外の世界に潰される
ファンタジーとか書いてみたいと思うのですが今回も現実世界です。
「昨日のさ、星田源すごくイケメンだったよね。」
「うんうん。あの最後の所の、『お前は俺の物だ』って言ってたところ、すごくカッコよくてキュン死にしそうだった。」
クラスでは、昨日の恋愛ドラマで話題は持ちきりだ。でも私には関係ない。私の友達はほとんどおらず、要するにぼっち。まあ、寂しいとは思わない。明らかに避けられたりする時はあるけどいじめられてはないから。
終礼が終わって、1人で下足に向かっていると先生が来た。
「大宅さん、また1人なの?三田さんとか同じ方面でしょ?いじめとかはないの?」
「別に私は友達とかそういうのあんまり作らないんで。」
「友達いないと寂しいよ?友達いたら楽しいよ?」
「まあ、考えときます。」
適当に返事する。あんな裏表があって、うわべだけ笑ってる人なんかと一緒にいたら疲れる。それに今の生活で満足できてる。私は幸せ者なのだ。それに、そこそこ仲良しの人は、数人だけどいる。孤立してるわけではない。友達が多いのが正しいんじゃない。大事なのは、信頼できる友達がいるかどうかなのだと思う。
家に帰ってきた。ここからが私なのだ。部屋に入り、テレビをつける。ブルーレイをセットして再生。そうして映し出されたのはアニメ。このアニメに出てくる、このイケメンのことが私は好きだ。これが恋情なのかもしれない。そのイケメンの名前は、奏矢と言うのだ。
「あー!!!奏矢!かっこいい!今日もかっこいいぞ!もう、ほんと、その表情好きだから!」
独り言を叫ぶ。虚しくなんかない。叫ばずにはいられない衝動。
本当の私は誰も知らない。それでいい。私は今、幸せだから。オタクは気持ち悪いとよく言われるが、それでも私はオタクをやめない。他人がどう僻もうとそんなの知らない。
夏休みに、近くのアニメショップで爆買いをした。その帰りのこと。
「大宅さん?ヤッホー。」
「あ、三田さん。」
まずい、オタクがバレる。やはり近くで買うのはやめたほうが良かったのか……。
「ねぇ、何持ってるの?開けていい?」
私が返事をする前に三田さんは開けてしまった。
「あ、ちょっ…。」
「え、何?フィギュア?誰これぇ?」
奏矢を嘲笑うな。やめてくれ。
「何円くらい使ったの?ぇ?こんな物が5000円?高くない?」
奏矢の限定品だ。高いものか。むしろ安いくらいだ。
「もっとさ、服とかに使ったら?」
お前は何様だよ。私が、バイトして稼いだ金の使い道くらい私が決めたっていいはずだ。
「うわ、細かい〜〜。」
箱から出されていた。もういい加減にしてほしい。
「こことか回るの?」
やめろ!回すな!壊れる!
「ごめん、回らないから。これから用事あるんだけど、もう帰らないといけないから返してもらっていい?」
「え〜?なんの用事?」
どうして言わなければならない?だから、さっきからお前は何なの?人のフィギュアをいじくりまわして、人の趣味侮辱して。本当は用事なんてないけど、早く逃げたい。
「庭とかの掃除しろってお母さんから言われててさ、早く帰らないと怒られるから、帰らないと。」
とっさに思いついたことを言った。これで帰れるはずなのに…。
「塾とかじゃないんだ。じゃあ、大丈夫。」
お前の都合じゃない。私の都合だ。何が大丈夫なんだよ。おい。だからさっさとフィギュアを放せよ。限定品ですぐ売り切れて、入手困難品なのに。
そうして数時間後に帰宅した。私はだいたい予想している。オタクだから、学校で痛い目に遭わされるということを。二次元オタクだけに何故か冷たい。星田源のオタクと言うべき人には何もない。不公平だ。おかしい。
二学期の初日から見事に私の予感は的中した。もう嫌だ。
お読みいただきありがとうございます。オタクや友達に関して、とある視点から見たものです。どの視点が正義などとはわからないものです。




