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【完結】不死鳥の御主人様~世界樹の子らと猫人たちの物語~  作者: BIRD
第11章:その先にあるもの

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第105話:後日譚・結婚式

世界樹の民は成人するまでは猫人と似たペースで育つ。

猫人たちが成人となるのは20歳、エカたちも生まれて20年後に成人として認められた。


そこから先は大きく差が開く。

猫人たちの寿命は100年ほど、世界樹の民は1000年の命を持つ。

若い姿でいる年月がとても長い世界樹の民は、10分の1ほどの寿命の猫人たちを数世代見詰めてゆく。



エカとソナは、20歳になる年に世界樹の根元で式を挙げた。


「やっとこの時がきたね」

「ずっと楽しみにしてたわ」


結婚式の白い衣装を身に纏う、エカの肩にはボクが、ソナの肩にはルビイが、赤い小鳥になってとまっている。

成人したエカは随分と身長が伸びて、里の人々の中でもかなりの長身で細身の美青年になっていた。

ソナも随分と手足が長くなって、魅力的な大人の女性に成長している。

女性らしさが出てきた頃、ソナは相変わらず添い寝で熟睡するんだけど、エカは意識して眠れない夜が何日か続いたのは内緒。



式には世界樹の民の他、森に入る事が出来るアサケ王族たちも祝福に来てくれた。


「孫の晴れ姿を見られるなんて嬉しいねぇ」


白猫王太后ジャミ様は青い瞳を細めて笑みを浮かべた。


「母上ならひ孫の結婚式まで見られそうな気がするニャ」


三毛猫国王ナゴ様も嬉しそうに目を細めている。


「おばぁば、僕の結婚式も見てね!」


ひ孫と聞いて反応した三毛猫の仔猫人はナジャ、ナムロ学園長の息子だ。



「おめでとニャン、これはわが国からの贈り物ニャ」

「王国自慢の茶葉とお菓子よ。後で味わってみてね」


アカツキ王国からは国王ナギ様と宮廷魔導師ロコも来てくれた。

ロコは氷系の状態維持魔法で少女の姿を保っているそうで、今ではエカやソナの方が年上に見えた。



「ソナ、凄く綺麗だね!」


微笑みながら声をかけたのはローズ、エアも一緒にいてウエディングドレスに羨望の眼差しを向ける。

不死鳥(フェニックス)のルビイを実体化させているソナの髪は鮮やかな赤で、純白のドレスやロングヴェールに映えて華やかに見えた。



「おめでとう、エカ、ソナ、2人に幸運を」


青い小鳥になったベノワを肩に、アズも祝福してくれた。

アズは双子だから髪と瞳の色以外はエカに似ていて、同じ細身で長身の美青年に育っている。

その肩から飛び立ったベノワが澄んだ声で囀り、青い羽毛を抜き取ってエカとソナに1枚ずつ落とした。

福音鳥(ハピネス)の羽毛には幸運を呼ぶ効果があるので、祝いの場では特に喜ばれるよ。


祝福を終えるとアズは人々の集まりから離れ、大人しく伏せて待っている黒い狼のところへ歩いて行った。

雪狼の成獣となったルルはもうアズの懐には入れず、連れて歩く際は召喚獣のように傍らに寄り添っている。

狼はアサギリ島で見たような巨大なものではなく、アズよりやや大きい程度だ。



世界樹は神の祝福を示すように蕾が無数に現れて、、白く芳しい香りの花々が満開となる。

白い花は微かな光を放ち、花弁が舞い始めた。



『其方たちは生涯愛し合い、支え合い、喜びを共にする事を誓うか?』


創造神(かみさま)の念話が問いかける。


『『誓います』』


揃って答えた2人の上に、純白の花弁が雪のように降り注いだ。

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