買い物2
「おまたせ。暁」
白菊は支度を済ませ、店の開店準備を手伝い暁に声をかける。
「いってらっしゃい。できる事なら、着いて行きたいわ」
雪花は、そうぼやきながら、玄関まで二人を見送る。
「今日は、竜が半日で帰ってくるんでしょう?」
「そうなのよ。まぁ、主婦だものね」
「また次は、一緒に行きましょう?ヒカル、お留守番よろしくね」
「ワン」
二人は、晴天の空の下、駅へと向かう。歩いて15分くらいのところに駅はある。
「雪花さんの、見立ての腕は凄いわ。ただ、相手が身内だと、雪花さんが気にいるまで終わらないをだもん」
「そうなのか?」
「そうなの」
白菊は苦笑する。そして、今までの雪花の武勇伝を暁に聞かせる。
「そりゃあ、大変だ」
「でしょ?でも少し前、そういうのに救われたわ」
前を見たまま話す白菊の瞳は、遠くの何かを見ていた。暁は何も言わず、見守るしかなかった。
「さて着いた!」
機関車に揺られ降りた先は、にぎやかな街だった。この国の商業の中心都市・白露。
「暁はどんな服がいいの?」
「そうだな」
まずは、色々見て歩こうと、二人は店を覗いて歩く。さすがは商業の中心都市、色々な国の服や雑貨を売っている。
「これがいいかな」
一通り見てまわり、暁が選んだのは、紺の袴と鼠色の着物。彰は滅多に和服を着ないため、白菊は男物の和服はよくわからなかった。店員と暁が話をしているのを邪魔しないように、白菊は女性の物の見ていた。
「白菊」
しばらくして呼ばれたので、暁のもとに戻ってみれば、和服姿の暁が立っていた。彼の紫色の瞳が、とても良く映える。
「かっこいい!雪花さんが見たら、倒れるわ」
最初に選んだ、着物と袴。もう一着は、店員さんのオススメの着流し。必要な小物などを会計を済ませ、外に出る。
「休憩しない?」
「そうだな」
向かった先は、白菊がよく通う、麺類の美味しい店。
「ここの平めんのが絶品なの!」
「よく来るのか?」
「うん!友達とも来るし、前には京とも
……」
元気よく話していた白菊が、急に黙り込む。様子がおかしい。
「白菊?」
「ごめん……。まぁ、よく来る店よ」
「そうか」
その後の白菊は、いつもの調子を取り戻し、暁が今まで旅をしてきた場所の話をききたがるので、暁は隠すことなく話した。
「暁は、どこの国に行っても目立ったでしょ?」
「そうでもないよ。でも警官にはよく追いかけられたよ」
「警官だけ?」
「なんで?」
「だって、白露に着いてから、暁を見て振り返る人が多いよ」
白露に着いてからもそうだったが、着物姿になってからは、注目度が増したと白菊は思っていた。
「そうか?異国人はどこに行っても目につくからだろう」
“そうじゃなくて、暁がかっこいいからでしょ”と、白菊な内心思う。何しろ振り返るほとんどが女性だったからだ。
今もこうして話していても、店の中の女性達は、暁を見ている。
「じゃあ、大変だったでしょ?」
「ほどほどにね」
暁は、困った様に笑った。




