日となった。


「さあ、では今日から三日三晩、頑張るぞ!」

「ああ、気を付けて行けよ?」

「もちろんだ」


分け方はギルバートとヨハン、ウォルターとデボラとなった。

回復魔法を持っているギルバートとタロス魔法使いであるウォルターは分けた方が良かったし、攻撃魔法を持つデボラとヨハンも分けた方が良かったからだ。

それにウォルターとデボラは恋人同士でもあるので、この分け方となった。

そして最初にギルバート・ヨハン組が迷宮へと出発する。

出発直前にギルバートとウォルターがタロスを起動させる。


「起動、ザク」

「起動、ザク」


するとそこに全身が若草色のつるんとした格好のタロスが2体現れた。

見た目はごく普通のタロスにしか見えないが、2体とも剣と盾を持っており、戦闘用なのは一目でわかる。


「ほう?これが?」

「ずいぶんと単純そうだが大丈夫なのかな?」

「まあ、それは実際に戦ってみないとわからんが多分大丈夫だろう?」

「ああ、あの人があの甲冑型と同じくらいに強いと言っていたし、鑑定でもレベル100だったんだしな」

「ああ、じゃあ行ってくる」


タロスの戦闘経験値は起動させた者と、その時一緒にいた者に入る。

2体ともギルバートが起動させてしまうと、全てのタロス経験値がギルバートに入ってしまうために、一人だけ高レベルになってしまう可能性があったからだ。

それで1体をギルバートが、もう一体をウォルターが起動させる事にしたのだ。


「念のために途中の盗賊よけ用に、俺のタロスも2体ばかりつけておこう」

「ああ、頼む」


ウォルターのタロスを2体従えたので、これで見た目の編成は6人となる。

これでまず盗賊たちは襲って来ないし、仮に襲って来たとしてもあっさりと返り討ちだろう。

ギルバートとヨハンは安心して迷宮へと向かった。


 迷宮へ着いたギルバートとヨハンが早速昇降機へと向かう。


「さて、ではまずは予定通り、六階へ行ってみるか?」

「ああ、そうだね」


六階層についたギルバートが、さらに魔法協会で購入したタロスを起動させる。

それはレベル100の戦闘タロスで、1日は持つ物だった。

値段は大銀貨3枚と高かったが、自分たちの安全のために購入したのだった。


「よし、これで護衛タロスが三体だ。

いくぞヨハン」

「あいよ!」


レベル100の戦闘タロスは強かった。

やはり六階の魔物ではレベル100のタロスでは相手にならなかった。

緑色の戦闘タロスは全ての魔物を一撃で仕留めた。

数回戦ってそれを確認したギルバートは七階層へと向かう。


「ふむ、では七階へ向かうぞ!」

「了解!」


そして七階でも問題はなかったので、さらに二人は八階層へと向かう。


「よし!ではここでしばらくは修行だ!」

「よっしゃ!」


ギルバートとヨハンはしばらく戦っては休憩を挟み、また戦う。

それを繰り返しているうちに12時間が経とうとしていた。


「二本目の蝋燭の火が随分短くなっている。

そろそろ上へ行くか?」

「そうだね」


4人は時間を確認するために6時間持つ蝋燭を購入して、それの2本目が消えかかってきたら交代する事になっていた。

ギルバートとヨハンが1階層の休憩所へ行くと、そこにはすでにウォルターとデボラが待っていた。


「よお!待ったかい?」

「いやそれほどでもないさ。

で?どうだい?そっちの様子は?」

「ああ、この12時間で5レベルも上がった」

「5レベルも?そりゃ凄いな?」

「ああ、こいつらはいきなり8階層へ行っても大丈夫だ」

「そいつは頼もしいな!じゃあ交代しよう」

「ああ、休憩を挟んだとは言え、さすがに俺たちも疲れた。

後は宿舎に帰って寝るよ」

「ああ、じゃあまた12時間後にな!」

「ああ、わかった」

「では、アニーミ・エスト!」


ウォルターは二人の護衛として4体のタロスを出した。

迷宮で12時間も戦っていた二人は疲れていて、帰りに盗賊にでも襲われたら大変だからだ。

こうして4人は交代して迷宮での訓練を続けた。

そしてそれを3日間続けた結果、ギルバートとウォルターはレベル43、デボラとヨハンもレベル42となった。


「凄いな・・・これで俺たちはもうレベルだけなら5級相当か?」

「そうだな」

「しかもこの3日間で集めた金は大銀貨21枚分だぜ!」

「うむ、追加の護衛タロスや消耗した回復剤や食料で使った分を考慮しても、大銀貨15枚にはなったな」

「ああ、今までにない大儲けだ!」

「これで当初の予定の金貨1枚分は出来た。

いよいよあいつらを呼ぶか?」


ギルバートがそう言うと、ウォルターが遠慮がちに話し始める。


「その事なんだが・・・」

「どうした?ウォルター?」

「いや、実はここまで来たら欲が出てきた。

もう少し稼いで、あいつらを組合の初等訓練所に入れてやらないか?」

「初等訓練所に?」

「ああ、あそこへ入れば俺たちみたいな素人じゃなくて、ちゃんとした教官が鍛えてくれる。

しかも入所すれば全員に冒険者揃えをくれる上に、最終日にはレベル30まで上げてくれるんだ。

その間、俺たちは4人で迷宮に専念出来るし、1ヶ月あいつらの部屋代と食事分だけを稼いでやればいい。

それは今の俺たちにとってはそれほど難しい事じゃない。

そして1ヶ月経ったら6人で一緒にミッションを出来るんだ。

それに今の俺たちとあいつらはレベルに大きな開きがあるんだ。

もしこっちへ来させたとしても最初は鍛える所から始めなきゃならない。

それだったらそれを専門家に任せた方が良い」


そのウォルターの説明にギルバートも納得してうなずく。


「なるほど・・・確かにそれなら訓練所で習った事を俺たちも聞けるしな?

二人から毎日の講義を聞けば、間接的に俺たちも訓練所の事がわかって勉強にもなるだろう」


その提案にデボラとヨハンも賛成する。


「いいんじゃないか?それで」

「ああ、俺も賛成だな!」


ウォルターの案に全員が賛成し、もう少々稼いでから二人を迎えに行く事となった。

そしてついに金貨2枚分ほどの金が貯まり、二人を迎えに行く事となった。

迎えに行くに当たって、二人の兄であるウォルターと、一応?女であるデボラが迎えに行く事となった。


「よろしく頼むぞ!」

「ああ、そっちも気をつけてな!

迷宮へは行くんじゃないぞ!」

「わかっている!

二人で安全そうなミッションだけやっておくよ」

「そうそう」


二人がいなくなってしまえば戦力は文字通り半減だ。

いくらレベルが40を超えているとはいえ、二人で迷宮はきついし、途中で盗賊に襲われる確率も高くなる。

それにタロス使いであるウォルターが抜けるのは痛い。

二人が村へ妹たちを迎えに行っている間、残ったギルバートとヨハンは、稼ぎは少なくとも、安全で無難なミッションだけをこなす事になっていた。


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