キャロル・マーカス 07 海水浴
無事に地上へ出てきたら、今度はホウジョウ先輩に海水浴とかいう物に誘われたわ。
でも話を聞くと、とても面白そうな物なので、私はホウジョウ先輩にお願いしてみたわ。
「あの、ホウジョウ先輩?」
「なんだい?」
「そのカイスイヨクというのに、私は弟を連れて行きたいのですが宜しいでしょうか?」
「ああ、ジョミー君は今回の迷宮へも訓練に行きたがっていたからね?
別に構わないよ。
今度は別に魔物と戦う訳じゃないからね」
「ありがとうございます!」
私が嬉しそうに返事をすると、ホウジョウ先輩はさらに提案をしてくる。
「ああ、それならうちの小型飛行艇を貸してあげるから、ジョミー君だけでなく、お母さんやお父さんも一緒にどうだい?」
「宜しいのですか?」
「ああ、マーカス男爵が休みを取れるならね」
「ありがとうございます!両親に聞いてみますわ!」
私は家に帰ると、家族にその話をした。
ジョミーは大喜びだったし、御父様も仕事を調整して一緒に行く事になった。
私たち一家はそれぞれ水着を作り、当日になると、ホウジョウ先輩の魔法飛行艇を借りて、目的地へ向かった。
ロナバールの海岸へ到着すると、ホウジョウ先輩はいそいそと準備し始めたわ。
グリーンリーフ先生や友人たちに指示をして、何やら日除け傘のついた棒を砂浜にいくつも刺し、敷物を敷いたり、椅子やテーブルを用意したりした。
さらに用意しておいたらしい組立式の屋台を組み立てて、様々な食べ物の屋台を作ったわ。
それを見た私たちは驚いた。
屋台を見て感心した御父様がホウジョウ先輩に尋ねた。
「ほほう、これは一体なんですか?
全て初めて見る物ばかりですが、ホウジョウ子爵?」
「これはカキ氷とたこ焼き、綿菓子、そして焼き鳥と飲み物の屋台です。
遊んで喉も渇いてお腹も空くでしょうから、自由に食べて飲んでください」
「それはありがたいですな」
そして着替え場とシャワーは迷宮へ行く時に使っていた、風呂場に改装したキャリーホエールをそのまま使った。
私は自分の水着を用意してあったが、なぜかホウジョウ先輩が私の水着も用意してくれていた。
紺色の水着で胸の部分には白い布で「3年 マーカス」と書いてある。
おなじ水着を着ているアンジュお姉さまがホウジョウ先輩に質問をしている。
「御主人様、なぜ私とキャロルはこれなのでしょうか?
何か悪意を感じるのは私の気のせいですか?」
「気のせいだって!
ほら、ポリーナだって、アンジュたちと同じ一体型じゃないか!」
たしかにポリーナさんは花柄の可愛らしいワンピース型の水着だ。
「確かにそうなのですが・・・」
ポリーナさんを見てもアンジュ御姉様はまだ不満そうだが、私がそばに来て機嫌よく話しかける。
「良いではありませんか!アンジュ御姉様!
私ともおそろいですし!」
「・・そうですね」
何とか御姉様もそれで納得したようだ。
夜にはバーベキューとやらで大いに盛り上がった!
そして次の日にはスイカ割とかいう物をやった。
何でも目隠しをして西瓜を割る遊びらしい。
そんな事をして楽しいのかしら?と思ったが、結構みんなはやる気満々だわ!
しかしその大きく見事な西瓜を見た私たちは驚いた。
「おいおい!凄い西瓜だな!」
「ああ、こんな大きな西瓜は見た事が無い!」
「こりゃまた随分と立派だな!」
みんなが驚く中、それを砂浜に置いて20歩ほど離れた場所から目隠しした人をみんなで誘導して西瓜を割らせるらしい。
へえ、単純だけど面白そうね?
最初は小さい子からだ。
その場で目隠しをした後で、3回ほどグルグルと回して木刀を持たせると西瓜に誘導する。
「そのまままっすぐだ!」
「あと一歩!」
「そこだ!そこで叩け!」
子供がその場でポコンと木刀を振るが、砂浜を叩いてしまう。
ジョミーも一生懸命に棒を振っていたわ。
残念ながら当たらなかったけど・・・
結局、割った西瓜をみんなで食べたけど、その味に皆が驚いたわ!
