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ギルバートと仲間たち 05 「青き薔薇」の噂

 ついに魔戦士として八級になったギルバートたちは、ささやかながらデパーチャーで内輪で宴会を開いて昇級を祝った。


「やったな!次は七級だ!」

「ああ、そうだな」

「次はいよいよ七級の鎧ムカデか・・・」

「話によると、火炎魔法を使えば2発で余裕で倒せるらしいぞ?」

「ああ、だが我々はどちらかと言えば剣士なんだから、剣で倒せるようになっておいた方が良いぞ?」

「そうだな」

「それに七級からは最低レベル規定があるんだからな」

「ああ、確かレベル25だよな?」

「まだレベル20にもなっていない俺たちには当分先の話か・・・」


組合の規定では八級まではレベルはいくつでもなれたが、七級以上はそれぞれレベル規定があり、そのレベルに達していない者はその等級にはなれないのだった。

八級以下は仮登録で正式な組合員ではないためにレベルに関係なくなれたが、七級より上は初心者扱いとはいえ、正式な組合員になるためにレベルが関係してくる事になっていた。


「何と言っても七級からは今までと違って、正式な組合員なんだからなあ」

「それなんだが・・・なあ、ここ最近考えていたんだが、俺たちは七級になったら魔法学校に行ってみないか?」

「ああ、実はそれは俺も考えていた」


そうギルバートウォルターが話すと、デボラとヨハンが驚いて問い返す。


「魔法学校って・・・毎日の稼ぎはどうするのさ?」

「俺たちは悠長に学校に通えるほどの金持ちじゃないぞ?」


その質問にギルバートとウォルターが答える。


「それに関しては考えがある」

「ああ、組合が魔法協会と共同で運営している、組合員専用の魔法学校だな?

俺たちみたいな連中に向けて作ってある」

「俺たち?」

「ああ、魔法を習いたい奴が週の好きな時に授業を受けられるんだ。

だから稼ぎがあって余裕がある時に授業を受ければ良い。

前回魔法を覚えた時みたいにな。

例えば、週の半分を学校通いに、半分を迷宮で稼ぐ事が出来る」

「もしくは午前中を魔法の授業を受けて、午後に迷宮に行くとかな」

「自由日だけ授業をやっている場合もある」

「なるほど、それで魔法士になる訳か?」

「ああ、普通に魔法学校に通うよりも時間はかかるだろうけどな。

それに我々が七級になれるのはまだ当分先だろう。

それまでには結構金も貯められると思うんだ。

そうすれば今考えているよりも、楽に通うことが出来るようになると思うんだ。

あの人は俺たちは四人とも間違いなく魔法士にはなれると言っていた。

訓練所の受付でもそれは言われたしな。

ならば七級になった機会になっておくべきだと思うんだ」

「そうだな」

「ああ、魔法を一人が一つずつ覚えただけでもこれだけ仕事が楽になったんだ。

全員が正規の魔法士になったら凄いぞ?」

「ああ、それを考えるとわくわくするな!」

「パーティの全員が魔法士なんて滅多にないしな!」

「確かにな」

「そうなれば良いだろうなあ・・・」

「今の俺たちは生活に余裕もできて来たし、頑張れば大丈夫さ!」

「そうだな、そうなったら4人全員が魔法士か?

一つの仲間内でそんな奴らなんて滅多にいないぞ?」

「ああ、この間の変な連中だって3人だしな!

4人以上の仲間がいて、それが全員魔法士だなんて、凄いだろうな!」

「しかし、中には俺たちと大差ない時期に登録していて、もっと凄い人たちだっているんだぞ?」

「もっと凄い人たち?誰だい?」


デボラの質問にギルバートがどこか得意げに答える。


青き薔薇ブルア・ローゾの人たちさ」


その名前は全員が聞いていた。

ごく最近に戦団ブリガードを結成したらしいが、またたくまに有名になった新進気鋭の戦団ブリガードだ。

まだ自分たち同様に新参者のはずだが、今や組合のあちこちで噂されている。


「ああ、あの人たちか?

あれは別格だろう?

