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第84話:それぞれの役割

「魔王の心臓には、それを破壊しようとすると現れて攻撃してくる分身が付いてるニャン」

「今後、他の心臓を破壊する時も、アズにはすぐ対応出来るように待機してもらうニャ」


魔王の心臓を破壊した後、見分けがつかない三毛猫王様たちが言った。


「了解です」


答えるアズは、子供とは思えないほど落ち着いて答えた。

砦での魔族殲滅でも感じたけど、魔王軍や魔王の分身に対するアズは、一切の恐れも迷いも無いように思える。


黒髪の少年、魔王の分身がエカを襲った時、アズは瞬間移動したかのように現れて阻止した。

それは、加速魔法の風神の息吹(ルドラ)を発動して待機していたからこそ出来た事だった。

アズの役割は前衛、魔王を滅ぼす力を持つエカに敵の攻撃が及ばぬように戦う者。

その為に必要な技術を、毎日の夜間訓練で得てきたんだろうね。


「エカだけでなくソナも襲おうとしたのは、何か理由があるのですか?」


剣を鞘に納めながら、アズが聞く。


エカへの攻撃に失敗した分身は、次にソナを襲おうとした。

アズには勝てないと判断して他を狙ったにしても、何故王様たちではなくソナを狙ったんだろう?


「それは、ソナが世界樹の民だからだニャ」

「世界樹の民は魔族の天敵だから、女子供は襲われやすいニャン」


王様たちが交互に答える。

どっちがどっちだか……声までそっくりだ。


「ありがとニャン。これでアカツキ王国が魔族に狙われる原因は消えたニャ。」


三毛猫王様の1人が、目を細めて笑みを浮かべる。

隣にいる三毛猫王様と見分けがつかないけど、多分アカツキ王様の筈。


その時、アズの隣に転送陣が現れた。


「アスカ王国のダンジョンに、魔王の心臓らしき物が見つかったわ。アズ、一緒に来て」


銀髪の美少女が現れたと思ったらアズの手をつかんで、あっという間に消えてしまった。

問答無用で連れてかれちゃったよ。

ロコ、せめてアズが返事する時間くらいあげて。


「……」


困惑するエカが、鼻の穴広げて真顔になった。


「エカ、顔」


お約束みたいに、ソナがエカの頬をツンツンつついて我に返らせた。


「次はアスカ王国みたいだニャ。エカとソナはとりあえずアサケ王国に戻るニャン」


やっぱり見分けがつかない王様たちの片方が、そう言って帰還の転送魔法を起動する。

多分こっちはアサケ王様かな。


「俺はダンジョン探索に参加しなくていいの?」


エカは多分アサケ王様と思われる、丸い体型の三毛猫人に聞いた。

ダンジョンならエカはアズより先に実習を受けていて、卒検までクリアしてるから、参加する実力はあると思う。

それに、魔王の心臓を破壊出来るのがエカだけなら、行った方がいいよね?


「エカには、アズが雑魚を一掃してから行ってもらうニャン」

「爆裂の勇者は魔族から最優先で狙われるから、雑魚が片付いてからの方が安全ニャ」


王様たちに言われて、エカは渋々アサケ王城に帰還した。


エカの役割は、魔王を滅ぼす事。

圧倒的な破壊力をもつ爆裂魔法は、その為だけにある。

魔王側もそれを知ってるから、爆裂魔法使いは真っ先に殺そうとする。

それで、【回避の勇者】が他の敵を片付けてから、【爆裂の勇者】が魔王の心臓を破壊するのが常らしい。


エカの場合は、たとえ殺されてもボクが復活させられるけどね。

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