初めての殺し
白い少女はぐったりと気を失ったみたいだ。
出来れば、ステータスを見たいけどどうも出来そうにないな。
「誰だ貴様!貴様のせいで時間をかけてやっていた儀式が、無駄になったではないか!」
と、怒鳴る貴族の男。
兵士達は俺を取り囲もうとしてきた。
「あぁ、俺か?俺は、そうだな、お前等の敵、と言った所だな。」
俺がそう言うと貴族の男は兵士達に、俺を殺す様命じたようだ。
兵士達が、俺に襲いかかってくる。
思いのほか兵士達は強くない。
躱すだけなら容易いが、俺が躱すと後ろの少女が危ない。
だから、
「手加減はしない。俺はお前等を殺すッ!」
そう言い、アイテムボックスから狼刻を手元に出した。
兵士達からしたら、急に手に不思議な剣が出てきたと言った所か。
兵士達が歩みを止めて警戒し始めたから、俺は挑発に、
「ん?どうした兵士達。たかだか一人なんだからさっさと襲いかかってこいよ?」
と挑発すると、兵士達は、
「くっ、そうだ!相手は一人!皆行くぞ‼︎」
と簡単に挑発にのった。
「ありがとう、こんな簡単に挑発にのってくれて。」
俺は笑顔で兵士達を迎えうった。
まず、狼刻の魔纏で、風魔法の最初にやったカマイタチを纏い、襲ってくる兵士達を迎え撃つ。
「はぁぁぁ!」
先頭に立っていた兵士の懐に潜り込み、刀で、鎧ごと一気に切り払った。
刀を振り払うと刀からカマイタチが振り払った方向に無数に飛んでいく。
今回は大多数が先頭の兵士に当たった。
「ぐはぁっ。」
先頭の兵士を殺すと全体の動きが止まり、また、俺を警戒しだす。
(これが人を殺した、切った感触か…)
少しだけ人を殺した事に忌避感を覚えたがすぐに振り払った。
(殺らなきゃ殺られた。自分の行いを正しいと言う気は無いが、いちいち気にしてはいられない。)
そう結論付け、また襲いかかってきた兵士達を迎え撃つ。
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「はぁはぁはぁ、フゥ。」
目の前には26人の死体が転がっていた。
倒すのと同時にスキルの確認をした結果基本全部使える。
後は極光と餓狼だけは試してない。
と考えていると、貴族の男が喚き出した。
「な、なんなんだっ!お前は!急に来て儀式の邪魔をして、俺の私兵を全部殺して!許さんっ!許さんぞ!貴様ァ!」
と言ってくる。別にお前が許そうが、許さまいが、どうでもいい。それより…
「お前、この儀式はなんなんだ?一体何をやろうとしていたんだ?」
自暴自棄なのかなんなのか知らんが、貴族の男は喋ってくれた。
「ふんっ!この儀式はそこの器に、悪魔の魂を入れて使役するという儀式だ、そこの器は奴隷だからな、その肉体に入れる悪魔も奴隷契約に縛られる、まさに理想的な計画!なのに、それを貴様が邪魔したんだ!くそがっ!器を見つけるのに何年かかったと、この儀式場所を見つけるのに何年かかったと、準備にどれほどの金がかかったと、おもっているん「そこの器って、まさかこの娘の事か?」…ひっ!」
俺は一瞬で貴族の男の目の前に行き、首に刀を突きつける。
「聞いている。お前の言っている器ってのは、この娘の事か?」
自分でも驚くくらいの冷めた声が出た。
「あ、あぁ、そうだ。だが、なぜ貴様にとっては見も知らぬ娘をそんなに気にする!」
確かに、俺はあの娘、白い少女の事を何も知らない。
だけど、何か惹かれる。馬鹿にされると腹立つ。こんな風になったのは家族、凛音や伸也と似た感じだな。
「あぁ、確かに初めてあった、けど不思議とあの娘が馬鹿にされると腹立つ。こんな事は家族以外に思ったことないのにな。」
そう呟き、俺はこのクズに対して、
「さて、貴様にはとりあえず、あの生贄になった人達と同じようになってもらおうか。」
「ひっ、そんな事していいと…」
俺は男の言葉を無視して、男の右腕と右足を根元から切った。
「ひいぃぃぃっ!やめてくれ、ッアァァァァ俺の足が腕がァァァァッ!」
あまりの剣速に切られて認識するまでに地味にタイムラグがあった。
その男を無視して、俺はあの娘の前に行き、縛っている縄を切り、刀を、アイテムボックスにしまい。抱き上げる。
自然とお姫様だっこになった。
俺は戦っている時は邪魔だからしまっていた翼を生やし、空に舞い上がる。
「う、わぁぁあ、待ってくれぇぇ、待って、待ってくださいぃ、俺を、置いていかないでくれぇぇ、このままでは死んでしまう、助け、助けてくれぇぇ!」
そう言う男に俺は、
「安心しろ、ここの遺跡自体が危ないらしいからな、お前もろともここを消し飛ばすから問題ない。」
と言い、俺は上昇していく、いつの間にか、夜が明けようとしている。
「ちょうど良いな、朝日が昇る前に消え散れ。」
俺は白い少女を、片手に抱き、片手に刀を、出して、あるスキルを使う。
「最後に試せて良かったよ。【極光】」
俺は刀を思いっきり遺跡に向けて振った。
すると刀から膨大な光の刃が放たれ、遺跡に当たると、凄まじい音と共に遺跡の周辺が更地になった。
「……これはやばいな。」
その光景を見て頭が冷えた。
ここに居ても仕方ないので、とりあえず草原に戻って、森に沿って移動するか…
そして俺は、いつの間にか登った朝陽を背に浴びながら、空を飛んだ。
戦闘描写難しいですね。