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ヴァンパイア辺境伯 ~臆病な女神様~  作者: お盆凡次郎
第31章 吸血姫伯爵(エレミア・サブネスト)
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第31章 吸血姫伯爵(エレミア・サブネスト)3

お待たせしました。

皆様いつもありがとうございます。

警告、濃厚な百合描写がこの話にはあります。下手したら、運営から警告くるかもです。

あらかじめ宣言します。この話は警告がきたら即削除になって、3話は欠番になります。

 ――月の光と薔薇が放つ光の粒子の中、銀と金の二人の少女がベッドの上に座り、服をはだけた二人の女性を前に立たせている。少女達はお揃いのシースルーのネグリジェを着ていて、薄い身体であるにも関わらず、背徳的な淫靡さをかもし出していた。

 二人の少女が人差し指を突き出す。二人の女性は各々、目の前に突き出された指に対して跪くと、その指に向けて口を開けて舌を突き出した。突き出された舌に光の胞子が当たって弾ける度に、舌が小さく震える。

 少女達が指を更に突き出すと、指は女性の舌へと触れる。そのまま少女達は各々が女性の舌へと指を押し付けている。少女達が指に力を入れると、女性達の開いた口から嗚咽のような声が断続的に漏れる。

 少女達は指の本数を増やしたり、更に奥へと指を突き入れたりして女性達の口内を弄び始める。女性達は声を漏らしながら、徐々に頬を上気させ、目を蕩けさせていく。

 指が動くたびに粘り気のある水音が聞こえてくる。時計の振り子の音と漏れる水音だけが部屋の中に響く。女性達は口の端から唾液が顎を伝って零れている。

 少女達が残った手を使って女性の顎を掴んだ。掴んだ顎を上にあげて、女性達が天井を向くようにする。そして、指の数を増やして更に口内を蹂躙する。蹂躙される女性達はただ、涙を流しながら嗚咽を漏らし、口の端からだらしなく唾液を垂らし続ける。そこに遠慮や容赦といったものは存在せず、少女達の望むまま、喜ぶままに口内を蹂躙され続けるしかなかった。

 女性達に嫌悪感はない。ただ、主から与えられる快楽を享受し、溺れるだけだ。それこそが主の望みであり、自身の望みなのだ。

 少女達の動きに熱が入り始める。心なしか少女達の表情は恍惚としたものへと変わり、吐息も荒くなってきている。加減も忘れて強く指を舌に押し付けた少女達、それに反応して女性達の身体が大きく跳ね上がった。

 跳ね上がった女性の身体が落ち着くと、少女達は口内を蹂躙していた指を止めて、親指と人差し指を使って女性の舌を挟み込む。そのすぐ後に掴んだ舌を口の外まで引きずり出す。

 舌を引きずり出されて嗚咽を漏らす女性の表情を一頻り楽しんだ後、少女達は指を離して、女性の唾液で濡れた指へと自身の舌を這わしていく。女性達は、幼いと言っても過言ではない容姿の少女達が、自身の唾液を舌で掬い、味わう姿に背徳的な快楽を感じてしまう。少女達はそんな女性達へと悪戯な笑みを向けた。


「あら、モア、どうしたのかしら? 私が『あなたを味わう』のがそんなに嬉しいの?」


「フィレア、はしたないよ。あんなに身体を震わせた後なのに、まるでおねだりするみたいな視線を向けるなんて」


 少女二人の罵倒にも近い言葉を受けても、女性達は更なる悦楽を求めて視線を向けることをやめられない。

わかっているのだ。少女達が与えてくれる快楽はこんなものではないことを。少女達が得てくれる喜びはまだまだこれからだということを。

 女性達が快楽を得るほど、少女達は喜んでくれる。少女達が満たされるほど、女性達は喜ぶことができる。だから、女性達はねだる様な視線をやめることはない。

 少女達が立ち上がって、目の前の女性の手を引く。女性達はされるがままにベッドの上に座らされてしまう。四人が動いたことで破裂した光の粒子が少女達の顔を照らす。その瞳は血のように赤く、爛々と輝いていた。その口には鋭く輝く牙があった。

