表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/160

第42話 開かぬダンジョンの扉

明日からは1日2話更新になると思います。

 数日という十分な休息を経たことで疲労も抜けた俺は満を持してゴブリンダンジョンを攻略しようとした。


 だが、


「……ここには門番がいないのか」


 とあるショッピングモールの周りには数匹のゴブリンはいるものの、どれも通常種であり倒してもゴブリンダンジョンの鍵を落とさなかったのである。


(結界が張られているのはオークダンジョンと同じだから、門番らしき奴を倒せば鍵を手に入れられると思ってたんだがなあ)


 そう思って周辺を念入りに探して発見したゴブリンは全て倒したのだがゴブリンダンジョンの鍵は落とす奴はいなかった。


 これではいつまで経ってもダンジョン内に侵入できず、人類の陣地を完全に取り戻すこともできないではないか。


 だがよくよく考えれば、これは当然の事なのかもしれない。


 敵からしても奪った陣地を取り戻されるのは絶対に避けたいはず。それを考えれば可能な限りダンジョンに侵入できないように画策することは何らおかしい事ではないのだから。


 だが完全に封鎖できるならオークダンジョンでもやっていたはずだ。


 それをしなかったところから察するに、恐らくそれは出来ないのだろう。


 ダンジョンは敵の本拠地であり、人類風に分かり易く言えばある種の要塞みたいなものだ。


 侵入者を排除する防衛機能があって当然だし、入るためには特別な許可書などがないといけないのも頷ける。


 でもどんなに堅牢な要塞でも完全に密閉することはできない。


 人の出入りする場所や下水道など、どうやっても外界と繋がらざるを得ない場所があるはずだから。


(オークダンジョンでは強力な番人に入るための鍵を守らせていた感じだな)


 その場合、敵に番人が倒されたらすぐにダンジョンへの侵入を許すことになる。


 それでもそうしたのには理由があるのだろうが、それについては分からないので先生のスキルのクールタイムを待つくらいしかないか。


(大方そうした方がダンジョン外へ魔物を放出しやすいとかだろうけどな)


 鍵が扉の傍にあるのと、徹底的に隠した場所にある場合ではどちらが扉の開閉がしやすいかは言うまでもないし。


 人間でもあるだろう。家の鍵を庭に置いてある鉢植えの下に隠しておくとか。


 大分スケールが違う感じもするが、おおよその原理的にはそんなものだと思う。


「だとするとまずは隠された鍵の場所を見つけない事には始まらないか」


 念のためその後にショッピングモール周辺に怪しいところがないか探してみたが、鍵は見つけられることはなかった。


「困ったな。これでどこかの土の中にでも埋められるような形で隠されてたら見つけるのなんてほとんど不可能だぞ」


 恐らく魔物の活動が可能な範囲内に鍵も隠されているとは思う。


 その外では魔物や魔族もまともに活動できないみたいだし。


 だがそれでも手に持てるサイズの鍵を東京周辺という決して狭いとは言えない範囲から見つけるのなんて、それこそ砂漠の中で1本の針を探すようなものだった。


 だとすると先生のユニークスキルが使えるようになるまで待つしかないだろうか。


(くそ、現状だと必要経費を減らすために手掛かりを探しながら待つしかないな)


 もしかしたら手掛かりを探す中で鍵の在り処も掴めるかもしれないし。


 そんな思わぬ形で時間をロスすることになりそうだと舌打ちするが、それで問題が解決するなんてことはない。


 仕方ないので俺は何か掴めないかとゴブリンダンジョンが存在しているだろうショッピングモールを離れて、また東京近辺の探索に戻る。


 その最中では目についたゴブリンは全て倒していく。


 どこかの個体が鍵を隠し持っていないとも限らないし、魔石を得てポイントを増やすのは今後の為にも必要だから。


(……そう言えばオークと比べてゴブリンの上位種はダンジョン外だと見たことがないな)


 オークもダンジョン外ではオークナイトくらいしか見たことがなかったが、ゴブリンは皆無である。


 ということはもしかしたら上位種を見つければ鍵の在り処も分かるとかあり得るのではないだろうか。


 とりあえずこれまで足を延ばしたことのない場所に向かって捜索をしながら、いつでも移動できるように転移マーカーを各所に設置していく。


 ゴブリンの上位種がどこかに発生していないか注意深く見逃さないようにしながら。


 残念ながら初日は空振り。


 成果は通常種を大量に狩って魔石を入手できたくらいだ。

 生きている人間もグールも見当たらなかったので。


 一応先生や茜にも相談してみたが、やはりショッピングモール周辺に門番がいないのならば、それらしき個体が別の場所にいないか地道に探す以外にないという結論しか出なかった。


 そうして翌日の捜索。


 まずは確認のために例のショッピングモールに行ってみたが、残念ながらやはり番人はいない。


(ショップでも鍵を見つけるのに役立ちそうなアイテムやスキルは見当たらなかったからな。やっぱり地道に探すしかないか)


 敵に上手いこと回り道をさせられる形で正直苛立たしいが、それでも探索を止める訳にもいかない。


 そう思って昨日は探せなかった場所で発見したゴブリンの群れを倒している時だった。


「きゃー!」


 遠くから誰かの悲鳴が聞こえてきたのは。


 恐らく超聴覚がなければ聞き取れなかったくらいに小さな声だ。


(人の声? まさか誰か生き残りがいるのか?)


 魔物が現れてそれなりに時間が経っているので東京周辺の生き残った住人などは既に都外に避難しているはず。


 感知能力の高いオークによって生き残りは徹底的に殺されただろうし、ここまで普通の人間が生きていられるとは思えない。


「だとすると、もしかしてスキルを持った誰かがいるのか?」


 異世界からの帰還者以外でもステータスカードは入手できるのは確認済み。


 だからもしかしたら魔物が現れるという未曽有の災禍の中において、自力でステータスカードやスキルを入手した存在がいないとも限らない。


(そいつがずっと東京で生き残っていた可能性は限りなく低いが、確認しない訳にもいかないか)


 そう考えた俺はすぐにゴブリンの群れを片付けると悲鳴のした方角へと急いだ。

「面白い!」「続きが読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の星評価をお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