表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/123

第67話:埋め込む魔道具

動植物学部、飼育棟。

気絶した仔犬を連れて戻ると、白衣姿の生徒たちが駆け寄り、魔道具で仔犬の状態をチェックした。


「ああ良かった。身体に異常は無いね」

「見つけてくれてありがとう。発見が遅かったらこの子は死んでた筈よ」


診察台に寝かされた仔犬はグッタリして動かないけど、一時的に意識を失っただけで怪我は無いみたい。


「間に合って良かった」


アズが、ホッとした表情で仔犬を撫でた。

ここへ連れて来た者として、アズは仔犬に対して保護者みたいな気持ちがあるらしい。


「さっきのあれは魔物?」

「あれは魔族対策に国から依頼されて研究している生物だよ」


エカが聞いたらモモンが教えてくれた。

仔犬を絞め殺そうとしていた動く蔓は、魔族用なのか。


「魔族はダメージを受けると脱皮して回復するものが多いから、それを阻止する為に研究してるの」

「首に近付けると反応して締め付けが始まるから、あれを首に巻いたりしないでね」

「多分、誰も首に巻こうとは思わないかも……」


白衣の生徒たちに説明されて、エカたちは苦笑した。

ウネウネ動く怪しさ溢れる蔓を首に巻こうなんて変人は、多分いないよね?


って思ってたら……


「チャデ、巻いちゃダメだからね?」

「お、おう」


ハッとして言うクロエに、チャデがギクッとしたように答える。


……首に巻いてみようと考える変人が、そこにいた。


チャデは、危ないと言われると試してみたくなるタイプなのかな?


「仔犬だけじゃなく、チャデもあの蔓に近付かないように見張りがいるかもね」


マリンが苦笑して言った。



一方、診察台の上に寝かせている仔犬を診ていた人たちは……


「そうだ、あれを着けるなら今のうちよ」

「うん、気絶してる今がちょうどいいね」


……何か思いついたらしい。


白衣の生徒たちは棚から細い筒状の魔道具を出して来て、仔犬の背中にその筒先を当てる。

パシュッという何か吹き出たような音がして、仔犬の身体が一瞬ピクッと反応したけど、目を覚ます様子は無かった。


「今のは?」

「飼育棟の子たちが着けてる、居場所を知らせる超小型魔道具だよ」

「異世界人が開発した便利アイテムなの」


興味深そうに覗き込むエカたちに、白衣の生徒の1人が教えてくれた。

それを着けていれば、脱走してもすぐ見つけられるらしい。


「これでどこにいてもすぐ見つけられるわ」

「ガウガウしてなかなか着けさせてくれなかったから、アズに頼もうかと思ってたのよ」

「呼んでくれたらいつでも手伝いに行くよ」


仔犬をケージの中に寝かせながら、白衣の生徒たちはホッとしたように話す。

アズはお手伝いする事になりそうだ。



「また様子を見に来るね」

「食べさせる肉が必要なら、獲ってくるよ」


仔犬のお世話は彼女たちにお任せして、エカたちは飼育棟を出た。

ガウガウ仔犬、懐いてくれるといいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