 少女達の後ろには窓から覗く月が見える。部屋を満たす胞子と月の光を背にした少女の恍惚とした表情に、女性達の心が期待と喜びに支配されていく。己が主たる少女の顔から目が離せない。あまりに美しい光景に、女性達は身体の芯が疼くのを感じる。

 少女達は己の従者へと近付いていき、従者の足の間へと自身の膝を滑り込ませた。金の少女はそのまま女性の首筋に舌を這わせ、銀の少女は女性の胸の谷間へと顔を埋める。金の少女が唾液で女性の首を穢す。銀の少女の指が豊満な女性の胸に食い込む。

 女性達に伝わる感覚の全てが快感へと変わり脳へと伝えられる。その度に女性達の口から艶のある嬌声が上がる。

 そして、ついに少女達の牙が女性の身体へと突きたてられる。突き立てられた瞬間、女性達の身体が震える。だが、普段とは違いそのまま吸い付くことはせずに、刺し込んだ牙をすぐに引き抜いた。牙の抜かれた女性の身体からは、小さな血液の球体が浮き上がる。

 少女達は壊れ物を扱うかのように、球体へと舌を這わせて、丁寧にそれを舐め取る。少女達の舌が傷口に触れるたびに、女性達の目が見開かれて身体が跳ね上がる。鋭く、小さな痛みは快楽へと変わり、女性達の脳を焼く。だが、同時にもどかしさも感じていた。

 与える快感、それもっと感じたい。もっと、与え、捧げ、満たし、喜ばせ、喜びたい。女性達の心はそんな想いに占められていく。舌が傷口に触れると、それしか考えられないようになっていく。女性達の口からはより大きくなった喘ぎと共に、熱い吐息が吐き出されている。

 もはや、行為の前に感じていた不安や怒り、様々な感情は感じない。主へ求め、ねだる、従者としてあるまじき卑しい想いだけが心を支配している。


「ねぇ、モア、もっとほしいの? もっと気持ちよくなりたいの? もっと奪われたいの?」


 銀の少女が視線を上げて自身の従者へと歪んだ笑みを向ける。その笑みを、その言葉を『与えられた』だけで女性の身体に凄まじい快感が走る。その反応を見て、銀の少女は嬉しそうな笑みを見せると、傷口へと這わせていた舌を上へと動かしていく。

 舌が女性の口元へと辿りつくと、そのまま女性の口の中へと舌をねじ込んだ。口の中から女性の舌を探し出すと、唇を使ってそれへと吸い付いていく。そして、女性の唇に鋭い痛みが走った。痛みは一瞬だったが、それが銀の少女の牙によるものだと確認せずとも理解できた。銀の少女は女性の舌と唇にできた傷口へと何度も舌を絡め、何度も吸い付く。女性は口を押さえられ、喘ぎを上げることは適わないが震える身体が感じている快感を現していた。

 そんな光景を横目で見ていた金の少女が、銀の少女と同じように己の従者の口の中を蹂躙し始める。頭部を両手で押さえられ、上を向いたまま金の少女に蹂躙されている女性は、何度も身体を震わせながら自身を蹂躙する主の顔へと目を向ける。女性の主である金の少女の目は女性を見ておらず、常に横にいる銀の少女へと向けられていた。

 金の少女にとって自身がその程度の存在であると、そうわかっても女性は悲しみを抱くことはない。銀の少女だけを想い、銀の少女だけを愛するその姿に歓喜と快楽が脳を駆け巡る。女性にとって、愛する主は『自分を愛していない、銀の少女だけを愛している主』なのだ。もし、主が女性を愛するようになればきっと受け入れられないだろう。


(エレミア様、エレミア様はやはり、アリス様へ想いの全てを向けている姿が一番美しいです。愛しい私のご主人様……、もっと、もっと、私を『利用』してください)