あんなのは雲の上の話さ」

「そうなのかい?」


ヨハンの質問に今度はウォルターが答える。


「うん、なんでも俺たちとほんの数ヶ月しか登録した時期に差は無いのに、登録した日にいきなり白銀等級シルバークラスで登録されたらしいぞ?」

「いきなり白銀等級シルバークラスで登録?それは凄いな?」

「しかし確か新規登録の上限は四級のはずだろう?

どうやっていきなり白銀シルバーになったんだい?」

「何でも1日で四級から白銀シルバーまでの等級試験を全て一気に受けたらしい」

「1日でか?」

「うん、それを組合長のグレゴールさんが全て試験官として、最初から最後まで見て確認したらしい」

「最初から最後まで?ちょっと待って!

じゃあそれは組合長は最初からその連中が白銀等級になるとわかっていたって事?」

「どうもそうらしい。

何しろ組合に入る時点で全員がレベル100を超えていたらしい。

噂によると、中にはレベル300を超えていた人もいたとか・・・」


そのギルバートの説明にデボラが胡散臭そうに問い返す。


「レベル300~~?いくら何でもそれはないだろう?」

「まあ、それは話を盛ってあるにしても、そもそも組合に入る最初の時点から俺たちとは格が違うって事か・・・」

「つまりはそういう事なんだろうな?」

「ああ、しかも全員が魔法学士か魔道士級の魔法を使えるらしい」

「魔法学士ぃ~?」


ヨハンがそれを聞いてあきれたような声を出す。

魔法学士と言えば魔道士の中でもさらに上の存在だ。

魔法を一個しか使えない自分たちとは比較にもならない。

そんな魔法を組合に入った時から使えるとは驚きだ!


「ああ、それで戦団ブリガードとして登録した次の日には、マルコキアスを退治したそうだ」

「ええっ?マルコキアスって?あの上位悪魔の?」

「そうさ」

「だってあんなのは白銀シルバーどころか、オリハルコン等級クラスじゃなきゃ相手に出来ないって聞いているぞ?

その連中は白銀シルバーなんだろ?」

「いや、その時は団長と副団長は黄金ゴールドだったそうだ」

「それだってまだ上位悪魔を倒せるとは思えないんだが?」

「つまりその連中は等級は黄金等級ゴールドクラスだが、実力はオリハルコン等級クラスって事か?」

「おそらくはそういう事なんだろうな」

「それは魔道士学校とかを卒業して実践をかなり積んだ人たちとかだけで組合員になっている、相当我々よりも年上の人たちなんじゃないのかい?」

「いや、確かに一人は高齢のエルフらしいんだが、団長はかなり若い少年らしいし、他の団員もそうらしい」

「え~?そんな若い奴が団長?本当なの?」

「どっちにしても信じられないような人たちだな?」

「ああ、とんでもない連中だな?」

「全くだ」

「あやかりたいよ」

「ま、そんな冗談みたいな人たちを羨ましがったってしょうがない」

「ああ、俺たちは俺たちでやろう!」

「おう!」


しかしそれからも興味を持った四人は、事あるごとに青き薔薇ブルア・ローゾの噂を聞いて感心していた。


「しかし聞けば聞くほど、「青き薔薇ブルア・ローゾ」ってのは凄い戦団ブリガードらしいな?」

「ああ、しかしどこまでが本当やら・・・」

「団長がまだ13歳って、本当なのか?」

「そりゃ噂ってのは尾鰭がつくもんだからな?」

「噂じゃなくって、誰か実際に直接知っている人の話でも聞ければ良いんだがな?」

「そうだな」


そんなある日、ギルバートたちは、組合宿舎の食堂で、ある男が話をしているのを耳にした。

その男からは時々、「青き薔薇ブルア・ローゾ」という単語が出てくる。

どうやら「青き薔薇ブルア・ローゾ」の事を話しているようだ。

しかも話しぶりからすると、直接本人たちを知っているような口ぶりだ。

それに気づいたギルバートはウォルターたちに話す。


「なあ、俺たちもあの人の話を聞いてみないか?」

「ああ、俺も気になっていたところだ」

「俺もさ」

「同じく」


全員がギルバートに賛成して、四人はその男に近づいて話しを聞いてみる事にした。


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