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星の海で会いましょう  作者: 慧桜 史一
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新型量産機編4

 移動を始めて半日、最初の目的地である電磁カタパルトへやってきた。この電磁カタパルトも岩石に偽装されていて一見電磁カタパルトであることはわからない。『ロンバルディア』からの信号を受けると岩石が開き、その中にある電磁カタパルトを使うことができるようになるのだ。

 電磁カタパルトを使うと推進剤を使わず加速できるので宇宙の移動には欠かせない。他の宙賊はどうか知らないが、『バルバロッサ』は設備が潤沢すぎるのではないだろうか。カタパルトで加速後にその辺りをフリードリヒ大尉に聞いた。


「ちょうどよかった。宙賊について話そうと思ってたんだ。」

 そう言ってフリードリヒ大尉は宙賊について話してくれた。

「坊主の知ってる。宙賊ってのはどんなのだ?」

「輸送船を襲って品物を奪って生活している輩ですかね。」

「一般的にはそうだな。だが俺たちのように各国がスパイ行為や通商破壊などを目的とした部隊も持っている。」

「はい。初めて知りました。」

「どの国もやってることだが、国際世論があるからな。非合法行為はできるだけバレないようにやるんだ。」

 確かに国の痕跡を消そうとする努力はしているように見える。

「なるほど。」

「裏を返せば非合法行為をするのに宙賊というアウトローは絶好の隠れ蓑だということだ。航路の数だけ組織があると思って貰ってもいい。」

「航路の数って…。宇宙にある拠点同士を結ぶ数だけあるってことですか。」

「そうだな。100ぐらいはあると言われている。」

 言われているか…。正確な数はわからないと言う事か。

「それだけ数があれば、装備もピンからキリまでだ。ただうちの部隊ほどの装備はそうはないだろうな。」

 国の予算でやっているので当然だ。

「宙賊も色々居るのは、そのうち宙賊たちの集まる場所に連れてってやるからそこで確認しろ。」

「そんなところがあるんですか…。」

「奪った物品のやり取りや物品のロンダリングなんかをやる場所がある。」

 いわゆる裏マーケットってやつか。宙賊たちが集う場所があるなら一度は見てみたいものだ。

 しかし話を聞いていると各国の思惑も交錯する世界なんだな。宙賊の世界というのは。

「他にも知りたいことがあれば聞いてくれ。明日には受領ポイントに着くから作戦要領は読んでおけ。」

「了解です。」


俺は自室に帰り作戦要領を読んだ。概要では作戦数時間前に新型量産機が入ったコンテナが航路外に放出されており、そのコンテナをスペース・トルーパー2機によって回収するという至ってシンプルな案だ。ということで俺とフリードリヒ大尉とで作業することになりそうだ。


 翌日受領ポイントを前に俺は格納庫にある『ヘーニル』のコックピットで待機していた。当然ヴァレリーも一緒だ。発進の準備も完了し、後は作戦開始を待つばかりだ。そんな時にフリードリヒ大尉から通信が入った。

《まずいことになったぞ。》

「どういうことですか?」

《他の宙賊に目を付けられているらしい。》

「そういう場合はどうするなるんですか。」

《無法者の中にもルールはある。こう言った場合は早いもの勝ちだ。》

 なるほど。しかしもう相手は唾を付けた状態なのではないだろうか。

「今からの手出しだとマナー違反と言う事ですか?」

《今ならまだ間に合う。というわけで作戦を変更して早速出撃だ。》

「わかりました。ヴァレリー出撃だそうだ。」

「了解です。」

「コネクト開始。」

 俺は『ヘーニル』とコネクトした。先にフリードリヒ大尉が射出され、続いて『ヘーニル』も射出された。加速が体に掛かる。俺とフリードリヒ大尉は、他の宙賊に攻撃される前に輸送船に取り付くべく出撃した。

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