異世界転移 2
「く…ここは、いったい…」
気がつくとそこはさっきの白い空間ではなく、応接室みたいな部屋にいた。
すると、扉が開いた音がした。
音のなる方を見てみると、そこには髭を伸ばした気の良さそうなお爺さんがいた。
「おぉ、起きたか、すまんの急にここに場所が変わって驚いたじゃろ。ちとお主に話があっての、ここに運んでもらったのじゃ。」
お爺さんはそう言いながら、机を挟んだ反対側に座った。
「まず、最初に言っておくがの、お主以外の者たちは、無事じゃから安心してくれ。」
それを聞いた俺は一安心した。
「あんまり時間は無いからの手早く話をするが良いか?」
急に目の前のお爺さんは真剣な顔で聞いてきた。
「はい、それで話とはなんですか?」
俺がそう言うと目の前のお爺さんは話を始めた。
「うむ、まず、お主らが何故こんな場所に居るのかというところから話そうかの、儂は複数の世界を作った神での、その複数の世界を他の神たちと共に管理しておるのだ。そして、別の世界が他の世界に干渉する時があるのじゃ、それは、勇者召喚なるものだったりする。そして今回も、勇者召喚が行われたのじゃよ、だが、人が思うよりも別の世界から物や人を呼ぶのは難しいのじゃ、まだ精霊や悪魔などなら同じ世界の括りに入るからいいものを、全く別の世界から人を呼ぶとなると、厄介なのじゃ。呼ばれたもの達がその世界に適応できるようにしたりと、そのため一旦こっちに呼びそれらの作業をするのじゃ、その結果がお主達がここにおるのだ。」
お爺さんは無駄に長い話を一息に言った。
「それでの……
………………
……………
…………
………
……
あまりにも長いので要約すると。
ここにいるのは別の世界に呼ばれたせい。
皆が半透明なのは魂しか呼べないから
皆が倒れてるのは、仮にも神域…神の居る場所なので魂が強制的に眠るそうだ。
寝てる間にその世界への適応をさせるために色々力を与えるそうだ。
んで、稀に意識のある奴は魂そのものが強いから、そう言った者には特殊な力を与えてバランスを取るらしい。
最後に神域でも、普通に存在を保てる僕は規格外の存在だと…
纏めるとこんな感じ、これでも纏めれた方だと思う。
そしてお爺さんの話はやっとおれがここにいる理由に入った。
「お主は余りにも魂の器の大きさ、強度、そして器よりも大きな魂を持っている。そこでお願いがあるのじゃ。このお願いは真剣によく考えて、決めて欲しい。」
と、お爺さんは今までに無いほど真剣な顔で言った。
「は、はい」
その雰囲気に少し気圧されながら、返事を返すと。お爺さんはお願いの内容を話だした。
「お願いというのは、ある化物の力を受け継いで欲しいのじゃ。」
と言った。それを聞いた僕は、
「…それは、僕に化物になれって事ですか?」
と聞くと、お爺さんは、
「…そうじゃ」
と答えた。
「じゃが、もしこれを受けてくれるのならば願いを儂のできる範囲で叶えることを誓う。」
お爺さんがそう言う、ダメだと思うけど一つ言ってみた。
「…家族と一緒に地「ダメじゃ。」…」
お爺さんは俺の言葉を遮るように言った。
「お主がもし化物の力を受け継ぐなら、暮らせる世界は一つ、お主達が呼ばれた世界だけじゃ。他の世界だと、世界が壊れてしまう。」
お爺さんは何処か辛そうにそう言った。
「なんで他の世界はダメで、僕達を呼んだ世界はいいんですか?」
と聞くと。
「それは、その化物のが生まれた世界でもあるし、そこが他と違い、儂が一から作った世界でなく、元からあった世界じゃからじゃ。」
と言った。
「え?世界って、神様が全部作ったんじゃないの?」
