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第50話:ソナと氷魔法

翌朝、エカはジャミ様に昨夜の出来事を話しに行った。

同行したソナは、夢の内容をほとんど覚えていなかった。


「何か夢を見た気がするけど、思い出せないの」

「夜中にソナが苦しみ始めて、身体が凄く冷たくなったんです」


ジャミ様の私室で、ソファに座った2人は異変が起きた事を話す。

テーブルには占術に使う水晶玉が置かれていて、その中で氷の粒と黒い影のようなものが渦を巻いていた。

しばらく見ていると赤と金の炎が渦に入り込み、黒い影だけが消えた。


「夢の内容は忘れていい記憶だね。起きてから少し心が軽くなったんじゃないかい?」

「うん。何かスッキリした感じなの」


水晶玉をじっと見つめた後、ジャミ様はソナに微笑みかけて問う。

ソナも微笑んで答えた。


「目が覚めたらエカが抱き締めてくれてて、凄く嬉しかったの」

「それでいい。嬉しい事や楽しい事で心を満たしてゆけばいいんだよ」


少し頬を赤らめて言うソナの隣で、エカもちょっと照れてる。

ジャミ様はそれを微笑んで眺めながら言った。


「ソナは氷の魔法に目覚めかけているようだね」

「魔法、もう使えるの?」


ジャミ様が言うと、ソナが嬉しそうに聞いた。


昨夜、ソナの身体が氷のように冷たくなったのは、氷の魔力が体内で暴走したから。

暴走した魔力がソナの心臓を凍り付かせていたのを、僕の炎で融かして蘇生させたんだよ。

ジャミ様は水晶玉からその情報を読み取っていた。


「この魔法書をあげよう。魔法の練習はエカがいる時だけにするんだよ」

「ありがとう、ばぁば」


渡された本を、ソナは宝物を貰ったみたいに喜んで抱えた。



「ここが宮廷魔導師たちの練習場ニャ」


魔法の練習をしたいとお願いしたら、王様はエカとソナを防壁(バリア)で覆われた場所に連れて来てくれた。

防壁のすぐ外には見張り小屋があって、ローブを着た猫人が見張り役として待機してる。


「練習に来た子たちニャ、通してあげてニャン」

「かしこまりました」


王様に命じられた猫人が、防壁(バリア)を撫でるような仕草をする。

防壁(バリア)の一部がスーッと溶けるように開いた。


「凄い、魔法かっこいい~」

「ありがとうございます」


ソナは初めて見る防壁(バリア)の魔法にも好奇心をくすぐられたみたい。

褒められた猫人が、嬉しそうに微笑んでお辞儀した。


「ここから入るニャ」


そう言って、王様が先に防壁(バリア)の入口から中へ入ってゆく。

エカとソナも続いて中に入った。


防壁の中は学園の魔法練習場と似ていて、広場に的が置いてある。

ローブ姿の猫人たちが、その的に火球や氷刃などの魔法を放って練習していた。


「魔法は使い続ける事で技術が上がるニャ。だから、みんな毎日練習してるニャン」

「私も毎日練習する!」


王様から説明を受けて、ソナは張り切って練習に向かった。

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