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Prologue:孵化

挿絵(By みてみん)


 ───…原初、神は「ニンゲン」を創り、知恵を与えた。

 ニンゲンは道具を創る事を覚え、やがて文明を築いた。

 彼等の文明は驚くほど早く発展し、栄華を極める。

 ニンゲンたちは、他の生き物たちへの影響を考えない。

 文明の発展の陰で、多くの生き物が滅びていった。


 神はそれを憂えて、ニンゲンを戒めようとした。

 けれどそうする前に、彼等は自滅してゆく。

 欲を極めた一部のニンゲン同士の争いが、世界を巻き込む戦争を呼ぶ。

 ニンゲンは、自らが生み出した物によって、この世界から消滅した。


 次に神は「ネコ」を創り、知恵を与えた。

 しかし、ニンゲンの失敗を知る神は、文明の発展に抑制(セーブ)をかけた。

 自然と共に生きるように。

 戦争を起こさないように。


 この書を、神霊タマ・ヌマタに託す…───


 アサケ国立学園図書館禁書【はじまりの書】より





 殻を割って外に出て、ボクが最初に見たもの。

 それは、スヤスヤ眠る可愛い赤ん坊だった。

 赤ん坊の髪は最初は白かったのに、見る間に色が変わって鮮やかな赤色になった。


「お前の名前はフラム。そして、その赤ん坊がお前の御主人様だよ」


 後ろから誰かが話しかけてきた。

 振り返ってみたら、赤い髪の男の人がいた。

 男の人の肩に乗ってる赤い鳥が自分と同じ生き物だと、ボクは本能的に分る。


「お前の御主人様の名前はモチ・エカルラート・セレスト。エカと呼んであげなさい」

「はい」


 ボクは赤ん坊に視線を戻した。

 白い肌に赤い髪がよく映える。

 ボクの羽根と同じ色の髪に変わった子。

 その色が、これから仕える御主人様の証だと、ボクには分る。

 エカという愛称を持つ子は、今は長い睫毛に縁どられた瞼を閉じて、気持ちよさそうに眠ってる。


「よろしくね、エカ。これからはボクが君を護るよ」


 話しかけて頬にスリスリしたら、エカは眠ったまま笑うように口元を緩めた。



 ボクは、不死鳥(フェニックス)と呼ばれる生き物。

 主が負傷した時は涙が癒しの力となり、主が老いずに死した時は炎が復活の力となる。


 何故ボクが御主人様に仕える事になったのか。

 それはエカが持つ、魔法の力の為だった。

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