 女性はただ使われ、利用されることに喜びを感じる。それが自身の存在意義、それが自身の生まれた理由、それが自身の愛し方なのだ。

 女性の胸が熱く震える。金の少女はそれを気にも留めず、ただ女性の口内を弄びながら銀の少女へと視線を向け続ける。

 銀の少女が自身の従者の唇から、己の唇を離して熱い吐息を漏らす。その表情は蕩けきっていて、相手の女性はすでに意識も朦朧といった風だった。二人の表情が、どれだけ長く、激しく唇を重ねていたかを物語っていた。

 銀の少女は揺れる瞳のまま、本能に身を任せて女性の首筋へと顔を埋めた。その数瞬後に女性の首から伝わる快感が、『本番』の始まりを告げる。

 女性の首筋に顔を埋める少女の瞳孔が猫のように細くなり、真っ赤な瞳は薔薇の胞子に照らされて今まで以上に強く、激しく輝いていた。

 突き立てた牙の隙間から流れてくる液体の熱が少女の喉を潤し、心と欲望を満たしていく。女性は強く仰け反りながら、口を大きく開いて長い喘ぎを上げ続ける。心を襲う恐怖から、心を蝕む罪から目を背けながら、少女はただその甘さに溺れる。少女の漏れる吐息と、女性の嬌声が不規則に絡み合い、部屋の中を満たしていく。

 触発された金の少女も、自然と己の従者の首筋へと牙を突き立てていた。視線は常に銀の少女を見つめ、心は常に銀の少女を想っている。自分がこうして、銀の少女の真似をするのは、銀の少女への愛の証明。銀の少女の努力と苦痛を知っていて、知らないふりをしてただ享受する。それが金の少女の愛の在り方。

 月の光と薔薇の胞子だけが照らす部屋の中に、二つの嬌声と二つの吐息が鳴り響く。その声が止まる時、『夜食会』が終りを告げる。


 ――『夜食会』が終りを告げた後の室内で、光に照らされて二人の少女が唇を重ねている。二人の女性はベッドに倒れこんで、虚ろな表情を浮かべていた。

 少女達は互いに舌を、唇を貪りあう。身体を襲う熱のままに銀の少女から始められた、この行為はすでに数十分以上続いている。互いの赤い瞳が視線を交わす度に、互いに強い熱を胸に抱く。


(エレミア。私の愛しい子、エレミア。ずっと、ずっと、私が守る。ずっと、ずっと、あなたを愛し続けるわ。だから私を必要にして、だから私を求めてちょうだい)


(お姉さま、お姉さま、お姉さま。あぁ、もっと捧げさせて。もっと奪わせて。もっと、もっと、もっと……!)


 罪から逃れるために求める少女と、罪を求めて求める少女。二人の少女の在り方は決して交わることなく、ただ銀の少女を責め続ける。ただ金の少女の願うままに、銀の少女へと罪を背負わせていく。

 銀の少女はもはや自分が何をしているのか理解してはいない。銀の少女が抱くのは恋慕の情ではない。だが、この行為を他者が見れば背徳的だが、恋人同士のそれだと指摘するだろう。それでも、銀の少女は金の少女を愛しい我が子として愛しているのだ。

 歪み、壊れた二人の愛の形は決して交わることをしない。交わってしまえば、金の少女は己の望んだ世界を失ってしまうから。交わってしまえば、銀の少女は満たされてしまうしから。それは二人の『月夜』が終わることを意味しているから。

 だから、二人は想いを重ねることなく、ただ、『月の輝く夜』に互いの身体だけを重ね合わせる。

 いつの間にか時計の振り子の音はどこか遠いものになり、部屋の中には二人の唇の間から漏れる粘液の絡み合う音だけが聞こえていた。


全編夜食会です。

完全に作者の趣味の吸血シーンです。

ただ血を吸うより、こういう方が好きなんです。


次回も楽しみにしてくださると嬉しいです。

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