神様との約束
目を開けて、俺は目の前の美女をまじまじと見つめた。
さて、ここは何処だろう。俺はなぜこんな美女と向き合ってるんだっけ?
それにしてもすごい美しい人だ。
「人じゃないと何度言えば分かるんだ。」
褒めたのに・・・。
「その程度の言葉、死ぬほど浴びせられたな。」
じゃあ徹底的に褒めてやる。
神様は艶やかで長い黒髪を腰あたりまで伸ばしていて動くたびに優雅に揺れている。
そして目鼻立ちはクッキリパッチリしていているのに嫌みがない。よく見ると右目だけ青色に輝いている。左目は落ち着いた茶色だ。
ダイナマイトボディという言葉は彼女のためにある、とでも言わん限りのボンッキュッバンで、その体を露出の多いドレスで包んでいる。
「ここまで来ると最早変態だぞ。お前。」
褒めたのに・・・。
「それはさておき、今の状況分かってるか?」
全然。何処ココ。何やら事務的な部屋だな。
「妾の部屋だ。ココは作業部屋だから、事務的というのは当たってるな。しかし、お前は未練たらたらだったから連れて来るの大変だったぞ。」
今でも未練たらたらなんだけど・・・。
あいつに会いたいなぁ。逢いたいな。ああ、超逢いたい。話しかけたい。笑いかけてほしい・・・。
「気持ち悪いな、お前。」
酷い!
「ふむ。じゃあ条件付きでお前を『あいつ』の元へ帰してやろうではないか。」
マジで!いい奴だなぁ、神様!
「うむ。当たり前だ。」
で、条件ってなんだ?
「妾の召使いになれ。妾は事務の仕事が苦手でな。とっても困っていたのだ。妾の周りの奴が。」
可哀相だ。
「昼は『あいつ』のとこに行くといい。妾の所での仕事は夜だけで十分だ。」
ありがとう!神様優しいな!
「当然だな。しかし、妾は【S】様だ。憶えておきたまえ。」
おう!変な名前だな!
「口の減らん子だな。さっさと愛する女子に会いにいったらどうだ?」
よっしゃ、泣き止んでるといいなぁ。
行ってみるとあいつは、まるで蝋人形みたいな顔で固まっていた。