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ビリヤードな日常  作者: 田渕才造
ビリヤードな日常編
41/51

その四十一 スマホ

 今日はいつものホームから離れてSNSで誘われて相撞きだ。


 相手は僕と同じ女子大生。ビリヤード友達になれると良いな。


「きょうこでーす。よろしくお願いしまーす」

「高橋。よろしく」


 口で言われただけだとお互いに漢字は分からないけどお互いに自己紹介は終わった。


 ふわふわした女子大生っぽい服とふわふわした女子大生っぽい雰囲気。僕と違って男性からすると可愛いって思われるような女の子だ。どうしてこんな子がビリヤードしてるのか僕には分からない。もっと男の子にモテモテになるコンパとか行けば良いのに。僕は興味ないけど。


「ヨロシクオ願イシマース!」


 キャレンは相変わらずマイペースだ。金髪碧眼のモデル並みの容姿にダイナマイトボディ。キャレンがコンパに行ったら男の子たちは大騒ぎだろう。キャレンはまだ未成年だから大学生のコンパには行かないだろうけど。


 どう考えても一般の女子大生と僕が相撞きして仲良しになれるとは思えない。かと言って斎藤くんを連れてくると僕じゃなくて斎藤くんの女友達を増やすだけな気がする。僕の選択肢としてはキャレンが次善の策だろう。女子高生のキャレンに頼って女子大生の相手をしてもらうのもどうかと思うけキャレンの友達は僕の友達になるかも知れないし。


 ここは僕のホームから離れた都会のビリヤード場。僕のホームと違って台の間は狭いけど都会にしては球代が安い。初心者には優しいお店だ。


「このお店初めてですぅー。高橋さん誘って頂いてありがとうございますぅ」


 なんか知らないけどこの女イラっとする。キャレンはニコニコしている。僕もキャレンを見習わないと。


 三人撞きでも良いんだけど、きょうこちゃんが混ざった三人撞きだときょうこちゃんが楽しめないと思う。キャレンは珍しく空気が読めるから二人撞きだと僕と同じ様に接待ビリヤードしてくれるはずだ。キャレンと僕が一緒に撞く三人撞きだときょうこちゃんが殆ど撞けずに不機嫌になる未来しか見えない。


 バキャっと強めにブレイク出来る様になった僕は強めにブレイクしてトラブルが出来ないように配置を作る。きょうこちゃん接待ビリヤードの開始だ。


 僕のホームにキャレンが来る様になってあんまり来なくなった常連さんが戻ってきてこれまで来た事がなかった新規のお客さんが増えた。男ってバカばっかりだ。

 僕が斎藤くんと来る様になった時にはそんな変化はなかったらしい。どういうことだ。僕だって一応女性なんだぞ。キャレンと僕の違いって乳か?乳なのか?男って本当にバカばっかりだ。


 きょうこちゃんもキャレンには及ばないけれど女性の僕から見ても乳は大きい。十分大きい。キューを振るのには邪魔になるのは間違いない。可愛そうに。


 まぁ、いい。とりあえずきょうこちゃんとの相撞きに集中だ。回ってきた球の配置を確認する。さすがにビギナーだ。残りの配置が渋すぎる。


 何とか目の前の一つ目の球を沈めて出しもそこそこ。残り六個だけど僕のシュート力でも出しミスしなければ取り切れる配置だ。ふふふと微笑みながらきょうこちゃんを見る。


 あ、スマホを夢中で弄ってる。かなりイラっとする。僕より実力が下なのに僕の球を見る価値がないと言われている気がする。

 キャレンを見る。女子高生の癖にテーブル上の配置を自分ならどう処理するか考えながら見ている様だ。これが普通だよね。僕がビリヤード中毒だからなんだろうか。


 きょうこちゃんと相撞きしているのが空しくなる。ビギナーなんだから自分が撞く時に集中するのが正しいんだろうな。


 キャレン、見てろ。この六球を華麗に取り切って見せるから。


 キャレンも何かを感じたのか食い入るようにテーブルを凝視している。


 一球一球、慎重に手球の重さを感じながら無理せず力加減重視でシュートして出していく。少なくとも崩壊する様な球にはなってない。何とか六個を沈めてきょうこちゃんを見る。


 取り切りにすら気が付いてないみたい。苦笑いしながらセルフラックを組む。ブレイクする。やっときょうこちゃんが気が付いた。


「凄ーい!高橋さんたくさん入れれるんですねー!プロみたーい!」


 見てないのに褒められても嬉しくない。キャレンは九番を沈めた時に小さく拍手してくれた。凄く嬉しかった。キャレン、お前が成人したら球撞いた後に飲みに行くぞ。

読んで頂いてありがとうございます。

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