買い物1
翌日、暁は白菊と街に出かける事になった。
「おはようございます」
「暁君、おはよう。よく眠れた?」
暁が昨日、白菊に教わった勝手口から母屋の台所に行けば、雪花が朝食の用意をしていた。
「はい」
「そう、よかった。そうそう、今日は菊ちゃんと、服とか必要な物を買ってらっしゃいな」
おたまを片手に、雪花は夫の服を着た暁を見る。
「俺のじゃ、ジジくさいってか?」
「あら。そうじゃなくて、暁君の雰囲気じゃないのよね」
「雪花の職業病が始まったか……」
「職業病?」
「結婚前は、洋服や和服の見立ての仕事をしていたの。まだまだ現役よ!」
にっこりと笑う雪花。
「本当は私も付いて行きたいんだけど、そうもいかないでしょ?だから、菊ちゃんと行ってらっしゃい」
雪花は、そう言って、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出す。暁と彰は、食卓に座る。
「でも、菊は寝坊助だからな」
「そうね」
「白菊は、朝弱いんですか?」
暁の言葉に、雪花は困った様に笑う。
「そうなの。低血圧なの」
「まぁ。しばらく待てば、竜が起こしに行くさ。それまでゆっくりしておけ、暁。騒がしくなるぞ」
ニヤッと彰が笑う。3人で先に朝食をとっていると、竜が目を擦りながら起きてきた。
「おはよう」
「おはよう。顔を洗ってらっしゃい」
「ん〜」
竜も食卓を囲む頃には、目が覚めていた。
「竜、食べ終わったら、菊ちゃんを起こしてきてくれる?」
「菊、まだ起きないの?しょうがねーなぁ」
「竜が起こす役なのか?」
「そう。あいつを起こすの、僕なんだ」
竜は、大げさに肩を落とす。
「大変なんだな」
その仕草が、かわいらしくて、可笑しかったが、暁は笑いたいのを我慢した。
みんなが、食事を終えると、竜が立ち上がる。
「お願いね。竜」
「うん」
竜は白菊を起こしに行ってた数分後、二階から騒がしい音と共に、白菊の声がした。
「竜‼︎」
その声に、暁はビクッとして天井を見る。
「暁、いつもの事だ」
彰と雪花は、慣れているようだ。しばらくして、竜が戻ってきた。
「どんな起こし方をしたんだ?」
「いつもの事にだよ」
暁の質問に、竜はあっさりと答えた。
「おはよう」
着替えを終えて、白菊が台所に入ってきた。
「おはよう。菊。いいかげん、ちゃんと起きろよ」
「そうだ。バカ菊」
「うっさい、竜。もう少しマシな起こし方ないの?」
「普通に起きないの菊が悪い!」
また、キャンキャンと、二人の口喧嘩が始まる。
「おはよう。白菊」
「おはよう。ごめんね。騒がしくて」
「いや、楽しいよ」




