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【完結】不死鳥の御主人様~世界樹の子らと猫人たちの物語~  作者: BIRD
第6章:世界樹の民と異世界人
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第57話:神が宿る樹

その日の夕食は、エカが異空間倉庫で保管していたタワバ肉と、ジャスさんが作った野菜を使ったミソナベだった。

ダシ用に殻も保管していたので、タワバの旨味たっぷりのミソスープがいい味を出してる。


「お城で食べたさっぱり味のカニナベも美味しかったけど、ミソも合うね!」

「タワバ肉もお野菜もスープも、みんな美味しい~」


エカとソナはミソ味も気に入ったみたいだ。

ミソはニホンから来た転移者が伝えた調味料で、ショウユに次ぐ人気があり王国全体に広まっている。


「エカからタワバを狩ったと聞いた時はビックリしたわ」

「俺はエカが嫁をもらった事がビックリだよ」


フィラさんはエカの成長に驚いてたけど、ジャスさんはどこかズレたところに驚いてた。


「ま、まだ結婚してないよ」


エカがまた真っ赤になって訂正する。

隣に座ってるソナも赤くなってもじもじしてるよ。


「早く結婚しちゃいなさい、そうしたら私はソナのお母さんになってあげられるから」


ニコニコしながら、フィラさんが無茶を言う。


「わたしの、お母さん?」


照れていたソナが、その言葉に反応して聞き返した。


「そうよ。ソナのお話をちゃんと聞いて、泣いてる時は抱き締めてあげる、そんなお母さんになるの」


フィラさんは微笑んで答える。

エカから哀しい過去を聞いた時、フィラさんはソナを養女に迎えたいと思ったらしい。

でも王様が娘として引き取ったから、そちらにお任せした。

で、今は息子の結婚相手になる事を期待してるみたいだね。


でも、エカもソナもまだ子供だし、ちょっと気が早いんじゃないかな?



夕食後、ソナはエカに付き添われて、世界樹の根元を訪れた。

世界樹の里に異世界人が来る事は時々あるそうで、その際はそこへ案内するらしい。


『過去を捨て、この世界で生きると決めた子、ここへ来るのを待っていたよ』


世界樹は創造神(かみさま)と繋がっている。

ソナが根元に立つと、神託とも呼ばれる念話が心の中に流れ込んできた。

驚いたソナは未知のものに怯え、隣にいるエカにしがみついた。


「大丈夫だよ。その【声】はソナを苦しめるものじゃない」


エカはソナを包むように抱いて、穏やかな声で諭した。

すると今度は、エカの心に念話が流れ込んでくる。


『モチ・エカルラート・セレストよ、異世界の子を救った其方に教えておく事がある』

『はい。もしかして、ソナの過去についてですか?』

『その通りだ』


神様が何について話そうとしているか、エカはなんとなく分っていた。


『少し長くなる。異世界の子を抱いて、こちらへおいで』

『わかりました』


世界樹の幹に、転送陣が現れる。

エカはソナを抱き上げた。

いきなりお姫様抱っこされたソナはキョトンとしたけど、そのまま大人しく抱かれていた。


創造神(かみさま)が呼んでるから連れて行くけど、怖がらなくても大丈夫だからね」

「うん。エカが一緒なら平気」


宥めるように話すと、ソナは怯えずに頷く。

エカはソナを抱えて、世界樹の幹に現れた転送陣をくぐった。

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