※※町山岳部における住民失踪事案に関する調査報告書
管理番号:U-DC19900821235
作成日:1990年8月21日
作成部署:北警察署
取扱区分:部内資料
1.事案概要
発生場所: ※※県※※市※※町(旧※※※集落)
事案確認日時: 1990年8月21日 18時30分頃
事案種別: 集落住民の所在不明事案
1990年8月21日18時頃、※※町内の公衆電話から、集落内で発生した異常事態に関する通報があった。
通報者は、集落内の人間が消失した旨を伝えた後、「【シィルンカム】が発現した」と発言した。
通報者は当該発言の直後に通話を終了しており、事案の詳細や発言の具体的な意味について、それ以上の情報を得ることはできなかった。
「シィルンカム」は通報者が使用した言語による表現を日本語に置き換えることができなかったため、音声上の発音に基づき、カタカナで記録したものである。
当該名称の意味および発言の具体的な内容については、通報時点では確認できていなかった。
このため、現場の状況確認を目的として、下村悠巡査および山田翔巡査の2名を派遣した。
同日18時30分頃、両巡査が現地に到着。集落内を確認したところ、住民の姿はなく、集落全体が無人となっていることが判明した。
2.現場確認状況
(1)集落内の状況
現場到着時、集落内の住宅および道路周辺に住民の姿は確認されなかった。
家屋内外には生活の痕跡が残されており、家財道具その他の日用品についても、目立った持ち出しの形跡は認められなかった。
また、現場の目視確認において、明らかな争闘の痕跡、器物の破損その他の暴力行為を直接示す状況は確認されなかった。
ただし、現場の保存状況のみをもって、住民が自発的に移動した可能性や、何らかの事件に巻き込まれた可能性を排除することはできない。
住民の人数、所在および移動経路については、関係資料の確認ならびに周辺地域への聞き取り調査を要する。
(2)集落中央部の状況
集落中央部の道路上において、血液様の物質で描かれた円形状の図形を確認した。
記号は一定の形状を有しており、自然に生じた汚損とは異なる外観を呈していた。
記号の中央付近には、赤色の物体が置かれていた。当該物体の表面には血液様の物質が付着しており、黒文字で「◼️◼️◼️◼️」と記されていた。
当該物体は人間の皮膚に類似した外観を有していたが、現場確認時点では、その材質、由来および付着物の詳細について特定に至っていない。
円形状の記号と当該物体との位置関係については記録を行ったものの、両者がどのような目的で設置されたものか、また、本件との因果関係が存在するかについては不明である。
(3)現場保存について
現場中央部で確認された記号および物体については、通常の事案と異なる外観を有していることから、鑑識上の必要性を考慮し、可能な限り現状を保存するものとした。
当該記号および物体への接触については、必要な確認および記録を経たうえで実施することとし、関係者以外による接触を避けるよう措置を講じる。
3.通報者に関する事項
本件の通報者は、「シィルンカムが発現した」と発言している。
しかし、当該名称の指す対象、通報者が発言に至った経緯および発言の具体的な意味については、現段階で確認できていない。
通報者の氏名、年齢、性別その他の身元情報についても特定に至っていない。
通報に使用された公衆電話の所在および使用状況について、関係記録の確認を進めるとともに、周辺住民への聞き取り等を通じて通報者の特定を試みるものとする。
なお、通報者と所在不明となった住民との関係についても、現時点では不明である。
4.調査上の留意事項
本件では、集落住民全員の所在が確認できない一方、明確な争闘の痕跡や、集団で移動したことを直接示す証拠が確認されていない。
また、現場中央部で確認された図形および物体についても、一般的な事件現場における遺留物とは異なる外観を有しているものの、その意味や設置目的は明らかでない。
通報者の発言と現場の状況との関係についても、現時点では合理的な説明を得られていない。
したがって、特定の原因を前提とした判断は避け、所在不明者の確認、現場の鑑識および関係者への聞き取りを並行して進める必要がある。
5.今後の対応方針
今後、以下の事項について調査を継続する。
1. 所在不明となった住民の身元、人数および直前の行動に関する確認。
2. 集落周辺地域における目撃情報、不審者情報その他関連情報の収集。
3. 通報に使用された公衆電話の特定および通報者の身元確認。
4. 現場中央部で確認された円形状の図形および赤色の物体に関する鑑識・分析。
5. 近隣自治体および関係機関への情報提供ならびに必要な注意喚起の検討。
現場については、調査に支障を来さないよう保存に努めるとともに、関係者以外の立ち入りおよび異常物への接触を可能な限り制限する。
6.総括
本件は、集落住民全員の所在が確認できないという特異な状況にあり、現場に残された生活の痕跡からは、住民が所在不明となった経緯を説明する明確な手掛かりが得られていない。
加えて、通報者の発言および現場中央部で確認された図形・物体についても、その意味および事案との関連性は明らかでない。
現段階では、住民の所在不明に至った原因を特定することは困難である。
引き続き、現場の保存および鑑識、関係資料の収集ならびに周辺地域への聞き取り調査を実施し、新たな事実が確認された場合には、別途報告するものとする。
以上。
追記報告
追記日: 1990年8月25日
関連管理番号: U-DC19900821235
追記事項: 下村悠巡査の死亡事案について
1.経緯
本件現場の確認および初動調査に従事した下村悠巡査について、1990年8月23日以降、所在が確認できなくなった。
その後、1990年8月24日8時13分頃、同職員の遺体が、1990年8月21日に住民失踪事案の現場として確認された集落中央部において発見された。
発見場所は、先の調査において円形状の図形および「堕胎」と記された赤色の物体が確認された地点と同一である。
2.遺体の状況
発見時、下村巡査の遺体は著しく損傷しており、外観からの個人識別が困難な状態であった。
遺体の損傷状況および現場の状況から、当初は転落による死亡の可能性が考慮された。
しかし、発見場所の周辺には、当該損傷を生じさせるような高所、崖その他の明確な転落起点となり得る地形・構造物は確認されなかった。
また、遺体周辺において、死亡に至る経緯を説明する明確な争闘の痕跡や、所持品の窃取を示す状況は確認されていない。
現場の状況および遺体の状態を踏まえ、死因については転落死として取り扱うこととなったが、転落の起点および発生経緯については、明確な説明を得られていない。
3.遺体付近で確認された物体
下村巡査の遺体付近において、赤色の物体が発見された。
当該物体は人間の皮膚に類似した外観を有し、表面には血液様の物質が付着していた。また、黒文字で「◼️◼️◼️◼️」と記されていた。
当該物体は、1990年8月21日の住民失踪事案において集落中央部で確認された物体と、外観上の特徴が一致している。
ただし、両物体の材質、由来および相互の関係については、現時点で確定に至っていない。
4.本件との関連性
下村巡査は、住民失踪事案の現場確認に従事した警察官であり、同巡査の遺体が当該事案の現場と同一地点で発見されたこと、ならびに遺体付近から同様の特徴を有する物体が発見されたことから、両事案には何らかの関連性が存在する可能性がある。
一方、死亡に至った経緯を示す直接的な証拠は確認されておらず、住民失踪事案との因果関係についても断定できる状況にはない。
また、現場中央部の円形状の図形と下村巡査の死亡との関係についても、具体的な説明は得られていない。
5.今後の対応
下村巡査の死亡については、現場状況、遺体の損傷状態および発見された物体の特徴を踏まえ、引き続き関連資料の確認を行う。
また、住民失踪事案との関連性についても、両事案の現場記録、鑑識資料および関係者の証言を照合し、慎重に検討するものとする。
以上。




