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第54話:ソナの学園見学

氷の槍(アイシクルランス)!」


ソナが起動言語(キーワード)を言うと、氷柱に似た氷の槍が飛び、的を貫いた。


「さすがだニャ、これでいつでも高等部に入れるニャン」


王様がニコニコしながら褒めた。


「早くエカと一緒に学校へ行きたい!」


ソナは学園編入を楽しみにしてるみたいだよ。


魔法理解(マジコンプリ)のギフトを持つソナが、魔法を覚えるのは容易い。

魔法学部の高等部編入に必要な中位魔法も、難なく覚えられた。


問題はメンタル面で、学園には元の世界で負った心の傷が癒えてから編入の予定だ。

辛い過去による心の傷は、毎夜見る夢の中でエカが治療を続けていた。


「エカ、これからもずっと、一緒に寝てくれる?」

「ソナが安心して眠れるなら、俺は傍にいるよ」


いつもピッタリくっついて眠る、ソナとエカ。

二人はまだ、互いを異性としては意識してない。

おやすみのキスは、家族にするものと同じ。

でも、相手を大切な人だと思う気持ちは、確かにある気がするよ。



1ヶ月ほど経つ頃。

ソナはもう悪夢を見なくなり、エカと寄り添って眠る夜を幸せに感じるほどになっていた。



「そろそろ学園に通ってもいい頃だニャ。いきなり編入よりも、最初は見学しながら慣らしてゆくといいニャン」

「うん!」

「じゃあ、ソナと一緒に学園へ行ってみます」


王様の提案で、エカはソナを連れて学園へ行ってみた。



「久しぶり~」


学食へ昼食をとりに行くと、エカに気付いて手を振るローズがいた。


「俺と同じ村で育った幼馴染だよ。優しい子だから安心して」


まだ少し人見知りがあるソナが背後に隠れてしまったので、エカは安心させるために説明した。

エカとソナが、ローズがいるテーブルの向かい側の席につくと、料理を持って戻ってきたエアがローズの隣に座る。


「私はローズ。ソナの事は聞いてるから大丈夫だよ」

「私はエア。仲良くしてね、ソナ」


ローズとエアが優しく微笑んで言う。


「よろしくお願いします」


ソナ、同じくらいの歳なのに、何故か丁寧な口調になっちゃった。

まだ緊張してるらしい。


「安心して。ここには、あなたを虐める人はいないから」


エアが、穏やかな声で話しかける。

その肩に、心を癒す力を持つ水色の鳥、聖歌鳥(ビオラン)のピヨが現れた。


「ピヨロロロ♪」


ピヨが澄んだ声で囀ると、ソナの表情がホッとしたように緩む。

エアはソナの緊張を察して、ピヨに力を使わせたらしい。


「ありがとう」


ソナの緊張は解けて、微笑みが浮かんだ。



「あれ? アズは?」


食事を始めて少し経ち、エカが周囲を見回して聞いた。

いつもならローズたちと昼食をとっている筈の、アズがいない。

料理を取りに行っているだけだと思ってたんだけど、どうも違うみたいだ。


「アズなら、武道科の強化合宿に行ってるよ」

「え?!」

「エカ、お顔が変になってるよ」


ローズの言葉に、驚いて動揺したエカは鼻の穴広げて真顔になる。

その変顔を見たソナが、首を傾げて指先でエカの頬をつついた。


アズはまだ初等部の筈。

強化合宿は、初等部の授業じゃない。

ダンジョンで狩りをする、高等部の授業だ。

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