異世界転移 4
呆然とその姿を見ていると、黒い巨狼は目を開け、こちらを見つめきた、俺も巨狼の真紅の瞳と目を合わせる。
しばらくすると、不意に巨狼がふっと、表情を和らげたように感じた。
「其方か?我の力を受け継いでくれる者は?」
と聞いてきた。喋れたのか…
「そうだよ、僕が君の力を受け継ぐ、僕は阿澄 龍。よろしく。」
僕はそういい手を差し出す。
「ふっ、なら我も名乗ろうか、我の名はヴァン・レイクと言う。短い間だがよろしくな、リュウよ。」
すると巨狼、ヴァンは差し出した手に自分の足を軽くのせ言った。
「んで、僕はどうしたらいいのかな?受け継ぎ方知らないのだけど?」
お互いの手を離しながら聞くとヴァンは、
「何、簡単だ、我の頭に手をかざして我の名を喋ればいい。それで全部終わる様になってる。」
ヴァンはそう言い笑い、頭を僕の前に突き出した。だけど、頭だけでも自分の身長よりデカイから手がかざせない。
そうしてると、ヴァンは自分の手を頭の横に置き「乗れ」と言った。
言われた通りに乗り、ヴァンの頭に手をかざす。
「最後だから言うが正直もう耐えれ無いのだ、力に。」
ヴァンはぽつりとそう呟いた。
「だから、リュウが来てくれて助かった。本当にありがとう。」
ヴァンはそう言うと静かに目を閉じた。
それを見た僕は、ヴァンの名前を読んだ。
「ヴァン・レイク…」
そう言うとヴァンの体は仄かな光を放ち出し、徐々にその光は強くなっていく。
「あぁ、やっと、眠れる…」
そう言うヴァンに僕は、
「いや、すぐに起きるさ、新しく生まれ変わって…」
そう言った。それを聞いたヴァンは、「あぁそうだな…」と言い、最後にありがとうと言い光の粒子と成り空に吸い込まれていった。
それを見届けると同時に僕の体に耐え難い激痛が襲い掛かってきた。
「っ!ぐっ、う、ウウアァァァ!」
立っていられなくなり、倒れる。
余りの激痛に意識が飛びそうになるが、耐える。
「グゥゥ、ァア、アァァ…」
絶え間無く獣様な唸り声を発しながら耐える。
そして、痛みが治まってくると、急に体全体特に目が熱くなってきた。
「ーーーーー〜〜〜〜〜!」
声にならない叫びが響く。
やがて僕は気を失った。
どれくらい気を失っていたのか、わからない。
体が果てしなく怠い。
動きたくないが、動かなければ。
悲鳴を上げる体を無視して、立ち上がり来た道を戻ろうとすると、道が無くなっていた。
いや、正確には光の粒子になって消えていく。
早くしないと…
そう思い反対側を見ると、反対側も光の粒子になって消えていた。
これは…もうどうしようもないね…
と思いながら光に包まれた。
次に気づくとそこはあの部屋だった。目の前にはお爺さんがいた。
「…おかえり、疲れてる所悪いが儂からも力を与えないとの、そろそろ時間もないのでな。」
お爺さんはそう言うと。俺に手を翳し、何か呟いた。
その瞬間俺の中に何かが入ってくる感覚がした。
「ふむ、上手くいったようじゃな。ちと、確認してくれぬか?」
と言うが、どうやって確認すれば…
「あ、そうじゃったな、鑑定と言えば自分の能力とかが見れるぞ。あ、喋らなくとも心の中で念じるだけででもいいぞ。」
言われた通りに鑑定と念じでみると…