第三話 転入初日2
昼休み。俺達は四人で学食で、話をしながら昼食をとっていた。その話の流れで、自分の超能力の話題なっていた。
「超能力といえばさ、響はどんな能力を持っているの?」
翔が俺の能力を聞いてきた。
隠すような能力ではないけど、あまり言いたくないな。
でも、隠しても仕方ないし言うか。
「えっと、身体強化と幻想盾かな。ランクは身体強化がC−で、幻想盾がB−だ」
いつも思うのだが、幻想盾って名前を言うのが少し恥ずかしい……
誰だよこんな中二みたいな読み方にしたやつ!
「ふぁwwファントムシールドってっwwくくくっww中二かよwwww」
ほら見ろ! やっぱり笑いやがったよ! チクショウ!
「ど、長月さん。笑い過ぎだって。別に珍しい事じゃないでしょ?」
翔がフォローしてくれたおかげか長月の笑いが徐々に収まっていった。
「悪い悪い。わかっちゃいるんだけど、やっぱり笑えるわ」
あって初日にこの距離かよ。ちょっと遠慮がなさ過ぎませんかね? それが良いところでもあるんだろうけどさ。
「翔達はどうな能力を持ってるんだ?」
とりあえず長月の意識を、俺の能力から他の事に逸らしたかったのと、好奇心で聞いてみた。
「僕は風力操作で、ランクはBだよ」
ランクBは能力者の中でも、かなり強力な能力者という事になる。
ランクとは能力の強さを区別するためのものだ。ちなみに、最高位のランクAの能力者は五人しか確認されていない。
まあ、今はそんな事はいいだろう。
それよりも、神嵜さんはどうなんだろう?
「神嵜さんは?」
神嵜さんの方を向いて聞いてみたが、少し様子がおかしかった。
「えっ私? えーと、瞬間移動。ランクはC+」
瞬間移動でC+というと、部分的にBに至る部分もあるけど自分は飛ばせないってところかな?
それにしても、どうして少し慌ててたんだろう?
「ん? 時間ヤバくね?」
話の途中で、長月が時計がある方を見て言った。
「本当だ。話はやめて急いで食べちゃおう!」
翔がその言葉を言ってからは、無言でご飯を食べる時間になった。
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午後の授業が終わり、残りは寮に帰るだけとなったが俺にはまだ、残る理由があった。
「それじゃあ、案内しますね。如月君」
朝に言われていた学校の案内が始まった。
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案内が終わった頃には既に暗く……はなっていなかった。流石は夏。まだ明るいですね!
今は学生寮まで神嵜さんに案内してもらっていることだ。
この間に、この学園の校舎について整理しておこう。
この学園の校舎は、大きく分けて5つある。
教室棟、高等部の普通教室と食堂がある校舎。
実習棟、特別教室と部室、各委員会の教室、生徒会室があるところだ。
部活棟、体育館、屋内プール、武道場など、運動に使う場所(屋外の運動場等も含む)が集中している。
第二教室棟、中等部の教室がある所だ。
そして研究棟、ここは理事長室と学園が所有している研究室があるらしい。神嵜さんの話によると、学園に認められた教師や生徒が使用しているらしい。
大体こんな感じだろうか?
整理が終わったとき、ちょうど良いタイミングで寮が見えてきた。
「如月君の寮はどこか聞いている?」
「C棟って聞いている」
学生寮は全部で4つある。やっぱり、男女と学年で分けられているのだろうか?
「へー私と同じ棟か。なら、このまま付いて来てもらっても大丈夫ですね」
え? 男女で分けられていないの?
表情に出ていたのか、神嵜さんさ俺を見て苦笑した。
「そりゃあ驚きますよね。一応、一階が事務局と食堂とその他、二階〜四階が男子寮、五階〜七階が女子寮になっているので大丈夫ですよ」
なるほど、なんでそんな事になっているかは知らんけど問題無いか……
玄関の自動ドアが開いて中に入った。
寮の中は結構綺麗で広かった。
あとは、事務局に行ってカギを貰うだけだ。
「ありがとう、神嵜さん。おかげで助かったよ」
神崎さんはそれに対して、どういたしましてと答えて先に階段を登って行った。
「さてと、それじゃあ事務局にいくか〜」
俺は事務局へ行き、鍵を貰いに行った。
その帰りに怜那と鉢合わせた。
「あっ、お兄ちゃん!」
怜那が駆け寄って来た。
「なんだ、怜那か」
ちょうど良い。荷物整理に付き合って貰おうかな。
だが、怜那は少し不満そうにしていた。
「どうした? 何か嫌な事でもあったか?」
コイツは放置しておくと後々めんどくさくなる。それに兄としても、あまり放っておきたくない。
怜那は一瞬、ムッとした後突然抱きついて来た。
「なっ?! 待て、怜那! 人前で抱き着くな! 変な噂が立ったらどうするんだ」
しかし怜那は止める気配がない。それどころか、力を強めて来た。
「怜那ちゃーん、急にいなくなったけど、どうしたの……って、うわぁっ!」
赤髪の女の子が怜那を探しに来ていた。
まずい! 見られた。
「えっと、怜那ちゃん? もしかして……その、彼氏さん?」
さっそく赤髪の子に誤解されてしまった。
「いやっ、ち、違います!」
必死に否定する。
だけど、目撃者は他にもいた。
「じゃあ恋人じゃないなら、何なのさ?」
翔が変な目でこちらを見てきた。
ってお前もかよ!
まあいい。とにかく、兄妹って事を言わないと。
「コイツは恋人じゃなくて妹だよ」
……ん? なんか二人の見る目が痛いぞ?なんでだ? そういえば前にも似たような事が有った様な気がする。あの時は何でだっけ?
「え? まさか……シスコン!?」
赤髪の子が引いたという目で見てくる。
いや、その子だけじゃなかった。
「えっと、響……いくらなんでも、それは犯罪だよ?」
マズイ方向に誤解されてしまった。
思い出した。中学のときも似たような事があって一時期、シスコンと呼ばれた時期があったな……
このままでは中学の時の二の舞いだ。早く誤解を解かねば!
「だから違うって! 俺はシスコンじゃない!」
「なるほど、如月響はシスコンなのか。面白い事を聞いた。後でアリスにバラしてこよ」
長月が面白そうにメモを取っていた。
っておい!
「て事で、バイバイ! シスコン君!」
長月は手を振って逃げようとする。
「やめてぇぇぇぇぇ!」
「えへへ、お兄ちゃーん」
だから、お前は離れろよ!
……結局、何とか誤解は解けました。