出会い3
「おはよう。宿をとらずに、滝の裏で寝泊りしたの?」
「一文無しだからね」
「なら、うちに来ればいいよ」
「……昨日もそうだけど、そう疑いもせずにそう言える?」
「貴方が、そう言うのもわかるけど、ヒカルが懐いた人に悪い人はいないのよ!」
「わかった。しばらくお邪魔するよ」
暁は力説する白菊に負けて、承諾した。
「えっと……。名前は?」
「白菊よ。みんな菊って呼ぶわ」
「そうか。で、白菊。今の音は、昨日の楽譜の曲なのか?」
「そうよ。私は弾き手としてはまだまだだから、練習しないとね」
「いや、良かったよ」
「ありがとう」
暁の素直な感想に、白菊ははにかんで応える。
「笛の練習に、水桶?」
暁は、白菊の側に置いてある水桶に目をとめる。
「練習をしに来たのもあるけど、兄さんが喫茶店をやっていて、そこで出す珈琲を淹れるための湧き水を汲みにきたの」
白菊が湧き水を汲んでいる間に、暁は滝の裏を片付け、身支度を整えて出てきた。
「それじゃあ、行こうか?」
暁はさり気なく、白菊の持っている水桶に手を伸ばし、水桶を持って歩き出した。
道すがら、暁は自分が歩いてきた旅先の事を話した。
「ごめんなさい。重いでしょう?」
「大したことはないよ」
「ありがとう」




