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第14話:冬の街イベル

王様が最後に連れて行ってくれた街は、冬の森に隣接するイベルという街。

一年中雪と氷に閉ざされた地域で、凍った湖に穴を開けて釣り上げる魚と、洞窟内で捕れるタワバという8本足の硬い殻を持つ魔物や、鳥系魔物の肉や加工品が特産だ。


タワバは美味しいので大人気だけど、硬い殻を持つので狩りには技術が要るらしい。

だから値段は高くて、タワバは高級食材になってるよ。


「エカとアズは、学園で学べばこれを狩れるようになるニャ」


王様はそう言って、タワバを御馳走してくれた。


屋台の炭火で殻ごと焼かれたタワバは、香ばしい香りがして、弾力のある身は塩気と旨味があって美味しい。


「うまぁい!」

「早く狩れるようになりたいなぁ」


タワバの美味さで、エカたちのヤル気が3倍上がった気がする。



「この街には食べ物以外にもう1つ、大人気のものがあるニャン」


タワバを食べ終えた後、王様が案内してくれた場所は…


「それはここ、温泉ニャ~!」


…天然温泉だよ。


「イベルの街が管理する温泉は、街で買い物をすると貰えるチケットで入れるニャン」


王様はそう言いながら、受付でチケットを出して先に進んでゆく。

受付で渡されたタオルを手に、太いお腹をユッサユッサ揺らして温泉に向かう三毛猫人の後を、4人の仔猫人たちがそれぞれタオルを手にチョロチョロと続いた。


「うわぁ! おっきいお風呂!」


湯気を立てる広々とした池…じゃなくて、温泉を見て、エカが声を上げる。

家にあるお風呂とは、大きさが全然違うね。


「温泉は普通のお湯と違って、出た後もしばらくポカポカと身体が温かいニャン」


王様が温泉の手前にある手桶を取り、お湯を汲んで自分の身体にザバーッとかけてから、温泉の中に入ってゆく。


王様、猫人って身体が濡れると毛がペタンとして縮む筈だけど。

全然縮まないんだね。


「みんなも、かけ湯をしてから入るニャ」

「「「「は~い!」」」」


王様に温泉マナーを教えられて、エカたちも手桶にお湯を汲んで自分の身体にかける。

仔猫人たちは毛がペタンとしたら、2回りほど細くなった。


猫人の身体は、男女の違いがほとんど無い。

世界樹の民の女性にある胸の膨らみは、猫人では授乳期の母親だけで、普段は男性と変わらない。

男性はタマタマがあるけど、尻尾で隠れるからパッと見ただけじゃ分からなかった。

幼猫人に至ってはタマタマも発達してないから、男女の区別はほとんどつかない。


そんなわけで、猫人の街の温泉は混浴だ。

王様もエカもアズも、ローズとエアも、男女関係なく一緒に温泉に入り、ワイワイ盛り上がって広いお風呂を楽しんだ。



「これでアサケ王国の王都、四季の街は見学完了ニャ。あとは入学してから四季の森やダンジョンを案内してもらえるニャン」


世界樹の里に戻った後、王様は言った。


「ダンジョン、タワバが穫れるところも行ける?」


エカは美味しいタワバを早く狩りたくて、うずうずしてるみたいだった。

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