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第71話:ケモミミの子

耳とシッポだけ黒犬のままの子供を連れて、アズたちは動植物学部の担任クロッチ先生の職員室を訪れた。

アサケ学園の職員室は個室タイプで、先生1人につき1室、研究室や居住スペースも隣接しているよ。


「雪狼は氷属性の生き物なんだけど、この子は闇属性だね。突然変異か、胎児の時に何かの影響を受けたのかもしれない」


言いながら、先生は調査用の魔導具を使って、診察台の上に寝かされた子供の身体を調べてゆく。


「以前会ったニホン人が教えてくれた、ケモミミ族に似てるかもしれない。架空の存在だそうで、見た事は無いけどね」


バスタオルを取り除けて見たら、立ち耳とシッポがあるけど、あとはほとんどチキュウ人と変わらなかった。


「ふぇ……」


身体が冷えてきたのか、子供が目を覚まして泣きそうな顔をした。


「ごめん、寒かったよね。おいで」


両手を差し伸べるアズに、子供は迷わず抱きついた。

アズはピッタリくっついてくる子にバスタオルをかけて、温めるように抱き締めてあげている。

そのぬくもりに子供は安心したのか、また寝てしまった。


「変化が起きた時はどういう状態だったか、教えてもらえるかな?」

「お風呂場で身体を洗い終わって、一緒にお湯に浸かってた時です」


先生に聞かれて、アズが話す。

洗い場でシャンプーしてあげてた時は変化は無く、アズが自分の身体を洗ってる間も仔犬の姿でオスワリして待機してたらしい。

その後、アズに抱っこされて浴槽に入り、お湯に浸かって温まっていた時に異変が起きたという。


「フニャ~って溶けるみたいに力が抜けたと思ったら、この姿になっちゃったんです」

「温まったからなのか、濡れたからなのか、それとも他に何か要因があるかもしれない。どちらにしても、普通の雪狼ではないのは確かだろうね」


動植物学部に残る過去の資料には、似た事例が無かった。

先生もお手上げという感じで、謎は解けない。


「とりあえず、君に随分懐いてるようだから、様子を見ながら飼ってあげたらいいよ」

「はい」


子供を抱いたアズと共に、一同は職員室を出た。



「狩りに出る時、この子を飼育棟に預けていいのかな?」

「いいよ。大きいケージを用意しておくね」


アズとモモンが明日の予定について話してる。

予定通り、ダンジョン実習などで一緒にいられない時は預かってもらえるみたいだ。



その夜、エカが着替えを取りに寮へ行くと、珍しくアズがベッドに入っていた。

隣には黒髪の子供がぴったりくっついて寝てる。

二人とも気持ちよさそうに熟睡してるから、エカは起こさないようにそっと部屋を出た。

いつもならアズは訓練に出てる時間だけど。

夕方にお風呂を済ませてたから、今日は夜間訓練せずに寝るみたいだね。


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