「…普通は、全部作るが、ごく稀にだが自然に出来る世界があるのじゃ、それを儂等は【原初の世界】と呼んでいる。普通は害が無ければ干渉はしないのじゃがそこに住んでいた存在がまずかったのじゃ、それが…」
「化物…ですか。」
と、僕が言うと、「そうじゃ…」と言った。
「その化物は余りの強さに、周りの世界が耐えられずに壊れて行ったんじゃ。そこで儂は、化物に頼み事をしたのじゃ。化物は話の分かる奴でいい奴でもあったのじゃ、だから儂の頼みを聞き奴は封印されるのを受けてくれた。だが、最近その封印でも抑えられなくての、だから…儂等は化物にまた頼んだ…今度は…死んでくれと。」
それを聞いた瞬間、僕は、俺は、お爺さんに掴みかかった。
「…化物は、存在してるだけで危ないから封印した、で、それでもやばいから今度は死んでくれと?ふざけるなッ!」
そう言い俺はお爺さんを突き飛ばした。
「…そうじゃよな、ふざけてるよの、だがそんなふざけた頼みを奴は聞いてくれたのじゃよ、奴は笑いながら言ったんじゃよ、「自分がいなくなることで他の世界の生きる者達が死なずに済むのなら、喜んで。」と言ったのじゃ、だから儂は、殺すのではなく力を別の奴に引き継がせて、奴を輪廻転生の輪に入れることを考えた、だが、それには奴の力を受け継げる魂が必要じゃった、だが、やっと見つけた、だから、頼むこの頼みを聞いてくれっ!」
そう言うとお爺さんはその場で土下座をした。
「っ、やめてください!顔を上げてください。僕はてっきり化物を殺すだけかと思ってたから怒ったので、そうじゃないなら別に問題無いですよ!」
僕がそう言うと、お爺さんは顔を上げた。
「そうか、すまないの説明下手じゃからいらぬ誤解を産んだようじゃの。それで、受けてくれるのか?」
と、お爺さんが言ってきたので不思議に思った事を聞いてみた。
「でもその力が強すぎるからダメなんでしょ?なら、僕が受け継いでもダメなんじゃ「そこは大丈夫じゃ。」…」
「世界に影響が出たのは魂が力を許容出来なかったからじゃ、分かりやすく言うと、魂をコップ、力を水と例えると簡単じゃ、多すぎる力…水は溢れて周りに影響を及ぼす。」
お爺さんは、そう言ったけど、まだ不思議な事がある。
「だったらまず化物のいた世界が壊れるんじゃないの?それに、化物自体溢れた力でしぬんじゃないの?」
と言うと、お爺さんはすぐに返事をした。
「そうじゃな、奴のいた世界を【原初の世界】と言ったじゃろ?原初の世界は、自然に出来た世界、他の世界と違い強度や適応力が違うのじゃ、例えるなら、ペットの動物と野生動物の差みたいなものじゃ。」
と言った。
「そして、普通なら溢れた力は自身を滅ぼすが、奴の場合は、溢れた力に適応したんじゃ、奴を化物と呼ぶのは何も力が強大だからとい訳じゃない、奴自身の適応力も化物と呼ばれる由縁じゃ。」
それを聞き僕は最後の疑問を聞いた。
「じゃあなんで僕なんですか?他の神様とかじゃダメなんですか?」
と聞くと。
「それはダメじゃ、奴の力に適応する奴でなければ、力が暴発し、大変なことになる。」
なら、僕でもダメなんじゃと、聞こうとしたら。お爺さんは先に僕じゃなければいけない理由を言った。
「それだと、自分もダメだと思うじゃろ?じゃが違うのじゃ、お主にもある力があるのじゃよ、その力は、進化じゃ、お主は状況に合わせてある程度の進化をするのじゃ、その力なら、奴の力に合わせて進化すると思うからの。だからお主じゃなければダメなんじゃ。」
それを聞き、不思議に思っていたことは全部聞いたので、僕は選択をした、人間でいるか、化物でいるかの選択を、僕は、
「その頼み、受けます。僕は化物の力を受け継ぎます。」
化物になることを選んだ。
主人公は怒ると一人称が、僕から俺に変わります。