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第32話:支援の飴

エカたちは豊穣の洞窟での試し狩りを終えた後、ローズのところへバナナケーキの事を話しに行った。


「実は、食べ物に支援効果を付けるのを考えたのは、エアなの」


と言うローズの案内で行った先は、医学部ではなく料理学部。

調理実習室にエアがいて、他の生徒たちと一緒にお菓子造りの真っ最中だ。


「エア~、バナナケーキ、かなり効果あったみたいだよ」

「本当?」


ローズが声をかけると、エアは早歩きで出入口まで来てくれた。


「すごかったよ、上級ダンジョンの魔物がただのお肉みたいだったよ」

「???」

「…エカ、それ意味分かんないから」


かなり褒めたつもりのエカの言葉は、表現がスベッて通じない。

エアはキョトンとしてしまい、吹き出したローズのツッコミが入った。



「お菓子に支援効果を付与してみたのは、ダンジョンへ行く人に役立ててほしいからなんです」


調理室隣の試食ルームで、テーブルの上にお菓子を詰めた小箱を並べてエアが言う。

クロエたちは年上で上級生なので、エカと話す時とは違う丁寧な口調だ。


「…というのは表向きの理由で、本当はエカと一緒に行けないから支援アイテムで護ろうと思ったんですよ」


その本音を、しれっとバラすのはローズ。


「…ちょっ…、ローズってば何言うの」


エアの頬が赤くなったから、その通りなんだろうね。


「「……………」」


クロエとマリンが無言で目を合わせて、口元に笑みを浮かべた。


「そうなの? ありがとうエア!」


エカは喜んでるけど、オトメゴコロは分ってないみたいだよ。


「あのバナナケーキは素晴らしい。俺の筋肉が大喜びだったぜ」

「???」

「…どうしてうちのパーティの男たちは言語能力が微妙なのかしら」


一方、チャデも褒めたつもりが通じず、エアがまたキョトンとする。

やれやれという感じでクロエが呟いた。



「私たちは、支援効果があって携帯しやすいお菓子を作ってもらいたくて来たの」

「飴玉なら長く保存出来て崩れにくいから一番いいかも」


ズレてる男たちはほったらかして、クロエとマリンが本題に入る。


「それなら、コレをどうぞ」


そう言って、エアがテーブルに並ぶ箱の間から、布袋を取って差し出した。

受け取ったマリンが袋の口を広げて見ると、飴玉らしき小さな紙包みが複数入っている。


「包み紙の色で効果の違いが分るようにしてあります」


飴玉の包み紙の色は4色あった。


「赤が攻撃、白が防御、青が命中、緑が速度を上げる効果の飴です。飴玉は小粒にしてあるので、必要な時は複数まとめて口に入れられますよ」

「エアちゃん凄いわ」

「この研究で薬草科の主席とれるんじゃない?」


エアが効果を説明すると、クロエとマリンが褒めまくった。

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