第51話:魔法で遊ぼう
「魔法書から魔法を覚える時は、そこに書いてある説明を見て、どんな事が起こるかをイメージしてから、書いてある起動言語を言うと発動するよ」
ソナと一緒に魔法書を見ながら、エカは説明して自分で実際に魔法を使ってみせた。
「氷花」
エカとソナの周囲に、キラキラ光る氷の結晶が舞う。
氷系魔法の初歩で、攻撃力は無いけど綺麗だから、学園の演劇科が舞台効果に使ったりしているよ。
「綺麗~!」
ソナも大喜びだ。
「今見たこれを頭の中で思い描いて、起動言語を言ってみて」
「はーい」
エカにお手本を見せてもらったソナは、その光景を頭の中で再現した。
「氷花」
二人の周囲に、再び氷の結晶が舞う。
ソナは一度見た魔法を、正確に再現してみせた。
「凄いニャ! 1回見ただけで出来るなんて天才ニャン!」
王様、ベタ褒めだね。
でも確かに、こんなにあっさり出来てしまうソナは才能あると思う。
「おめでとう、初めての魔法だね」
エカも嬉しそう。
「出来たぁ! 嬉しい!」
ソナは大喜びで、エカに抱きついた。
王様が、ちょっと羨ましそうに見てたよ。
御機嫌なソナは、その後しばらく氷花を連発して遊んでた。
初等部の猫人だったら、あんなに連発したら魔力切れで気絶するけどね。
異世界人の魔力は底無しかな?
エカは、最初は見た目が綺麗な、楽しく使える魔法を教えた。
その次に教えたのは、日常生活に役立つ氷魔法だ。
「これが使えると、飲み物を冷やせて便利だよ」
そう言って、エカは異空間倉庫からコップと果実水を取り出した。
「氷欠片」
コップに手をかざして言うと、カランと音を立てて氷の欠片が落ちる。
エカはそこへ果実水を注いで、ソナと王様に手渡した。
「どうぞ」
「ありがとう」
「ありがとニャン」
さっきまではしゃいで魔法を連発していたソナは喉が渇いたらしく、受け取ると美味しそうに一気に飲み干した。
「わたしも、やってみる!」
「じゃあ、これを使って」
早速試したいソナに、エカが空のコップを手渡す。
それを受け取ったソナは、エカの真似をしてコップに手をかざした。
「氷欠片」
カランと音を立てて、コップの中に氷が落ちる。
やはりソナは、一度見た魔法を再現出来るみたいだ。
「はいこれ、エカの分ね」
「ありがとう」
果実水を注いで、ソナはエカに手渡す。
「ソナは神様から【魔法理解】のギフトを貰ったみたいだニャン」
王様も気付いたみたい。
異世界人がこちらへ来る時に神様から貰うという、特別な贈り物。
ソナが持っているのはその1つ、見た魔法を完璧に再現出来る能力だ。
魔法使いになりたい彼女にピッタリの能力だね。