回想
「おはよう」
「おはよう。今日は早起きなんだね」
暁の告白の夜から、季節は夏を迎える。いつもなら、朝寝坊をする白菊が、早く起きてきた。
「私だって、早く起きれるのよ?」
「それは、失礼」
そこへ、台所から雪花が朝食を運んでくる。その後ろを竜がついてくる。
「竜、えらいね」
「オレはいつも手伝ってんだぞ!バカ菊が寝坊助なんだよ」
「そうだね」
いつものように、にぎやかな朝。でも何かが違うと、暁は思う。
朝食を終えて、片付けをして、しばらくすると白菊が出かけていった。
「ヒカル、お前は留守番かい?」
「ワン」
「そうか」
暁はヒカルを撫でる。
「今日は、京君の命日なの。お墓参りよ」
声がしたら方をふりかえれば、雪花と彰が
いた。
「早くから?」
「そうなの」
雪花は、ふんわりと笑う。
“京” 暁がここにきてから、何度か聞いた名前。
「雪花さん。その京ってどんな人なんですか?」
「京君。五十嵐京介は、彰君の友達で、看護師さんだったの。菊ちゃんと京君は、お互いに好きだったのに、ちゃんと気持ちを伝えられないままになってしまったの」
「どうして?」
「2年前に、ナタ国で内乱があったのは知っているか?」
彰の問いに、暁はうなずく。
「その内乱で傷を負った一般の人たちのために、各国がいろんな支援をした。この国からも、医師や看護師が派遣された。京も行くことになったんだ」
暁も覚えている。そのときに旅をしていた土地でも、話題になっていた。
「その内乱で、京は死んだんだ」
「え?」
「もう、2年になるか……」
彰は静かに語り始める。




