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【第5回HJ小説大賞受賞及び書籍化決定!】無限魔力の異世界帰還者  作者: 黒頭白尾@書籍化作業中
第5章 楽園と迫害

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第148話 新たな施設 訓練場と製鉄炉

 神の使いから不穏な情報が齎された訳だが、だからと言って今の俺達にはそれを確かめる術も止める手立てもない。


 だったらそれに気を取られ過ぎていても仕方がないし、他にやるべきことも山ほどある。


「それで解放された新しい施設がどんなものなのかって話になる訳ね」

「名前から何となく推察できるけど、正確な機能はちゃんと把握しておかないとな」


 俺と叶恵はそれぞれがダンジョンの攻略から聖樹の設置まで完了している。


 即ちそれは新たに二つの施設が解放されたことを示していた。


「解放されたのは訓練場と製鉄炉だったな」


 訓練場の方は、その名の通り訓練するための場所だった。


 初期設定では体育館くらいの大きさの何もない空間が展開されており、聖樹のエネルギーを使えば空間の大きさを拡張したり様々な環境を再現できたりするようだった。


 しかもそれだけではない。


 なにせ訓練場内ではスキルなどを使ってもMPを消費せず、更にその場ではどんなに大きなダメージを負っても実際には傷付かないというのだ。


 試しに叶恵に俺を攻撃させてみると、槍があった箇所に攻撃が当たったことを知らせるエフェクトと、どれだけのダメージが発生したのかが表示されていた。


 これはエネルギードレインなどのスキルを使った攻撃などでも同様である。


「まるで現実じゃない仮想空間か何かで戦っているかのようだな」


 設定によっては痛みを発生させたり、どちらかのHPが尽きたら試合終了となる対人の練習試合を行えたり、あるいは登録した魔物との模擬戦が行えたりするらしい。


 なお魔物の登録の仕方だが、訓練場の設定を行なう台座に該当の魔物から得られる魔石を吸収させることとなっている。


(仮にオークキングと模擬戦をするためにはオークキングの魔石をどこからか手に入れてこないといけないって訳だな)


 東京の聖樹にあるオークダンジョンで手に入れてくるのでも良いし、これから攻略するアメリカのダンジョンでも手に入るかもしれない。


 そうやっていちいち魔物ごとに登録する必要があるのは手間と言えば手間だが、それで得られる恩恵を考えればやっておいて損はないだろう。


「ここならどれだけ手荒に扱っても傷ついたり死んだりする心配がないってことね。良いじゃない。それこそこれから魔物と戦うことになる初心者とか、自衛隊員の訓練にも使えそうだわ」

「それ以外でも魔導銃の訓練や取得したばかりのスキルの検証とかにも利用できそうだな」


 聖樹のエネルギーは必要にはなるものの、射撃場のようなものを再現することもできるようだし、これらの機能は今後にかなり役立つことだろう。


 俺のユニークスキルの恩恵を得ている人間はMPを気にせずにスキルを使用することができる。


 だがそうではない人はどうしても限られたMPの中でやりくりするしかないのが現状だ。


 そしてそれは実戦だけに限らず、訓練の際でも同じことである。


 だがこの訓練場ならMPを消費しないから、それこそ自分のスキルがどういったものなのか、またどうやって使えばいいのかも念入りに確かめることができるだろう。


 総じて、俺と叶恵の両名ともが訓練場は戦力の底上げにかなり役立ちそうだという結論に至る。


 それに続いて製鉄炉だが、この設備は厳密には製鉄炉ではないようだった。


 何故ならこの炉では鉄以外にも色々と手に入るようなので。


「基本的には魔物の魔石を設置してある炉に投入することで、何らかの金属系の素材に変換できるみたいだな」


 変換するのに聖樹のエネルギーを消費する形であり、エネルギーから金属系の素材に直接変換することはできないらしい。


 でもそれなら魔石をポイントにして、ショップで欲しい金属素材を購入すればいいのではないか。


 最初はそう思った俺達だったが、それが間違っていたことにすぐに気づく。


 何故ならこの製鉄炉からは、ショップに存在しない素材が手に入るようだから。


「ゴブリン系の魔石だとゴブリンスチール。オーク系の魔石からはオークメタルが手に入るみたいだな」


 これらの素材は異世界で見たことがあった。


 確か魔物から手に入る魔石と何らかの素材を特殊な方法で融合させるとかで作れるとかだったはず。


 異世界でも魔物を倒した際、肉体は消え去って魔石だけ残される。


 そうなると魔物を撃退すればするほどに魔石だけが倒した者の手元に増えていくことになる訳で、それらの当初は使い道のなかった魔石をどうにかして活用できないかという研究が、俺達が召喚される前から異世界では進められていたのだ。


 その研究の成果の一つとしてこういったオークメタルなどの素材が開発されており、これらの素材を使った装備も普及して使われていたものだ。


「本来なら素材だけ手に入っても困るだろうけど、幸いなことにこっちには一鉄がいるものね」

「確かにあいつならこういう素材があれば、それこそこれまでとは別格の強力な武器を作れるかもしれないな」


 それにきっとこの先に聖樹の施設には、これらの素材を使って武器などの装備を作れるようになる施設があるに違いない。


 でなければこれらの素材を作り出す意味がないだろうし。


「何にしても俺は御神石を先生に渡さなきゃいけないし、一旦は日本に帰るしかないな。そのついでにこの新しい施設についても相談してくるから、その間に叶恵はアメリカ軍辺りに聖樹の中を案内しておいてくれ」


 アメリカの地にある聖樹の居住区に誰を住まわせるのかなどは俺達で決められることではないし、日本と同じように誰かに運営を任せることになるだろう。


 だからアメリカ政府にも聖樹の機能についてある程度までは知っておいてもらわないと困るのだった。


「はいはい、面倒だけど任されたわよ。ま、今のあちらさんなら私に表立って逆らうこともないから大丈夫でしょ」


 エネルギーを駆使して、トレントごと全ての木々を枯らすという荒業でダンジョン攻略までやってのけた叶恵だ。


 その尋常じゃない光景を見ていた者は例外なく恐れ慄いて叶恵を恐怖の対象として見ていたそうだし、その報告を受けているのならこちらを怒らせるような強引な手段を取ることもないだろう。


 そう判断した俺はこの場を叶恵に任せて、聖樹の転送機能で東京の聖樹へと一時的に帰還するのだった。


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