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プロローグという名のクレイジーレター



東門前むぎ さんへ




毎日毎日郵便受けの中にこんなモノが入っていてご迷惑でしょうが、毎度お馴染みラブレターです。


雨の日も風の日も洪水の日も暴風の日も高波の日も土砂災害警戒警報の日も欠かさずあなたにラブレターを送り続けて251日目、のべ4532通目になりますね。一日あたり18.05577689243027通発行してる計算になりますが、さぞ呆れていらっしゃる事でしょう。僕自身もそうです。


単刀直入にもうしますと、というか単刀直入しすぎてもうたぶん黒ひげ危機一髪みたいになってるんでしょうけど、僕はあなたのことが好きです。常に結婚への衝動が五臓六腑を突き抜け突き動かしてくるくらい好きです。


理由は、わかりません。まるでわかりません。ほんっとにわかりません。


例えば犬が好きな人がいたとしたら、その人は絶対にどこかでかわいい犬に触れているか、最低でも見てはいるはずです。でなきゃそもそも好きという感情が埋まれてこないはずだから。


ドーナツが好きな人がいたとしたら、そいつは絶対に一度はドーナツを食べていて感動していることでしょう。そのフォルムのみを愛でる変人がいたとしても、少なくとも一度はそれを見ているはずです。



それに対して、


僕はあなたと一度も会ったことがありません。


ていうか、見たこともありません。たぶん聞いたこともない。


まずもってあなたが女性であるという確たる証拠を持ち合わせていませんし、下手すりゃ存在しているのか怪しみたくなるくらい、あなたについての情報がありません。容姿も、顔も、年齢も、学年も、一切わかりません。人間がどうかすら謎です。


なのに未だに名前をなんで知っているのか不思議で仕方がないし、逆に名前以外の情報が住所だけというのも不思議で仕方ありません。また住所を知っているのにそこに行ってみようとどうしても思えないのも不思議です。摩訶不思議です。アドベンチャーです。


だけど、好きなんです。この手で抱き締めたい衝動が抑えられなくて、その発散の方法としてこうやってずっとラブレターを送り続けているというわけです。いや、本当におかしい。どうしちゃったんですかね、俺。


東門前さんから、いやむぎって呼ばしてもらってもいいかな?いいわけないですよね、すみません。だって面識ないもんね、ていうかあんたも僕の名前知らないもんね、ごめんね、教えてあげたいんだけどなんでか知らないけど書けないんだよ、いやホントだよ。で、東門前さんから返事が帰ってきた試しもないから、なんかね、地面に向かってブラジル人に呼びかけているような気分です。例えがわかりにくいのは、僕がいまいち状況を掴みきれていないからだと思います。


とにかく、好きなんです。何でですかね?おたくのどこを好きになったのか、僕に教えていただけないでしょうか?


僕には幼馴染みがいます。小学校卒業するまでずっと好きだった、とってもかわいくて性格よくて、しかも両思いだったらしい幼馴染みが。


普通だったらもう付き合っているはずで、僕も確かに昔はそれを望んでいたはずなのに、告白されたときに振ってしまいました。あなたが好きだからです。おかしくねぇ?会ったことないんだぜ?どうやったらそういう思考にたどり着く?


客観的に捉えてみたら、ごめん俺空気が好きだからって言って断ってるようなもんだよな。なんなんだコレ。ホントおかしいよ。


俺どうしちまったんだろう。好きです。東門前さん、大好きです。何でだ?こんなに好きならその理由のひとつやふたつソラでも言えるはずなのに、いや、実物知らないのに言えるはずないけどさ、あー好き。ほんと好き。この世で一番好き。おかしいだろ?この世に存在しているかどうかもわかんねぇのに、どうやったら好きになれああああ好きマジで好き好き好き抱き締めたいチューしたい結婚したいどうにかしてくれもう限界だこれ以上俺を苦しめないでくれなんでもいいからとりあえず目の前に現れてくれでないと話が進まないでなきゃ俺は得体の知れない何かを好きになってしまったまま永遠の片想いで生涯閉じることになってしまう助けてほんとお願い助けてください助けて好きです助けて好きです好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き














ps.だいちゅき。




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