序章 ~転生~
初投稿です。
さてさて…… あーあー、皆聞こえているかな
よし、大丈夫そうだね
こんばんは、皆さん。元気かな?う~ん。元気っぽいね、知らんけど。
まぁ、俺がいない世界はさぞかし平和だろう。そのために色々やったし無理難題をクリアしてきたし…
俺は何度も何度も…
……っと、すまない。少し嫌な事を思い出してしまってね。
何を話そうか。そうだな…これなんかはどうかな
むか~しむかし、あるところに世界のことなんてなにも知らない 臆病で非力でそれでも世界に抗った小さな子がいました…。
はぁ、悩むなぁ…
ほんとにどうしよう…と、まぁ今絶賛お悩み中の高校3年、童貞、成績最下位(たまに下から二番目)
の俺、久遠未波は誰にでもいつかは訪れるであろう高校最後の大イベント『進路』について悩んでいた。
「おいおい、勘弁してくれよ未波… お前のため息とそのまじで焦ってる顔を見るとこっちまで嫌な気持ちになるだろ…」
「いやいや、お前も焦れよ… 俺とテストの点で争ってる時点でやばいからな?やばいからな?」
「二回も言うなバカ野郎… あー、今日は雨か…」
「お~い、戻ってこ~い。あと、今日はお天気お姉さん曰く『この上なく晴れるでしょう!』らしいぞ
はいどうぞ、ハンカチ貸してあげる」
「グスッ あ…ほんとだ… 太陽の光が心に沁みるぜ…」
と、小さい頃からの腐れ縁である中村悟とまるで芸人のような楽しい会話を毎日している。
こんなしょうもない会話をしてるから成績悪いんだと言われそうな会話だが俺にとってはこれが楽しい時間なのだ。
そんな楽しいような何とも言えない時間は過ぎていく。
「だぁ~今日も終わったぜ… って今日例の新作ゲームの発売日じゃねーか!未波!早く買いに行ってゲームしようぜ!」
「あー、悪い… 今日は母さんに寄り道せずに早く帰れって言われてるから無理だ…」
「なに?! お前とできるのを楽しみにしてたんだけどな… まぁ、仕方ないな。一人でやるとするわ」
「ほんとに悪いな… じゃあ、帰るわ また明日な!」
「おう!じゃあな! ……気をつけろよ」
最後何か言っていたのが気になるが急いでるからまた明日だなと思いながら走って帰る事にした。
あと少しで家に着くところで、ふと、道路の方を見ると猫が道路に飛び出していくのが見え丁度そこにトラックが迫っていて一緒に女の子が猫を追いかけていくのも目の端で見えていた。
そこで俺は何かの違和感に気づいた。
…あれ、なんでこんなに皆遅いんだ?
と、違和感に気づいたが何故か納得できない俺がいた。
その違和感は現実ではありえない事。そう絶対にありえない事なのだ。ここは異世界でもなければファンタジー要素なんて全くない現実。そう、それは紛れもない事実なんだが…
「うん。遅い…な って、確認は後だ。今のうちに猫と女の子を助けないと…」
俺の体は普通に動くし…
周りに俺と同じで動ける人は …いないのか
……って、これは、動かせるのか…? まぁ、考えてもあれだし行動あるのみだな…
触れてみると普通に動かせるみたいだ
「よかった…」
そして、動かそうとした瞬間…
「ブブー!!ブブブブブブ---!!!」
「………え?」
そして俺は考えるよりも体が先に動いていた
少女を突き飛ばし…
猫を抱え上げ…
その猫を少女のもとえ投げた。
そこで、悟ってしまった。
もう助からないと。これで自分の命は終わるのだと。
そう思った瞬間に後ろから『死』がいる…否
迫っている。自分に向かってきていると鮮明に感じた。
久遠未波は死ぬ恐怖を知った。
そこで、また時間が遅くなった。しかし、さっきよりは早い。
「これは…そうか…そうかこれが走馬灯ってやつか…」
色々なことが脳内をめぐっていく。
楽しいこと。悲しいこと。大変なこと。苦しいこと。そう、本当にたのしかったなぁ…
そこで、ふと突き飛ばした少女を見ると目が合った。
なんで、そんな顔するんだよ…
笑ってくれ…な?
でも最後に君みたいな子と可愛い猫を救えてよかったよ…
そこで、強い衝撃とともに俺の意識は遠くなった。
……あ~痛くないのか良かった。 あと……童貞は捨てたかったな…
その、『事故』のすべてを見ていたものが一人いた。
そして、呟いた。
「未波。だから、気をつけろって言っただろ。」
その呟きは、消え入りそうな程小さく悲しそうだった。
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