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第53話 東京解放と聖樹誕生の影響

 ルビリアの御神石の使い方はそれを受け取った先生には分かったようだ。


 ただ施された封印とやらが厳重とのことで、その解除には多少の時間が掛かるとのこと。


「それでも次のユニークスキルが使えるようになるまでにはどうにかできると思うぞ」

「むしろ厳重な封印をその程度の日数で解除できるのか?」

「こういう封印の解き方は異世界で学んで知識としては残っておるからのう。必要な魔力さえ供給してもらえばどうにかなるはずじゃて」


 と、頼もしい限りのことを言ってくれたので任せることにした。


 となればそちらの件に関してはあと数日ほど大人しく待つしかない。


(それよりも今は東京が解放された影響がどうなるかだな)


 ゴブリンダンジョンの消滅に伴い、東京に存在していたゴブリンは一匹残らず消滅している。


 そいつらの魔石が俺のインベントリまで送り付けられているので間違いないし、東京中に蔓延っていたバケモノの姿が急に見えなくなったことが噂話として避難所まで伝わってきていた。


(思ってた以上に情報の拡散が早いな)


 まあバケモノの姿が消えた上に、あんな遠くから見ても分かるくらいバカデカい水晶でできた塔のような意味不明な建造物が突然現れているのだ。


 その隠しきれない異変が話題にならない訳がないか。


「いずれ自衛隊か警察とかが、聖樹に接触するのも時間の問題だな」


 魔物のいなくなった東京の状況を確認しようと複数の部隊などが投入されているみたいだし、そいつらが聖樹の元まで行くのは止められない。


(頼むから壊そうとか考えてくれるなよ)


 あんな怪しさ満点の謎の建造物に対して懐疑的な見方をしても仕方がないし、そうじゃなくても魔物が消えたことと関係しているのではないかと調査しようとするのが普通だろう。


 ただそれで散々苦労して設置した聖樹を壊されたら、こっちとしてはたまったものではない。


 なにせこれから聖域と化した範囲に家族などを避難させる予定なのだから。


 そうすれば俺としても家族の安全確保ができて、この先に色々と動く際に楽になるだろうし。


 だから一応、茜とクーに頼んで聖樹近くで監視をしてもらってはいる。


 そして余計なことをしそうな奴が現れたらこちらに知らせるか、手荒にならない範囲で排除するようにも言ってあった。


 ただ俺としてもいつまでもそれでどうにかなるとは思っていない。


「……聖樹を管理するのは日本政府にでも任せるしかないか」


 これから俺は日本各地のダンジョンを攻略するつもりだ。

 茜達もそれに全面的に協力すると言ってくれている。


 ルビリアの話では、そうしなければいずれ世界は邪神に滅ぼされてしまうようなので実質的に他の選択肢などないに等しい。


(俺達が動かないでどうにかなるようなら、そもそもルビリアもあんな願いを口にしないだろうしな)


 そして順調に日本のダンジョン攻略が終われば、次は世界へと足を向けることになるだろう。


 その過程で各地に設置していく全ての聖樹の管理をすることは流石に無理だ。


 となれば聖樹の重要性などを教えて、それを国などで適切に管理してもらうしかあるまい。


 場合によっては自衛隊などに守ってもらうなどして。


 聖樹が破壊できるのかは分からないが、種が強奪されたように敵が思わぬ方法でこちらを出し抜こうとしてくる可能性は否定できないし、守りを固めておいて損はないはずだ。


「だとするとそろそろ国と接触する必要が出てくるか」


 ただいきなりどこの馬の骨とも分からない奴が、こんな荒唐無稽な話をしにいって素直に信じてもらえるとも思えない。


 それともスキルやステータスのことが浸透していれば、あるいはそうでもないだろうか。


(なんにしても伝手を作らないと始まらないか)


 そう思っていたところ扉がノックされる。


「お兄ちゃん、ちょっといい?」

「ああ、構わないぞ」


 その声の主は妹の由里だったこともあって気軽に返事をすると由里が部屋に入ってくる。


「それで何の用だ?」

「えっと、その……」

「ああその前に言っとくが、扉の近くで聞き耳を立ててる奴らがいるのも分かってるぞ」


 外に向けた後半の言葉に反応したのか、ドタドタという音と慌てている様子が伝わってくる。


 なにせこっちには生命探知と超聴覚があるのだ。


 素人が盗み聞きしていることや、部屋の外で何をしているのか程度ならそれらで丸分かりだった。


「別に怒らないから入ってこいよ。俺に何か用があるんだろ?」


 その言葉に観念したのか盗み聞きしていた集団が部屋に入ってくる。


 その三人はかつて由里の危機を救った時に一緒にいた同性の友人達だった。


「えっと、ごめんなさい!」


 開口一番に謝ってきたのは俺がオークの攻撃から庇った子だ。


 確か名前は小百合だったか。


 他の二人もその小百合に続くように謝ってくる。


「別にいいさ。それよりも盗み聞きするなんて何かあったのか?」


 たとえば前に苦情が入った法螺を吹いているという冬島という奴が何かまたやらかしたとか。


「それもあるけど、それだけじゃないと言うか……」


 気まずそうに言う由里に怒らないから言ってみろと促すと、何故かそれを見た小百合の方が口を開いてくる。


「実はウチら、由里っちのお兄さんにお願いがあって」

「お願い?」

「お兄さん、由里と交信?できるっしょ? そのやり方を私達にも教えてほしくってさ」

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