異世界転移 3
もうちょい続きます。
「本当にいいのかの?頼んだ儂が言うのもおかしいが、辛いぞ?もう元の世界には戻れない上に人として生きる事も難しいかもしれんぞ?それでもいいのかの?」
お爺さんは本当に心配そうに言ってくる。
「はい、いいです。」
でも、答えは変わらない。
「そうか…ありがとう、実を言うと奴は儂の友人でもあったからのとてもありがたい。」
お爺さんはそういい、頭を下げてきた。
「本当に、ありがとう…」
お爺さんはしばらくそうしてると、顔を上げて言った。
「それでは、約束通り願いを聞かせてくれるかの?」
と言ってきた。願いを決める前に聞いておかなきゃいけないことがある。
「その前に、僕以外の皆は異世界から戻ってこれるのですか?」
そう、これによって願いは変わるのだから…
「そうじゃな…帰って来れる…が、それは向こうの人間次第じゃな。あの人数の多さからして、数人は犠牲になっても良いような考え方じゃろうな、利用するだけ利用しそうじゃな。儂が自ら帰す事も出来なくは無いがその場合少し厄介じゃからな。」
あぁ、なら願いは決まった。
「なら、願いは僕の妹と弟と友人を元の世界に帰して上げてください。」
これで良い。
「それだけでいいのかの?いや、少し待て場合によればそれは出来ないかもしれん。」
!?何を…
「前に意識が残ってる者達に、選択肢を与えたとあるじゃろう?あれの内容によっては出来ないかもしれん。しばし待て。」
そう言うとお爺さんは目を閉じたまま誰かと喋ってる様だ。
「すまんが、名前を言ってくれないか?」
と目を閉じたまま僕に問いかけてきた。
「剣弥、凛音、伸也、です。」
頼む!上手くいってくれっ!
しばらくするとお爺さんは目を開けて、申し訳なさそうに言ってきた。
「すまぬ…伸也以外の者は召喚される事になっている。これは既に決まってしまっているから、変えられない。本当にすまぬ。」
な、なんで…少なくとも剣弥はともかく二人は意識はなかったはずじゃ…
「…剣弥と凛音の選択肢を教えてくれませんか?」
とりあえず、あいつらの選択が気になる。
「では、まず剣弥という者から言うぞ、この者は、異世界に行く行かないかの選択で行く言った者じゃ、この者は守る力も選択しておる。次はお主の妹の凛音じゃが、この娘は意識が無かった者じゃが、下野、勇也いう者の選択によって巻き込まれたみたいじゃの。」
下野…あぁ、凛音がやたら絡んでくる嫌な奴って言ってた奴か、剣弥からは顔はイケメンだが自分より優れてる相手には敬意を払うが、自分より格下の奴には見下し、酷い場合はゴミの様に扱う最低な奴だと言ってたな…不安だな。
「そいつはどんな選択したんですか?」
念の為聞いとこう。
「…あまり言いたくは無いが、一言で言えば私欲に塗れた選択、と言えるの。異世界には行くと答えるも、よくわからんランキングの上位の女子を巻き添えにしたしの、他には遠距離、近距離、での誰にも負けない力とか、隷属の能力とか色々選ぼうとしたらしいがの、まぁ結局出来たのは最初の女子数人の巻き添え、支配の力、火炎の力ぐらいかの?大きいのは。」
教えてくれたお爺さんも相当呆れてるのかため息をついてる。
変なランキング…あぁ、校内美人ランキングか、そういえば剣弥が凛音が上位に入ったって言ってたな…
絶対凛音が危ない…
「…本当に変えられないんですか?」
一応聞く。
「無理じゃ、もはや決定してしまってる、そして急かすようで悪いが早くしなければお主以外の者は召喚されてしまうぞ。」
くっ、ちくしょうなら、
「願い事を変えます、剣弥と凛音と伸也への伝言と地球で死んだ両親を生き返らせてください。」
最後の生き返らせるは、ダメ元だが、これならどうだ。
「ふむ、問題無いがそれだけでいいのかの。」
っ!やった!
「はい、十分過ぎます!」
「なら、伝言を早く言うのじゃ、もう行ってしまうぞ。」
そして僕は伝言をお爺さんに頼んだ。
「ふー、さてではお主にも向こうで役立つ力と欲しい力を与えようかの。」
お爺さんのその言葉に僕は驚いた。
「化物の力を受け継ぐのに他のも貰っていいんですか?」
そんな僕にお爺さんは、
「大丈夫じゃ、あくまで化物の件は頼み事じゃしな、それに化物の力は受け継ぐと言ってもお主の中に封印する形にすることをさっき決めたしの。お主が悪用するとは思えぬが、他の神達が煩そうだしの。」
あ、封印するのか…まぁ世界を壊しかねない力をバンバン使ってたら危ないしね。
「まぁ、あとで、封印の話は詳しくするとして、どんな力が欲しい?」
うーん、力か、そうだな、剣と魔法の世界だし、
「剣と魔法の力が欲しいです。」
だいぶアバウトだよねこれじゃダメかな?
「ふむ、分かったお主に見合う物を与えようかの。」
と言い、お爺さんは笑った。
何処か悪戯をしようとしてる子供みたいな感じがしたけど、気のせいかな?
「さて、力をつくるとして、お主にはそろそろ化物の力を受け継いで貰いたい、封印の場所まで送るから、儂の手に手を乗せてくれ。」
言われた通り乗せると、一瞬の酩酊感の後に僕は全く別の場所にいた。
そこは周りには天を貫かんばかりに育つ巨木が林立していた。
道の様なものが前に続いている。
そこを少し歩いてくとすぐに開けた場所に出た。
そして、そこには羽の生えた巨大な黒い狼が寝そべっていた。
狼の羽は鳥の様な羽根です。あと羽の色は黒です。