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第73話:異世界人捕獲

「言ってる意味が分かってるのか? お前は……」


言いかけたところで、黒髪の少年は突然昏倒した。

いきなり崩れるように倒れて、そこからピクッとも動かない。


誰も何もしてないのに。

何も異常は無かったのに。

アズの姿がほんの少しブレて見えた以外は。


「「え?!」」

「「「にゃ?!」」」


少年が何を言い出すか察して焦っていたエカ&ソナも、仔犬が魔族だと聞いて困惑中のクロエ&チャデ&マリンも、驚きの声を上げる。


「……誰だ?!」


ダイキチさんは冒険者のカンで、少年は何者かに倒されたと気付いて辺りを見回した。

でもこの付近には、パーティーメンバー以外は誰もいないみたい。


「これ異世界人だよね? とりあえず保護するよ」


アズだけが、冷静だ。

彼は着ている道着の懐に仔犬を入れて、ベルトポーチから透明な玉を取り出すと、倒れている少年に投げる。

少年は片手に収まるような小さな玉の中に吸い込まれてしまった。


捕獲玉。

動植物学部の購買で買える、生物を生きたまま捕獲する魔道具だよ。

仔犬が脱走した時にモモンから渡された物で、万が一に備えて今もパーティメンバー全員が持っていた。


「死んじゃったの?」

「生きてるよ。気絶しただけ」


ソナの問いに、アズが答える。

その言葉通り、捕獲玉の中にいる少年の心臓は普通に動いてるし、呼吸も問題無かった。


「エカ、お城に帰るついでにこれ届けてもらえる?」

「いいよ」


アズはエカに捕獲玉を預けた。


異世界人は王家が保護するそうだから、この性格悪そうな子も王様に引き渡しておけば間違いないだろうね。

学園にはこちらの事情を理解してから来てほしい。

エカもアズも、学園では猫人として生活していて、クロエたちは世界樹の民だって事は知らないから。

彼はこの世界について、どこまで知ってるんだろう?


アズの正体をバラされそうになって焦ったけど、少年が謎の気絶してくれて助かった。

一体どうしたんだろうね?

苦しんだ様子は無く、突然フッと目の焦点が合わなくなって倒れたけど。



「ルル、どうしてここに? どうやって元の姿に戻った?」


帰り道、アズは懐に入れた仔犬に聞いてみたけど……


「ク~ン」


……残念ながら、会話は成立しなかった。


魔族だとか言われていた仔犬ルルは、言葉を話せないらしい。

昨日みたいに人化すれば、話せるのかな?

でも、人化してた時も喋ってなかったな。

昨日のルルは、風呂でのぼせてボンヤリしてるか眠っているかで、会話どころじゃなかったけどね。


人化した状態で飼育棟にいる筈のルルが、仔犬に戻ってここにいるのも謎だ。


「飼育棟へ行って、モモンに聞いてみた方がいいわね」


クロエの提案で、一同は飼育棟へ向かった。

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