その四十九 真っ直ぐ探しの旅(まだまだ続く旅の途中)
さっきまで師匠と相撞きしていた。
いつもは聞かないと教えてくれない師匠が珍しく自分からアドバイスを始めた。
「高橋さん」
「何?」
「ストローク変えましたか?」
「うん。変えた」
師匠が指摘した僕のストロークイメージは自分で意識しているストロークイメージそのものだった。
良く見てるな。すごいや。
前ダメしてから、しっかり引いて、後ろで一度止めて突き出す。
タイミングは前ダメから「チャー・シュー・メン」だ。
このタイミングの取り方でキューの方向性が良くなってイレが安定した気がする。キューも少しキレる様になった気がする。
グリップはほんわかと握ってない感じがブレない気がする。結局インパクトで握るんだけどね。
気がするばっかりだけど。
「高橋さん、キュー先で方向性を見てませんか?」
「そうイメージしてる」
「レストとグリップで方向性をイメージして撞点はレストとグリップのレベル差で出すのがお薦めです」
「やってみる」
師匠との相撞き後に教わったレストとグリップで方向性を出してみて目をつぶって撞いてみる。
少し方向性が改善された気がする。
結果が出るならしばらく続けてみるか。
◆◆◆◆
練習しながら少しだけ自分でストロークの改善をしてみる。
手球を捉えるくらいから少し加速して長く突き出す。長く突き出すイメージで更に方向性が改善してきた気がする。
「高橋さん」
「何?」
師匠から声がかかる。
「ストローク変えましたか?」
「うん。変えた」
師匠が指摘した僕のストロークイメージは自分で意識しているストロークイメージそのものだった。
良く見てるな。すごいや(その2)。
「高橋さんのやってる加速するストロークだと弾け球になりますよね」
「そうなんだ」
「そうです。良く言われる『割れる押し』なんかを撞きたい時に使う撞き方ですね」
「割れない撞き方ってどうするの?」
「等速でストロークしてあげると良いですよ」
師匠が自分からアドバイスしてくるのはとても珍しい。ここのところ連続だけど。
等速でストロークしてみる。手球が左に飛ぶ。あれ?
「師匠。手球が左に飛ぶ」
「体がキューの方向に対して被さっているからでしょうね」
「ん?」
師匠いわく。キューの突き出す方向に対してレスト・グリップと肩が乗ったのが良いフォームらしい。僕の今のフォームはキューの方向に体が正対とまではいかないけど師匠の表現で言うと被さっているらしい。キューを体側に引き込んでる様だとも言っていた。スヌーカーのフォームだと完全に正対しているイメージがあるけど、僕にはその系統のフォームは合わないってのが師匠の意見の様だ。
「練習してみる」
「はい。頑張って下さいね」
シュート方向にレストを置いて肩とグリップをキューに乗せて構えるイメージでフォームを作ってみた。
「意外に違和感がない」
思わず口に出たけど、今まではアドバイスされてフォームやらグリップやらストロークやらを修正すると、合わない修正とか意味を間違っていた修正は違和感マシマシだったけど、今回の師匠のアドバイスの修正は違和感なくできた気がする。等速のストロークでのズレも小さいみたいだ。
「等速のストロークする時はレストの先にあるキューの長さを多めに取ると良いですよ」
今日はいつになく師匠のアドバイスもマシマシだな。
少し慣れるまでこれやってみよう。
僕の真っ直ぐ探しの旅は続いていく。店長からは「一生終わらないですよ」と夢の無い言葉も頂いている。




