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星の海で会いましょう  作者: 慧桜 史一
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士官学校附属高校編1

 駆逐艦は基地から出航した。この後<サークル>から少し離れた場所にあるリニア・カタパルトから加速を行い一路月を目指す。ヴァレリーからは加速後に艦内で士官学校のためのオリエンテーションを開催してくれる聞いている。途中編入となる俺に配慮してくれているのだろう。

 程なく艦艇はリニア・カタパルトに到着した。俺とヴァレリーは個室の固定席に座り加速に備えた。

《本艦はこれより加速を行う。総員速やかに席に着き、加速に備えよ。》

 館内アナウンスが流れ、外は慌ただしい雰囲気だ。300秒前からカウントダウンが始まった。

《10秒前、9、8...、3、2、1、発進》

 次の瞬間には加速が始まり身体が座席に押し付けられる。艦艇は無事出発できたようだ。その後、俺はヴァレリーに連れていかれてオリエンテーションへ出頭した。

「失礼します。」

 部屋には40ぐらいの色黒のいかついおじさんが居た。

「よく来たな。これからお前に入隊に当たってのオリエンテーションを行うカイ軍曹だ。よろしくな。」

「グレンです。よろしくお願いします。」

「よしまずは敬礼からだ。やってみろ。」

 俺はテレビで見た敬礼をマネしてみる。

「もっと指をしっかり伸ばせ。そうだ。敬礼は必ず右手ですること。」

「はい。」

「よし、では次だ。」


 ルナ・ラグランジュ・ポイント2から月までは約10時間で着く。俺は食事休憩を除きぶっ続けで軍隊の基礎を叩きこまれた。皆が去年に終わってることだから仕方ないが、終わったときはクタクタだった。駆逐艦は月の表面。つまり<マンホーム>側に到着した。月は地下都市となっており月表面にある巨大なハッチから駆逐艦は港に入るらしい。カイ軍曹が教えてくれた。カイ軍曹は駆逐艦内でだけの臨時教官とのことで、明日からは士官学校の教官が遅れを取り戻すべくスパルタで詰め込んで行くそうだ。今日もウォーミングアップらしいが、かなりスパルタだったので不安しかない。

 

 入港後、桟橋に駆逐艦が接岸し上陸許可が下りた。俺は初めて月に踏み入れた。月は俺が住んでいたシリンダーの1/6の重力しかないらしい。俺の体重は22ポンドほどだ。

 士官学校の寮へはエレカーを使うようにと指示があった。エレカーは電動四輪車で居住シリンダーでは見かけることはない。工場シリンダーや農場シリンダーでは使われているらしいが俺は使ったことはない。ヴァレリーは研究所の方へ行くらしいのでここで一旦お別れだ。

 俺は桟橋から通路の方に移動し、待機所に停まっていたエレカーに乗った。行き先を入力すると自動的にそこまで連れて行ってくれるらしい。俺は士官学校の寮を選びエレカーを発進させた。

 エレカーは待機所から出発し、更に地下に入っていった。エレカー専用道路らしくトンネル状の道を走っていく。5分ほどで専用道路を出て待機所で停まった。ここからは徒歩で寮まで歩く。一応重力があるが弱いので前に前に出るように歩く。無重力とは違った感じがして面白い。

 寮の前に到着した。夜も結構遅い時間なので扉は門限を過ぎて閉まっていた。あらかじめ教えられていた連絡先に通信端末から連絡を取る。

《こちら寮管理室》

「本日からお世話になる。グレンです。扉を開けて貰えないでしょうか。」

《今、開けます。》

 カシャと音が鳴り扉が開いたようだ。俺は寮の中へ入った。エントランス部分はかなり広い。エントランスの脇から白髪の老人が出てきた。彼が寮の管理人のようだ。

「お世話になります。」

「転校生ね。聞いてるよ。部屋はこっちだ。」

 エントランスから階段を登り2階へ着いた。部屋は階段のすぐ脇だった。

「この部屋を使ってくれ。本来は二人部屋だが君は中途なのでしばらく一人になる。」

 部屋は結構広い。左右にベッドと勉強机が置いてあった。

「シャワー室は地階だ。寮の案内はまた明日するので今日のところは休んでくれ。」

「わかりました。」

 管理人は部屋から出て行った。俺は荷物から着替えを出すと地階のシャワー室へ行った。深夜遅かったので誰も居なかった。貸し切りだ。俺は手早くシャワーを浴びると部屋に戻った。明日からはまた忙しくなる。ヴァレリーは無事研究所に着いただろうか。そんなことを考えながら、俺は眠りについた。


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