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白菊のしらべ  作者: 柊 さつき
9/20

変化

店の開店前、彰と暁は店内の掃除をしている。そこに水を汲みに行っていた白菊が戻ってきた。

「兄さん、マジックショーが来るんだって」

「珍しいな。で、いつなんだ」

「今年のお祭りに、あのギルも来るんだって」

水汲みの帰り道、掲示板にマジックショーの宣伝が貼ってあったとの事だった。

「そりゃ、すごいな」

「ギルってマジシャンは、そんなに有名なんだな」

「有名よ!マジック界のカリスマだもん」

白菊は、瞳を輝かせて言う。

「へぇ、そうなんだ」

「で、お前は行きたいんだろ?」

掃除を終わらせた彰は、コーヒー豆を炒りながら言う。白菊と彰は、亡き祖父の影響で手品や不思議な物事が好きなんだと、暁は聞いていた。

「いいの?」

「暁が一緒に行ってくれるならな」

マジックショーは、夕方からである。終わるのは夜遅く。女の子を一人、夜道を歩かせるわけにはいかない。

「え?」

急に話をふられて暁は驚く。白菊の期待の眼差しが痛い。

「店の方が忙しくないなら……」

「ありがとう。暁」

花の咲くような笑顔、例えるなら撫子。

「あぁ」

この笑顔を断れってのが無理である。何がを背負っている白菊が笑っていられるならいいかと、暁は思うよ。

「そうなると、その日は女性客が悲しむわね」

家事を終え、雪花が顔をだす。暁が店を手伝うようになってから、人から人へと暁の噂が広がり、女性客が増えた。瓦版が取材に来たいと依頼があったぐらいである。でも、暁が嫌がり取材は断わった。

「どうして取材、嫌がったの?」

「俺が目立つと、ろくなことがないから。余計な奴が目をつけないといいんだけど……」

最後の方は独り言のようである。

「余計な奴ら?」

「大丈夫。なんでもないよ」

暁は白菊に笑いかける。

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