わかるわ~その気持ち。
だってこの西瓜とてもおいしいものね?
私はホウジョウ先輩宅で食べた事があるから知っているけど、とても他の西瓜と同じとは思えないわよね?
ベルンシュタイン先輩の所は一家揃ってその種を集めていたわ。
どうやら御自分の領地で育てる気みたいね?
次の日になって私たちが遊んでいると驚いた事にロナバール総督閣下がやってきたわ!
おどろいた御父様や貴族の皆様が恐れ入り、片ひざをついて挨拶をする。
「これは総督閣下!」
「お久しぶりでございます」
「このような格好で申し訳ございませぬ」
「おお、ベルンシュタイン子爵に、マーカス男爵、久しぶりじゃの!
ああ、そんな畏まらんでもよい!
余の勝手で見に来ただけじゃからな。
それにせっかく卿らが遊んでいる所を邪魔しに来たのだからな!
逆に申し訳ないわい。
しかし面白そうではあるので、少々余も遊ばせてもらおうかの?」
「はは~どうぞ、お気の召すままに」
「御意」
そしてホウジョウ先輩が総督閣下に提案する。
「うん、もうすぐ夕飯も出来るから、もし時間があるならそれまで待っていてよ」
「うむ、確かに時間もあるし、そうさせてもらうか。
中々面白そうじゃの」
そう言って総督閣下は屋台を興味深そうに見学し始めたわ。
それにしても話には聞いていたけど、本当にホウジョウ先輩って総督閣下と仲が宜しいのね?
年齢差も100歳以上あるはずだし、出会った時はまだ平民だったはずなのに、皇帝陛下の弟君と対等に付き合うって、一体どういう事なのかしら?
本当にあの人の人脈は謎過ぎるわ・・・
そしてカレーが出来上がってそれを食べ始めた人たちが騒ぎ始める。
「何だ!これ!辛い!」
「でもうまいぜ!」
「子爵様、これ辛いけどおいしいです!」
「むむむ・・・このような料理は初めて食べた!」
「ほほう!これはうまいのう!さすがはシノブじゃ」
確かにこれは辛いけどおいしいわ!
ジョミーも辛い辛いと言いながら楽しそうに食べているわ。
そして次の日の夜になると、バーベキューを食べながら何やらホウジョウ先輩とエトワール先輩が用意をしている。
聞けば「花火」とかいう物で、ホウジョウ先輩の故郷ではあちこちで名物になっている物らしい。
それは星空の上空に上がると、見事にパアッ!と広がって大きな華を咲かした!
大空に咲いた大きな光る華を見た人々が驚いて声を上げる。
「おお~!」
「凄いな!」
「きれい・・・」
「これ、タロスでやっているのか?」
「そうみたいだが・・よくこんな物を作れるな?」
「ああ、俺には無理だ」
確かに凄いわ!
あれタロスでやっているなんて信じられないくらいだわ!
使役物体魔法って、あんな事まで出来るのね?
まあ、私には当分あんな魔法は無理そうだけど・・・
そして夜が明けると、名残惜しいが帰宅だ。
特にやはりというか、ジョミーや子供たちが悲しそうに大人たちに話す。
「ああ、キャロル姉様、これで終わりかぁ・・・」
「十分楽しんだではないですか、ジョミー?」
「うん、でももっとホウジョウ子爵様と遊びたかったなあ」
そんなジョミーにホウジョウ先輩が笑って話しかける。
「はは、ジョミー君、旅行はそうそうできないけど、また何かで遊ぼうよ」
その先輩の言葉にジョミーがパッ!と目を輝かす。
「本当ですか!子爵様!」
「ああ、さし当たっては秋の魔法学園祭かな?
また何か面白そうな物を考えておくよ」
「ええ、ボク、昨年のゴム車も一昨年の紙飛行機も、とても気に入っているんです!
それに望遠鏡も!
今年も楽しみです!」
「はは、期待に答えられるといいんだけどね?」
こうして夏の海水浴とやらが終わったわ。
家に帰ると、とても楽しかったのでジョミーと来年もやって欲しいと話したわ。
御父様と御母様も、かなり気に入ったみたい。
ホウジョウ先輩は、また来年もやってくださるかしら?
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