そして僕は教壇に立つ
愛しているのだと思う。
今まで味わったことのない気持ち。
おはようございます
おはよう
そんな簡単な挨拶でさえ、僕を幸せにさせる。
愛しているのだと思う。
眩しい笑顔で笑う君を。
後ろ姿を確認する。
それだけで胸が踊ってしまうんだ。
小春日和のある日のこと。
いつも通り勤め先の校舎へ行く。
某有名予備校で働く僕は、その日、予期せぬ出会いを経験する。
新学期には新しい生徒が体験入学に来、彼らの大半が契約をしていく。
そんな中に彼女の姿をみつけた。
彼女は高校3年生で黒髪の清楚な雰囲気の子。
良く笑い、明朗活発。
そんな彼女に、僕は年甲斐もなく一目惚れをした。
とはいえ、僕も社会人二年目。まだ24歳だ。
でも、彼女らからすればいい大人で、もう何年かすれば「オジサン」の域だ。
若くなりたい。
こうも切に願ったことはないだろう。
教える立場だから、自然と会話をする機会に恵まれる。
でも、同じ立場で同じ目線で話を出来る、男子生徒には敵わない。
僕は何も出来ず、彼女の質問に答え、他愛もない話をし、課題を渡すしか出来ない。
僕に彼女がしてあげられることはそれだけ。
彼女が僕にもとめるのはそれだけ。
虚しいのとは違う、苦々しい気持ちを僕は抱えている。
ふとした拍子に出てきてしまいそうなこの想いを
僕は必死の思いで塞き止める。
君との距離は近いようで遠い。
どうしても届かない。
君との距離は遠すぎる。
先生と生徒
それだけだけど。
壁は高く、厚く、そびえ立つ。
気持ちに蓋をして、何ごともなかったかのように。
イイセンセイを演じる。
そして僕は教壇に立つ。
ご覧頂き有難うございました。
詩のように書きたかったのですが、字数の問題で途中に文章を挟んでみました。
ご意見・ご感想を頂けると嬉しいです。