変化2
それから数日後、暁は怪我をして帰ってきた。
「ただいま」
「暁⁉︎どうしたの?」
「大丈夫。かすり傷だから」
この日、彰と雪花はそれぞれの用事で外出していて、白菊が留守番、暁は買い出しに出ていた。
「売られたケンカを倍にして返してきだ」
暁は涼しい顔をして言うが、今にも泣き出しそうな白菊の頭をなで、大丈夫だと言うのが精一杯だった。
「とりあえず、着替えてくる」
「うん……」
何か言いたそうな白菊に、暁はそう言って出ていった。白菊は気を落ち着かせようと笛を吹く。しばらくすると外でヒカルが鳴く。竜が帰ってきた。ヒカルは竜の帰り道の途中まで迎えに行っていたらしい。
「ただいま。バカ菊」
「おかえり。ヒカルもご苦労様」
「ワン」
尻尾をパタパタと振り、白菊にすり寄るヒカル。
「なんだよ。大人しいじゃん」
「そう?」
いつもなら、ケンカになるのだが、今日はいつもと違う。
「何かあったのか?」
あの時と同じ雰囲気の白菊を、竜は心配になる。
「暁が……」
「おかえり。竜」
「ただいま」
着替えを終えた暁が、戻ってきた。
「暁。顔の傷、どうした?」
「ケンカを売られてね」
「はぁ⁉︎」
驚く竜に、暁はヘラリと笑う。
「ねぇ、暁」
「ん?」
「最近、元気ないけど大丈夫?」
藍色の瞳は、一瞬驚くが、次にはフッと笑う。
「そんなことないよ」
「嘘つき。そりゃ、人には話せないことの一つや二つはあるだろうし、無理に話せと言わなけど、心配なの」
白菊は、真っ直ぐに暁を見る。
参ったなと、暁は内心思う。この子は、人をよく見ている。
「白菊。ありがとう」
「無理しないでね?」
暁は笑ってみせるが、白菊の表情は晴れない。




