プロローグ
人のブラックな感情を書きます。
嫉妬や、傲慢など、まぁ、七つの大罪ですね。
楽しく書く! それをモットーにします
俺はこの日一匹の猫を見た。
残虐で、残酷で、冷酷で、とてもきれいな黒い瞳をしている猫に・・・・・・。
某県 九無町。
俺は九無町公園前を通り過ぎようとしていた。不意に公園の方を向くと、そこには独りの女の子が立っていた。
暗くてあまり見えなかったが、何かが彼女の周りに転がっている。
「え?」
人だ・・・・・・人が倒れてる。どうして? 訳が分からない。ヤバい! に、逃げなきゃ・・・・・・とりあえず逃げなきゃ!
だが足は言うことを聞かない。足が大地に根を張ってるみたいだ。
彼女が俺を見ている事に気づく。
その瞬間。
彼女は俺の目の前に居た。
「お前、リア充か?」
意味の分からない事を俺に訊いていた。
俺はもちろんその言葉の意味も知っている。だけどその質問に直ぐに答えることは出来なかった。
恐怖で口が、いや、体が動かないのだ。自分でも分かる。体が震えてる。極寒の冬で防寒具を着ていないかのように体が震えてる。
おまけに息をしている気がしない。
「どうなんだ? イエスかノーかで答えろ」
彼女をよく見ると暗くて見えなかった顔が見えた。
黒いショートカット、ジャージ姿でそして驚く事に猫耳があった。
コスプレ何て物じゃない。直に生えてるんだ。
「あっ、あ、」
やっと声が出たと思ったら変な声しか出ないじゃないか。
彼女の黒い瞳が俺を綺麗に映しているが、俺にしては恐怖の対象でしかなかった。心の闇をそのまま再現したように黒い瞳。
「ノー・・・・・・」
言えた・・・・・・。
そう言ったら彼女は少し淋しそうな顔をして笑った。
「ハッハッハッハッハ! そうか、お前も独り身か、ハッハッハッハッハ、淋しいよな独りは?」
どうして笑ったのかが分からない。
もし俺が笑えるような事を言ったとしても今の俺はどっちにしろ笑えない。
「でも、死んでくれ」
彼女の指が、手が、腕が、俺の腹を貫いたのだった。
ーー激痛。
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!!
助けて、助けてくれ。誰でも良いから助けてくれ!!
俺の悲痛な心の叫びは誰にも届きはしなかった。
彼女は腕を抜き取った。その腕には俺の血がべったりとついていた。
「じゃあな。非リア充」
彼女が踵を返して立ち去ろうとすると同時に俺は後ろに倒れ込んだ。
俺の腹に穴が開いて鮮血が止めどなく溢れ出ている。
彼女が完全に立ち去った頃には俺の意識は消えかかっていた。
俺、死ぬのかな……?
彼女も出来たこと無いな……あーあ、つまらない人生だった。
《猫め、良いようにやりおって・・・・・・》
俺の近くに、どこまでもどす黒く、どこか落ち着く黒い毛並みをした巨大な戌が悠然と立っていた。
幻覚? かもな・・・・・・。
最期まで訳が分からないぜ……。
体の感覚が無い。もう痛みさえ感じることが出来ない。
足元に横になっている俺に気づく。
《ん? 猫にやられたのか?》
そして高笑い。
《ぅあはっはっはっは!!》
何で・・・・・・笑ってんだ?
《小僧、生きたいか?》
は?
そんなの当たり前だろ。生きたいよ。すげー、生きたいよ。でも、俺はもうすぐ死ぬんだ。人生にピリオドを打たれるんだ。
《その様子だと、彼女も出来たこと無いな……女も世界もろくに知らずに死ぬのか? 悔しくないか? 後悔しないか?》
後悔だらけだよ。こんな人生で後悔しないわけがないだろ!!
理不尽に殺されて言い訳ないだろ!!
「生きたい・・・・・・」
俺の口が動く。
そうだ。生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい、生きたい!!
《そうか、生きたいか。ならば私の勾玉を集めるのを手伝ってもらう。嫌とは言わせんぞ》
巨大な爪が俺の開いた腹に突き刺す。
すると戌と体が光り輝く。
眩しい。だけど・・・・・・とてつもなく眠い。意識が途切れる。本当にこれで生きれるのか?
《小僧、名は?》
「室久佐・・・・・・速水」
《そうか。よろしく頼むぞ、速水》
俺は生きたいが為に巨大な戌と約束した。
勾玉を探すとーー。
この先、どうなるとも知らずに。
感想待ってます!