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第3章 働きたくないのに英雄扱い!?
俺は全力で逃げた。
「待てー! 怠け者め!」
「いやだ! 働きたくない!」
村の屈強な男に追われながら、俺は《怠惰スキル》をフル活用して地面にへたり込む。
「くっ、こいつ……急に倒れやがった!?」
「ま、まさか……毒にやられたのか!?」
村人たちがざわつく。
俺はこっそり目を開け、様子を伺う。どうやらこの村では「突然倒れる=何かの呪いか毒の影響」と思われるらしい。
「村長を呼べ! この者は助けねば!」
「な、何だって!? まさか勇者の兆し!?」
(は? 何言ってんの?)
何やら勝手に勘違いが広がり、気がつけば俺は「村を救う勇者候補」として祀られ始めていた。
「よ、よし……このまま何もせずに英雄になれるのでは……?」
こうして、俺は楽して生きるために「伝説の勇者」として祀られる方向へ向かうことになったのだった。