その十三 ハウストーナメント その三
すいません。表題に偽りありです。今回はビリヤード関係ないです。
「師匠、勝った」
試合を終えて席に戻ってきたジジイに声を掛ける。
「おめでとうございます。試合楽しいでしょう?」
「まだ良く分からない」
バンキング負けてコンビで九番沈めただけだからね。一試合で二回しか撞いてないし。勝ったのはうれしいけど。
「師匠は?」
「私も何とか勝てましたよ」
「師匠、ラーメン」
「そうですね。もうお昼過ぎてますし、進行役の方に食事に行って大丈夫か聞いてきますね」
ジジイが店長の方へ歩き出す。さてどうやってジジイにラーメンおごってもらうか考えないと。大学生は昼ご飯一食の食事代も疎かにできないのだ。
「三十分くらいなら大丈夫みたいですね。ラーメンなら大丈夫でしょう。さてご一緒しましょう。今日は高橋さんの試合での初勝利をお祝いしてラーメン代はご馳走しますね」
初勝利のお祝いならラーメンなんかよりもっと良いもの食べさせて欲しいものだが、それを言ったら昼ご飯が自前になる可能性が高い。明日の千円よりも今日の五百円。出かかった言葉を飲み込むのもただ飯のためだ。
「師匠、ありがとう」
僕だってお礼はくらいは言えるし。
「さて、ラーメン屋さんに移動しましょう」
ビリヤード場の近所のラーメン屋はよくあるトンコツベースのラーメンである。トンコツの聖地である博多に本店があるそうだ。博多が本店のラーメンチェーンと言えば、席が間仕切で仕切られたところや、赤やら白やらの丼のあるところが有名だが、このお店はもう少しリーズナブル。地方にあるとは言えワンコインから食べられるから僕の通っている大学の学生にも愛されているお店。ちなみに斎藤くんからラーメンご馳走になったお店ではない。
「どれでもお好きなものをどうぞ」
僕はそう言われて遠慮するタイプじゃない。貧乏学生なめるな。
「これ」
「おお、一番ボリュームのあるのですね。高橋さん食べきれますか?」
「大丈夫」
これで晩ご飯は買い置きの野菜中心で済ませる事が出来る。ジジイありがとう。




