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【書籍1巻、好評発売中!!】無限魔力の異世界帰還者【第5回HJ小説大賞受賞及び書籍化決定!】  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第5章 楽園と迫害

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162/162

第162話 尽きた聖樹の種

書籍1巻が好評発売中です!

是非手に取ってください!

 当然ながらアメリカは日本より何倍も広い国土を誇っている。


 つまりそれだけ魔物が発生している地域の数も多くなる訳で。


『想定はしてたけど私達だけでアメリカのダンジョン全部を片付けるとなると、どう考えてもかなりの時間を要するわね』

『ダンジョン攻略だけでなく移動時間も含めれば、一日で解放できる数には限度があるからな』


 俺の転移が一度も訪れていない場所には飛べない以上、初回は地道に進んでいくしかない。


 定期的に叶恵の方に転移して転移マーカーの数を着実に増やしているが、それでもアメリカ全体から見ればごく一部分でしかなかった。


(とは言え聖樹で力を蓄えている連中だけでのダンジョン攻略は、まだ早計と言わざるを得ないからな)


 日本やアメリカなどの聖樹で利用できるようになったダンジョン。


 そこで出現する魔物と戦うことで経験を積み、更に採取できる魔石を利用してショップから新たなスキルを獲得する。


 日本では主に自衛隊、アメリカではアメリカ軍の面々がそうやって力ある覚醒者の育成を進めているのだ。


 俺達としても手数が増えることは大歓迎なので、一徹や先生などが中心となってその手助けをしている。


 また聖霊が初歩的なスキルについての知識を有していたのも、その助けとなっているそうだ。


 ただそれでもダンジョン攻略は簡単ではないのだ。

 なにせ彼らは俺達、帰還者のようなユニークスキルという絶大な力を持っていないのだから。


『まあその点は一朝一夕でどうにかなるもんでもないし、そいつらが育つまで気長に待つしかないでしょ。それより今、私たちが解決しなきゃいけない問題は聖樹の種が尽きたことよ』


 昨日にアメリカで俺と叶恵、そして日本近郊で茜達がダンジョンを攻略して聖樹の設置まで完了したので、新たなに三つの施設が解放されている。


 それは素直に歓迎すべきことだ。


 だがそれらダンジョンで新たな聖樹の種が手に入らなかったので、ここから先はダンジョンを攻略しても聖樹の設置ができない状況となってしまっているのだった。


 少なくとも新たな聖樹の種が手に入るまでは。


『確か聖樹を設置しない場合はダンジョンを攻略しても安全地帯は生まれないのよね?』

『ああ、その点は聖霊にも確認してある。ただしそれで解放した一帯は邪神陣営に支配されていた陣地ではなくなるので、ダンジョン攻略する意味が全くない訳でもないそうだ』


 敵に支配されていた陣地が、どちらの陣営からも干渉可能な中立地帯になる。


 つまりこちらの陣地が増えなくとも、相手側の陣地を減らして力を削ぐという意味はあるそうだ。


『中立地帯が安全地帯より狙い易いのは間違いなさそうだし、どう考えても敵から真っ先に狙われる場所になりそうね。それこそ私達が解放した途端に取り返すべき新たな刺客を送ってくるとかだったら、最悪は取って取られてのイタチごっこになるかもだし』


 俺達にはダンジョンを攻略するという使命がある以上、ずっと中立地帯を見守ってはいられないのだ。


 だからこちらの手が離せない状況で中立地帯が狙われるケースも起こり得るだろう。


 ダンジョン発生の経緯を考えれば、軍隊を配備していても守り切れるとは言い切れないのだし。


『だとしてもやるしかないさ。この先のダンジョンで聖樹の種が手に入る保証はないが、それでもダンジョンに挑まなければ可能性すら生まれないんだからな』


 敵がダンジョンに聖樹の種を隠しており、それを取り戻す形以外で種を手に入れる方法がない現状では選択肢など無いに等しい。


 こちらの理想の展開としては、この先の攻略で運良く聖樹の種が複数個見つかることだろう。


 そうすればまた新たな聖樹を設置して、中立地帯という不安定な状態の場所を生み出さずに済むのだから。


 ただ敵側もそれは最も避けたいと思っている事態だろうし、そうならない可能性もあると考えておかなければならない。


(それに仮に種が見つからなくともこちらにメリットがない訳じゃない。敵がどんな形や頻度で中立地帯を攻めるのかも重要な情報の一つだからな)


 要するに、こちらは何があろうと地道にダンジョンを攻略し続けてしかなく、その結果次第で臨機応変に対応するしかないのだ。


 我ながら何とも行き当たりばったりで乱暴な結論だが、実際にそれしかないので仕方がないだろう。


『って、そろそろこっちは目的地に着きそうだ』


 新たな敵の支配領域が見えてきた。


 アメリカ政府から齎された情報に依れば、ここに出現する魔物はガーゴイルとのこと。今の俺にとっては何てことない雑魚である。


『ガーゴイル程度にやられる英雄様じゃないだろうし、さっさと片付けてこっちの分の種まで手に入れておいてよ』

『そう言われても、こればっかりは運だからな』


 敵が聖樹の種を隠す場所の傾向が分かれば狙って攻略するダンジョンを選ぶのだが、今のところは何の手掛かりもない以上、手に入るかは運次第という他ない。


(先生の力を使えば、ある程度まで聖樹の種がある場所を絞り込めるかもしれない。今回が全滅だったら最悪はそれで狙いを絞るしかないか?)


 ただ先生のスキルで一度に得られる情報の量には限りがあるし、スキルのクールタイムなどを考えると、無駄な情報を手に入れるロスは許されない。


(だとすると仮に敵も戦力不足で中立地帯が意外と責められないのなら、それ以外の情報を優先的に集めた方がいいか……?)


 と、色々と頭を悩ませていたが、やがて俺はそれについて思考を巡らせるのを止めた。


 ここで無駄に悩むよりも、さっさとダンジョン攻略を済ませて結果を出した方が良い。


 それから考えても十分に間に合うから、と。


「どうかアタリが出ますように」


 そう願いながら俺は、何の問題もなく門番のジャイアントガーゴイルを倒して順調にダンジョンの中へと入るところまで進む。


 そしてそこで想定外のアタリ(・・・)を引き当てるのだった。


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やはりおそ
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